うささん
疲れた体でバイトから帰ってくるなり、癒しを求めてうささんの頭を優しく撫でようとする。
が、お腹がすいてて機嫌が悪かったのだろう。
首を勢いよく傾げて、耳でパシンと撫でようと伸ばした手を叩かれた。
噂に聞くところによると、ウサギにとって長い耳は弱点だとかなんとか……
ウチのうささんは、普通のウサギではないのだろうか?
などと埒もないことを考えながら、うささんとねこさんに餌を与えた。
続いて自分の分のご飯……コンビニ弁当(涙)をチンすると、背後からウニャウニャ抗議の鳴き声が聞こえてくる。
……なぜだろう?
うちのうささんは肉食なのだろうか?
ねこさんに用意した猫缶を、自分の餌も食わずにねこさんから強奪してるではないか。
まあ、いつものことだが。
食ったら腹を壊すんで、急いで駆けつけ猫缶とねこさんを保護。
ってか、いつも距離おいて餌与えてるはずなのに、なんでいつもつもお前はねこさんの餌を奪いに来る?
そんな思いを込めてキッと睨むも、うささんはすでに自分の餌を夢中で貪っていた。
疲れた。
軽く肩を落としながら丁度温め終わったコンビニ弁当を電子レンジから取り出し、テーブルの上に猫缶といっしょに置いた。
椅子を引いて座ると、もう猫缶しか見えてなく、腕の中に暴れ倒すねこさんをテーブルの上で放ち、一緒にごはん。
ああ、なごむ。
バイトの疲れがもりもり減っていく。
にしてもお前、猫のくせになんでウサギに負けるんだよ。
などと小さく笑った瞬間。
「アーっ!?」
いつのまにやら足元に忍び寄っていたうささんに、ガブリと噛まれた。
足に穴があく。
まあ、これもいつものことだが。
涙目で噛まれた場所を撫でながら、ぶうぶう豚みたいに鳴いているうささんを睨んだ。
……なにこれ可愛いじゃねーか。
うささんにメロメロな俺は、しょせんはうささんに勝てるはずもなく。
うささんに負けっぱなしの、ねこさんを笑えるはずもなく。
ふう、癒される……
2匹のペットに囲まれた、俺はきっと幸せなんだろう。
……彼女いないけど。