表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ドリーミーガールズ

作者: うろ
掲載日:2010/09/10


 夢みたいな現実って駄目だと思う。

 って言ったらさーちゃんに心底疑問だという顔をされた。

 さーちゃんは夢見がち。

 白馬の王子様とか、甘酸っぱい恋愛とか、燃え上がる部活動とか、熱い友情の青春とか。そんなのに憧れて生きている。

 別にそれがどうだとかそれに憧れる事がどうだとか言うつもりはないけど。

 でもそんなのが現実にあっちゃ駄目だと思う。

 さーちゃんは何で?と小首を傾げる。さーちゃんの顔はあんまり可愛い方じゃない。というかぶっちゃけブスなんだけど、でも纏ってる雰囲気がなんか可愛いから可愛い子に見える。

 だって夢って消えちゃうものじゃん。夢みたいな現実って、消えちゃう現実って事じゃん。

 羊みたいなさーちゃんの顔が思慮深げに変化する。わたし的に羊は可愛いけど、だからって人間の顔が羊でも可愛いとか、そんな事は思わない。でもさーちゃんは可愛い。

 確かに、そうだね。

 しばらくしてさーちゃんは頷いた。でもさーちゃんは、本気で夢みたいな現実を、現実に求めている。その意見は、曲げてないみたいだった。

 それになんか、気持ち悪いよ。

 夢は所詮夢だから安心して憧れられる。でもそれが現実にあったらそれは本当の意味で夢だ。

 絶対に誰かが嘘を吐いている。

 白馬の王子様、つまりいわゆる女の子的に理想の男性なんて、それはその人が女の子に好いてほしいがために王子様を演じてるだけだ。甘酸っぱい恋愛なんて、どちらも本気で、好き、じゃなく、愛し合わなきゃできっこないし、だからわたし達の年齢でそんなの有り得ない。愛し合って、相手の事を知れば知る程、お互いのお互いに対する夢は壊れて、それでも尚純粋に愛し合うなんて、両者どんだけできた人間なんだよって話だ。燃え上がる部活動なんて、大した付き合いもない新入生とかいるのにできる訳ないと思う。せいぜい同学年同士で燃え上がるのが限界でしょうにって。熱い友情の青春とかもきっと無理。友達同士が全員、二次元的つまり端から見てると痛々しい感じの人達なら何とかなるかもしれないけどね。

 そんな感じに、実現した夢はほんとは無いようなもので、だから真実夢であると思うのだけど。

 みたいな事を言ったらさーちゃんは笑った。

 それでいいの。私が見る夢が覚めなければそれでいいの。私が夢見れればそれでいいの。誰かの嘘の上に成立している夢でも、私がそれを知らなければ、疑わなければ、それでいいの。

 所詮夢なんだから、夢以上のものなんて、ほんとは求めてないの。

 そんな事を言ってわたしに横顔を向けたさーちゃんの顔は、ますます羊っぽく、更に獏っぽさまで付加されて見えた。途端にさーちゃんがやたらブスになった。

 羊が夢を見る。獏が夢を食う。

 さーちゃんには、純粋な夢見る少女であってほしかった。

 って言ったらさーちゃんは羊とか獏チックなブスな顔をこちらに向けていたずらっぽく笑った。

 そんなこと思ってるあなたの方が、夢見がちだよ。

 笑ったさーちゃんの顔は、ブスでも可愛くも羊っぽくも獏っぽくも無くて、この現実に実在するただのさーちゃんだった。




 夢みたいな事が現実にあったりしたら逆に嫌ですよねって話です。要するに。

 何やら出来過ぎた状況に至ると『誰かが何か仕組んでるのではないか』といらぬ心配をしてしまいます。というかそうであった方が気が楽とさえ思う時も。本当に誰かの悪意なんてはたらいていなくて、ただ純粋に偶然そうなったとどうしても思えない訳です。いわゆる疑心暗鬼ですが、こんな風に思うのは私だけではない、と、思います。

 とまあ、そんなやるせないような思いを懸念する、と、同時に、無意識に見ていた夢の存在に気付くわたし。

 余談ですが羊っぽい顔の人って実際いますよね。…いますよね?(←急に不安になった)




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ