表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様に嫌われた365日  作者: イチジク浣腸


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/1

一日目

カレンダーの数字が新しくなったからといって、運命がリセットされるわけではないらしい。

 明日が臨時休業だという近所のスーパーは、まるで略奪にでも遭った後のように殺風景だった。もぬけの殻になった棚を見つめながら、私は「神様にまで見放されたのか」と溜息をつく。仕方なく、売れ残った萎びた野菜と、安売りもされていないレトルト食品をカゴに放り込んだ。これだけで、今日と明日を食い繋がなければならない。

 レジは、同じように食い扶持を求める人々でよどんでいた。  ようやく自分の番が来て、財布から小銭を出す。指先が妙に冷えていたせいか、一枚の100円玉が指の間をすり抜けた。

 硬質な音を立てて、100円玉が床を転がる。

「あ……」  咄嗟に拾おうと腰をかがめた時だった。

 横から伸びてきた、シミだらけの老婆の手が、私よりも早くその銀色の硬貨を掠め取った。

 老婆はそれをさも「自分が落としたもの」という顔で平然と懐に入れ、そのまま何食わぬ顔で袋詰めのコーナーへと消えていった。一瞬の出来事だった。周りの客は自分の会計に夢中で、レジの店員は無機質な手つきでバーコードを読み取り続けている。

 叫ぶほどの額ではない。けれど、あれがあればコンビニで安いチョコのひとつでも買えたはずだった。私の100円を飲み込んだ老婆の背中を見送りながら、私はただ、支払いを終えたばかりのスカスカのレジ袋を強く握りしめた。

────残り、364日。先は、恐ろしく長い。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ