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陰と陽 ⑧
決闘が終わるや否や、音子はトトをひったくるように抱き上げた。
「トト!」
「ねこさまー! 生存確認でございますー!」
「確認いらない! 生きててよかった……!」
トトは胸元に顔をうずめて震える。
音子はぎゅっと抱きしめ――慌てて緩めた。
「ごめん、潰すとこだった!」
「ねこさま、抱擁の加減が豪快でございます……!」
そこへ足音がした。
道満が石畳を踏んで現れる。
夜の校庭に似合いすぎていて、逆に怖い。
道満は倒れた司馬巻を見下ろし、短く息を吐いた。
「……やりすぎだ、司馬巻」
一拍置いて、声を削る。
「想いは術になる。……扱え」
司馬巻は気を失っている。
道満は音子を見る。
ゼロを見る。
そして何も言わない。
言わないのに、圧だけが残る。
「後始末は俺がやる。お前らは帰れ」
「……はい」
音子は頷き、トトを抱え直した。
ゼロが一歩引き、夜に紛れる。




