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ゼロの式神――「来る」の一言で、日常が割れた  作者: のだめの神様


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2/9

陰と陽 ②

「ねこさまー! 起きてくださいませー! 遅刻しますよーっ!」


夢が、鳥の声で叩き割られた。

音子の布団は今日も戦場で、本人は畳の上に転がっていた。


枕は行方不明で、寝巻は半分だけ捻れている。

起こしているのは式神トトだった。


(式神って、もっと恐ろしいものだと思ってた)

(祟る、憑く、夜に増える。そういうやつ)


それなのに、うちの式神は丸っこい一頭身の鳥だ。

丁寧口調だけがやたら本格的で、怖さの所在が行方不明だった。


「ねこさま、起床。起床でございます」

「……むり……」


「むり、ではございません。授業でございます」

「むりはむり……」


トトが布団をぐい、と引っ張った。

勢いで音子の寝姿が露わになり、時間が一拍止まる。


「……」

「……」


「……ねこさま。本日は寝巻きの布が薄く、心もとない状態です」

「うわぁぁ!? 背中向けて! 今すぐ!」


「御意。ですが時間がありません」

「御意じゃない! 丁寧に急かさないで!」


ばたばた。どたどた。

音子は着替えを掴み、黒髪のツインテールを乱暴にまとめる。


最後に、小型の水晶を握った。

ひやりとするはずの結晶が、今日は妙にぬるい。


昨夜の夢の熱が、指先に残っているみたいだった。

音子は団子を一本ひったくり、串をくわえたまま草履を引っかける。


「よしっ。行く!」

「ねこさまー! 走る時は足元を! そして戸締まりを!」


「分かってるってばー!」

言いながら角で滑りかけて、ぎりぎり踏ん張った。


(危ない。朝から危ない)

(でも遅刻は、もっと危ない)

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