ようこそ暗闇レストランへ
みなさん、こんにちは。未来屋環と申します。
今日も元気にリーマンしながら、ぽちぽちと文章を書いております。
さて、早速本題に入りますが
――みなさんは『暗闇レストラン』に行かれたことはありますか?
暗闇レストラン、ググってみると東京にも幾つかあるようです。
店内照明は落とされつつも、テーブルに置かれたランプとキャンドルがほのかに手元を照らす……雰囲気満点のおしゃれスポットですね。
ですが、私が行ったことのある暗闇レストランは少し趣向が異なります。
というのも、店内が完全なる暗闇!
雰囲気満点どころか何も見えない中で食事をするというコンセプトのお店でした。
訪れた切っ掛けは、たまたまです。
仕事の関係でタイに住んでいた頃、読んでいた情報誌のコラムに掲載されていたのが、暗闇レストラン――『Dine in the Dark』でした。
気になって読み進めてみると、レストランがあるのは自宅最寄り駅の2駅隣。
値段もホテルに入っているレストランにしては良心的なお値段です。
これは気になる! と早速友達を誘い、ふたりで行ってきました。
レストランに到着すると、入口にはバーカウンターが。
どうやらここはここで別のお店のようで、その一角でコース料理についての説明を受けます。
コース料理はアジアン、ベジタリアン、ウエスタン、シェフのおすすめコースの4つ。
私たちは一番人気のシェフのおすすめコースにしてみました。
併せてアレルギーの有無を確認されます。
そして、店内は光るもの厳禁……ということで、財布からケータイから全ての荷物を預けてエプロンを身に付けます。
確かに真っ暗闇では写真も撮れないですし、下手に持ち込んだら無くしたり汚したりしてしまいそう。
準備万端整ったところで、サービス担当のスタッフさんの肩につかまりながら、お店の奥へと進んでいきます。
そしてその先に広がっていたのは――100%完全な暗闇!!
ばっちり遮光されているので、本当になんにも見えません。
私、寝る時は部屋を真っ暗にするタイプなのですが、それでも窓の外から少し月明かりが洩れたりしますよね。
映画館も足元が照らされていたり、おばけ屋敷も何かしらの光はあるので、こんなに完全な暗闇という空間があるんだなぁと驚きました。
そんな暗闇の中で私たちが頼れるのは、スタッフさんだけです。
スタッフさんのサポートを受けながら、机の上のものを確認していきます。
カトラリーやおしぼり、グラス……ドキドキしながら手に取って飲んでみます。
事前にドリンクをオーダーしなかったので、中身は水でした。
でも、暗闇の中で飲むと、それすらも合っているのか自信がなくなってきます。
そして、コース料理がスタートしました。
前菜と一緒にパンが運ばれてきて、その後スープ、メイン、そしてデザートと進んでいきます。
お客さんがこぼしたりしないように、料理がレンゲに盛られて一口で食べられるようになっていたり、様々な工夫がされていました。
また、食べるのにモタモタしていると、スタッフさんがさりげなくサポートしてくれます。
この時に思ったのが、私たちは想像以上に情報を視覚から得ているのだということでした。
私が事前に想定していたのは、視覚情報が閉ざされるのでそれ以外の感覚(味覚や嗅覚)が研ぎ澄まされていく……というものだったのですが、もう何を食べているか全然わからないのです。
特にパンなど手で触れるものならまだいいんですが、フォークを通すと感覚の鈍ること鈍ること。
ん? 何かこれ、カレーっぽい?? とか、それくらいしかわかりませんでした……。
(そして全然カレーじゃなかった……笑)
また、分量も見えないので、何がどれだけあるのか、次に自分が何を食べようとしているのかわからないのが、地味にきつかったです。
私ビビリなので、不安でなんだか早々におなかいっぱいな気持ちになってしまいました。
勿論、お食事自体はおいしかったです!
無事に食事を終えた後は、入口のバーに戻って答え合わせ。
ネタバレ防止のため具体的なメニュー名は伏せますが、友達と相談しながら食べたものの、正答率は半分くらい……。
「えぇっ、あれってそうだったの!?」
「もっとちゃんと味わっとけばよかった!!」
と、盛り上がる日本人ふたりを、店員さんはニコニコ眺めていらっしゃいました。
体感としてはあっという間でしたが、実際には2時間くらい経っていてそれもびっくり。
なお、このお店でゲストのサポートをするスタッフさんたちは、視覚障がい者の方々です。
ゲストは視覚障がい者の方々がどのような世界で生きているのかを(ほんの少しではありますが)体感することで理解を深め、また視覚障がい者の方々の雇用創出にも繋がるという仕組みです。
実際に、このお店の売上の一部がチャリティーとしてスタッフの方々に支払われるということで、とても素晴らしい取組みだと感じました。
ちなみに、私がこちらのレストランを訪れた当時はヨーロッパや東南アジア諸国に何ヶ所かあったようなのですが、今日調べてみたところ、オフィシャルページにはバンコクとプノンペンしか記載がありませんでした。
コロナ禍で減ってしまったのかも知れません……ざんねん。
もし少しでもご興味を持たれた方、ものすごくピンポイントですが笑、バンコクかプノンペンを訪れた際にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
なかなかできない体験なので、おすすめです。
定期的にメニューは更新されるようなので、また私もいつか行ってみたいなぁと思います。
お忙しい中、最後までお読み頂き、ありがとうございました。
(了)