表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

俺は、“射幸心を煽られて俺の貯金全額全て、彼女につぎ込んだ!”

作者: 七瀬







俺は極々普通のサラリーマンだが、動画で“節約術を学び”

10年で9000万円まで貯める事ができた!

コツコツ食費を削り、節約して、食べたいモノも我慢し

貯めた9000万円があっという間に消える日が来る!




・・・俺はこの頃、会社の同僚にあるお店に連れて来てもらった。

“高級クラブだ!”

華やかで品のある女性達が、キレイなドレスを纏いお客を楽しませる。

こんな俺でも、俺の左右には若くてキレイなホステスが付いた。




『今日が初めてですか?』

『・・・あぁ、はい、』

『通りで! 少しオドオドしてたから、そうかなと思って。』

『大丈夫ですよ! 取って食べたりしませんから。』

『さあさあ、リラックスして!』

『なんだよ、お前! 緊張してたのか?』

『仕方ないだろう、初めてなんだから......。』

『私達がエスコートしてあげますから、心配いりませんよ。』

『さあ、飲んでください!』

『・・・あぁ、はい。』






・・・俺がハマったのは? 初めて俺の接客の時についてくれた右隣の

羽央兎ちゃんだった!

俺は彼女に会いにこのお店に通うようになる!

9000万円貯めたお金は、みるみるうちに減っていった。

既に節約など、あの時の俺はしていなかったと思う!

彼女の事で頭がいっぱいで、仕事も手につかない状態が続いていた。




『あら? 今日も私に会いに来てくれたの?』

『そうだよ、嬉しい?』

『嬉しいに決まってるじゃない! 私だって奏クンと一日一回会わないと

死んじゃうんだから!』

『嘘でも、嬉しい!』

『じゃあ、何飲む? 私はシャンパンがいいな~』

『分かった! 飲んでいいよ、ボトル入れておいて!』

『流石、奏クン! 太っ腹よねぇ~』

『俺の腹も太っ腹~』

【ポンポン】

『私の為にしてくれてる事だから、ゆ・る・し・て・あ・げ・る・!』

『やっぱり~羽央兎ちゃんはかわいいな~』

『そんなに褒めてくれても、何もあげないんだから~』

『声もかわいい! “全てが俺好み!”』

『勿論! 明日もお店に来てくれるんでしょ?』

『当たり前だよ!』

『じゃあ、またLINEするね。』

『うん。』







こんなに、“幸せな気分になったのは、何十年ぶりだろう?”

俺は昔から“女の子にモテない!”

子供の頃から、親の遺伝なのか? “太ってたんだよね!”

大人になっても痩せる事はなかった。

一時は、ダイエットもしたのだけど? 長続きせず断念!

彼女ができた事もあったけど? “一方的に彼女から別れ話をされた!”

未だに何が原因でフラれたのか分からないんだ。

女の子にモテたくて、友達とナンパもした事があったが散々な言われようで

心が折れてナンパはそれっきりしていない!

友達に女の子を紹介してもらった事もあるが、“どうも俺の金目当てで!”

俺もそれに気づいて、その子とはもう会わなくなった。

俺はさ、普通に彼女が欲しかっただけ!

たまに二人でデートして、手を繋いで、お弁当作ってもらって、車でドライブ

も行ったり、映画観たり、ショッピングモールに行ったりしてさ。

普通の恋人同士がする事を、“普通にしたかっただけなのに、、、。”

それが俺には出来なかった。

だからなのか? その反動がこんな形で出て来たのかもしれない!

10代や20代前半の若い子達がするような恋愛に憧れていた。


・・・40前のオッサンがだよ、若い女の子に何、ときめいてんだよ!




『今日はお店に来る?』

『仕事が終わったら行くよ。』

『じゃあ、羽央兎待ってるね!』

『うん。』

『何か食べたいモノとかある?』

『タイ焼きが食べたい!』

『お店に行く途中で買ってきてあげる!』

『いいの?』

『いいよ、奏クンの頼み! 羽央兎が叶えてあげるね。』

『優しんだね、羽央兎ちゃんは?』

『私が優しいのは? 奏クンだけだよ。』

『そういうのに男は弱いんだよねぇ~』

『じゃあ、待ってるね!』

『うん!』







こうやって、俺の9000万円貯めた貯金はあっという間に消えた!

お金が無くなれば、彼女の態度も変わる。

“あんなにとろける様な恋人同士みたいな関係も、お金が無くなれば

通りすがりの人。”

彼女にとって俺はもう透明人間!

最初から、彼女と俺は会った事がないような存在になる!




・・・俺には何一つ残っていない!

残っているのは、“大好きだった彼女の想い出だけだ。”


最後まで読んでいただいてありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ