チョコを手作りしようの日
『バレンタイン恋彩企画』参加作品です。
藤乃 澄乃様、宜しくお願い致します!
「チョコを手作り致しましょうw!」
利発そうな少女が言った。
「いえええええええw♪」
頭の軽そうな少女が乗った。
「……
何で俺に言ってんだ?」
少年が嫌そうに言った。
利発そうな少女が続ける。
「バレンタインデー。 海外では
男性が女性に花等贈る様ですわw?」
が、少年は不機嫌そうで。
「其れこそ余所は余所! 家は家! だな?
況してやチョコなんか日本独自だろう!」
「良いじゃあないですかw!
友チョコなんて言って友達と交換し合ったり
自分チョコなんて自分で食べたりもしますしw!
楽しいですよw?」
「どう考えても男子禁制だろう!!
居たたまれないわっ!!」
少年は何処迄も嫌がるが。
利発そうな少女が顔をずいと寄せて凄む。
「陣さんわたくし一人に
海さんのお守りを押し付ける気ですかw?」
「いえええええええw♪」
頭の軽そうな少女、海がはしゃいでいた。
少年、陣は怯むものの。
「一人じゃないだろう!
まなこさんもせつなさんも居るじゃあないか!」
少年少女達には
一人ずつ成人女性が付いていた。
海のお付きせつなさんは。
縋る様な眼差しだ。
利発そうな少女のお付きまなこさんは。
圧力の有る眼差しで。
やはり陣を威圧している。
利発そうな少女は更に。
「ほうらw! さつきも陣さんを責めてますわw?」
等と言い。
陣のお付きさつきは実際
陣を視線で責めていた。
「っつーか何で美羽がさつきさんを呼び捨てしてんだよ?!
さつきさん睨むの止めろよっ!!」
陣はもう辛抱堪らなかった。
結局。
陣はチョコの手作りに参加させられた。
少年少女は皆
部屋着にエプロン、三角巾、という出で立ちであった。
成人女性達はパンツスーツにエプロン三角巾である。
陣は呻く。
「うああ……!
女性ばかりの所に男が一人って!
凄え居心地が悪い……!」
海が何気なく、本当に無邪気に言う。
「だって陣はホモなんだろ?」
「其れ止めろ本当にっっ!!」
陣は即座に絶叫だ。
「何で女って直ぐ其ういう方向に行くんだっ?!
変態が好きって訳じゃないだろうっっ!!」
陣の疑問に。
「一部にはヘンタイさんが趣味な方もいらっしゃるでしょうw!」
美羽がぼそりと答える。
「大部分は。
ヒトは自身の想像の範囲からしか
窺う事が出来ないのでしょうけどねw?」
陣は直ぐに納得する。
「ああ! 他種の生き物の行動原理を考えるのに
視覚重視な見方しか出来ないヤツ多いものな!」
「……えっと……w?」
今度は美羽が戸惑うが。
陣は即答する。
「ヒトの視覚はヒト特有なものだ。
其れは良いか?」
「はい」
「しかしヒトは異種の生物を解釈するのに
度々間違える!
他者は自分とは違う!
其の程度の事も分かっていないヤツばっかりだからだっ!!
例えばイヌネコは普通に色盲とかな!!」
「あ、はい」
「アレだろう? 女が簡単にヒトをホモ呼ばわりするのは
女からしたら男が恋愛対象なのには違和感が無いから!
だな?」
「其うですね?」
「男からしたら迷惑でしかないっ!!
時々は居るだろう
ホンモノを刺激されても困るしなっっ!!」
「わたくし一人に言われても
世の中は変わらないと思いますわw?」
「俺の人間関係なんか其うは広がらないから
其れで充分だ!」
「陣さん寂しいおヒトですわねw?」
「煩いなあ!」
陣はぼやくが一先ず決着した様だ。
「美羽! 陣!
何コソコソお喋りしてんだよお!」
今度は海が騒ぎ出すが。
陣が言い返す。
「海は先ずヒトの嫌がる事はしない! ってのを覚えような?」
「おう! 大丈夫だぞ?」
「出来てねえ!! って言ってんの!!」
其んな調子であったが。 場所は。
今からでも商売が始められそうな
「厨房」
であった。
迚も個人宅の台所等とは思えない。
其処へやって来る新たな人物達。
「ふはははははw!
どうだw? 此処を使うと言うに相応しい事が出来るのかw?
宙宇基ぃいw!」
「ネタだろう!! 今度こそウケ狙っているだろう!!」
つい陣がツッコんでしまう新たな人物達は。
部屋着、ではあろうが
見る者が見れば質が桁違いだと分かる高貴さで。
態度も正に
踏ん反り返って腕組みし。
……
其の上で。
エプロン三角巾な姿の。
神威覇征抖であった。
更に更に。
両脇に
如何にも護衛! といった黒服サングラスの男達が侍るが。
男達も黒スーツでぴしりと固めて手を後ろに組んだ上で。
エプロン三角巾を着けていた。
其処へ陣はツッコんでしまったのだが。
「宙宇基いぃいw! 無礼ではないかw?
場所を提供させておいてw!」
「宙宇基」は陣の名字であった。
「ああ有難うなっっ!!
いや俺がやりたくて借りた訳じゃあねえけどもおっ!!」
其処は譲れない様であった。
しかし神威のノリは。
「くっくっくw! 見苦しいぞw!
男なら言い訳せずに納得の作品を作って見せろw!」
「おお! 燃える展開だ!」
海が盛り上がっているが。
「燃えねえよっっ!! 恥ずいわっっ!!」
やはり陣は譲れない様だった。
「まあ世間様じゃホワイトデーなんて有りますがw?
今日一遍に済ませてしまえば
面倒が無いのではなくてw?」
何やら美羽が話を纏めたみたいな事を言う。
が。
やはり陣は。
「日が分かれているから
男は恥ずかしくない!! んだからな?!
二月辺りは
男は恥ずかしくて普通にはチョコ食えねえ! って聞くよ!
俺程度の人間関係でもな!!」
「陣さん……悲しいおヒトですわね?(含み笑い)」
「煩えっての!!」
結局陣は弄られるのであった。
其して。
「ふははははw! 精々励めよw?」
神威は厨房を出そうだった。
「神威っ! 行っちまうのかよっ!!」
陣が声を掛けるが。
「くっくっくw!
オレは場所を提供した時点で
充分役は果たしただろうw!」
神威は余裕の笑みだ。
「分かるなw?
貧乏人が出せるものは労働力のみw!
其れが社会の構造だw!」
「ぐっ……!」
陣は悔しがるが其れは確かであった。
やはり男は陣一人と成った空間で。
遂にチョコ作りが始まる。
「チョコ作りって言っても。
形を作るだけですわよねw?
其のままでも食べるのは食べられますしw?」
「身も蓋もない事言うなああああああ!!」
美羽は終始
おちょくるか揶揄う様であったが。
「さーあテンパリングですわよw?
単純に言えば
一度完全に溶かしてから冷やしたチョコを
再度温めるだけですけどw!
此の温めの温度! 掻き混ぜ具合! 時間!
どれもが適切でないと出来が天地程も違うのですわw!」
此処は美羽が張り切って解説する。
「はぁ~……? 理科の実験か何かみたいだな?」
「ムツカしいな!」
陣も海も聞き入るしかない。
「丁度良い温度は品に因って異なりますからw?
其の場其の場で確かめるしか有りませんわw?
方法は……w!」
「ふむふむ……」
陣が大人しく聞いていると。
「ふふふw! 生徒が優秀だと
教え甲斐が有りますわねw!」
美羽が何やら喜び。
「あははw♪ 今日は陣が逆だなw!」
海も何やらはしゃぐ。
が。
「……
俺……何やってんだろう……?」
冷静に成って振り返ってみたのか。
項垂れてしまった。
しかし美羽が言う。
「男の方って何も考えずに食べるだけで
少しも女の苦労に気が付かないですからw?
陣さんだけにでも知って貰えれば
凄く! 嬉しいですわw?」
「其れこそ俺一人が知った所で
世の中変わらないだろう……!」
「わたくしとて男の方の知り合いなんて其うは増えませんしw?
充分ですわw?」
「あっそ!」
陣は俯いたままだが。
「あー理科の実験か何かの積もりでやってやるよ!
何やら難しそうなのが意地張れる所だなw!(ニヤリ)」
「おー燃えるのか?」
海は無邪気に訊くが。
「恥ずかしいのを誤魔化そうとしてんだっつーの!
やっぱり男がやる事じゃあねえ!」
陣はやはり其んなだが。
海は無邪気に言う。
「ぱてしえって男ばっかりじゃない?」
「知らんわっっ!! 目指す気も無え!!」
陣は拒絶するものの。
「パティシエは勿論。
チョコ専門の「ショコラティエ」なんていらっしゃいますしw?
抑も「男性形」なので
男の方ばかりなのは当然ですわねw?」
美羽が語り続ける。
「だんせーけー?」
海はもう幼子の様な訊き方で。
「英語は実は規則が緩く成った方で。
西洋の言語は性別が細かいのですわw?」
美羽はもうすらすらと答える。
「おー……!
陣も其うだけど美羽もエラいなw!」
「エラいって何だよw!」
陣が呆れつつも海にツッコむと。
「アタマ良いってw!」
海は無邪気に返す。
「海さん可愛いですわw!」
「ありがとーw♪ いええええええw!」
一見美羽が褒めた様で
海が盛り上がるが。
陣は引き攣った顔で美羽を見る。
「可愛い」とは突き詰めれば
相手が劣っているという認識なので。
女性にとっては其の限りではない様だが。
美羽と海との此のやり取りは度々有るのだが。
必ず。
陣が。 海を。 バ……頭が良くなさそう、
と思った時にやっているのだった。
其れは其うと。
手作りチョコの出来栄えはというと。
「くっくっくw!
どうやら出来た様だなw!」
神威覇征抖が。 審査員然として席に着いていた。
三角巾エプロン姿のまま。
「……食いには来るんだな……?」
陣はジト目だが。
神威は悠然としている。
「此んな厨房を使わせてやっているのは誰だw? んんw?」
「ああ有難うよっ! んで作品は対価って訳か!」
「其ういう事にしておけば気も紛れるだろうw? んw?」
陣が恥ずかしがっている事は
神威にも分かっていた様だ。
「悪趣味だなっ!」
陣が毒づいても現実は変わらない。
「ふははははw! では此のオレが出来栄えを見てやろうw!」
「……いちいち彼んな笑い方して
疲れんのかな?」
陣はつい呆れてしまうが。
神威は高笑いを止めない。
「先ずは宙宇基だぁw!
……ふむw! ちと考え過ぎの様だなw!
味は小ぢんまりと纏まり過ぎではないかw?
しかし……!
ハートw! 宙宇基がなあw?
くっくっくっくっくっ……www!」
「型がソレしか無えんだろチクショーっっ!!
ぐぐぐぐぐっっ……!」
陣の顔は。
茹で蛸とは此ういう事か!
という有様であった。
「次は美羽かw!
ふむふむw? ……まあ……
品質は何とか保っている、という所か。
素人としては、だが」
「……陣さんに負けてしまった様ですわw?」
美羽は苦笑いだが。
「美羽、神威にも名前呼び強要してんのか?」
陣が気になったのは其処であった。
「強要だなんてヒト聞き悪いですわw?
神威さんは中々気遣いのヒトですのよw?」
「あ゛ー……! 其んな所有るよな!」
呆れるも陣も認めざるを得ない。
結局、陣は美羽と海の名字を聞いていないのだ。
「では最後は海だなw!
……
むうっ……! おお……っ?!」
「「?」」
美羽と陣にも
神威がどういう反応をしているのかが分からなかったが。
「……信じられんっ……!
プロとも張り合えるぞっ……!」
「やったーw!」
「「……」」
何やら謎の力が働いて
海のチョコは別次元だった様だ。
其ういう結果であった。
「では後は好きな様にしろw?
だが素人なりにも後片付けだけはしておくが良いw!
ふははははははははははははw!」
神威は高笑いしながら再び退室する。
「……疲れないのかね? 本当に」
陣こそ疲れた風に神威に呆れる。
其して。 片付けも其うだが。
出来たチョコを其れぞれお付きの女性達に渡す。
お付きの女性達というのは。
と或る目的で集まった少年少女の。
お世話係兼護衛なのであった。
「えー……! 材料から場所から神威が用意したモンだけど!
一応労働の成果って事でっ!
日頃お世話になっているお礼!
ホワイトデーか何かの積もりで受け取ってくれ!
……って泣いてんのかよさつきさん?!」
「……其ういう時は知らぬふりをするものですっ!」
「ああご免!」
其して。
有るチョコは全部消費すべきだったので
チョコパーティー、という様相に成った。
「さあ陣さん! わたくし達のチョコを食べるのですw!
其してチョコを見る度にわたくし達を思い浮かべるのですわw!」
「いやだから何だって其んな
俺に印象付けようとしてんの?
……海のチョコ本当に違うな?」
「おー其れは褒めているのか? 陣!」
「其うだな」
「熱い友情だなっw!」
「其う……なのか?」
「可愛いですわ海さんw!」
「ありがとーw♪」
「おっ……美味じい゛でずう゛海っ……!」
「おいせつなさん泣いてるぞ?」
「おーよしよし! 良かったねせつな!」
「如何ですか陣さんw!
良いものでしょう友チョコ自分チョコw!」
「だから男が参加するモンじゃあねえって……!」
「と或るアニメ化マンガでは
海外の男の子が騙され……助言されて
女の子主人公にチョコを贈る様に成るのですわw?」
「今騙されたって言ったなあっっ?!」
「口が滑りましたわw?」
其んな風に2月14日は過ぎて行った。




