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ヤサシイユメ、ワルイユメ。  作者: いつもニコニコ白色君
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序章  浅い眠りで見る夢

サブタイトルの意味は、「まだまだ序の口なんだよ」ってことです。

なんか口調がボーイッシュでわかりずらいですが、主人公も女の子です。あと、さらにわかりずらい事項として、主人公目線と第三者目線がシームレスに入れ替わっています。この事に関してのクレームは甘んじて受けます。(他の事は極力やめてほしいです)

これからもっとディープになるので、覚悟のある方は是非、これからの作品も見てやってください。

「おやすみ~。」

家族に寝る前の挨拶をして、ベッドに入る。今日はクタクタになっていたので、すぐに眠気が襲ってきた。その睡魔に抗う事なく、ゆっくりと瞼を閉じた。

「また来たのかい?」

ノイズ混じりの、優し気な声が聞こえる。その声は、聞いているとどんなに辛いことも全て忘れさせてくれるような、そんな甘美な響きだった。



















ふと目を開けると、そこは真っ暗な部屋だった。

「ん…あれ?\(゜ロ\)ココハドコ? (/ロ゜)/」

隣から騒がしい声が。

「ん…うるさい…折角ゆっくり寝てたのに…ってここは?」

もう一人いたらしい。

「えっと…どちら様…?」

ふたりに問いかける。

「拙者でござるか?」

拙者って…。

「拙者は和歌山(わかやま) 雨音(あまね)でござるよ。さっきの声色的に二人も女の子でござるな?嗚呼、顔が見えないのが悔しい…ッ!!」

「私は青空かなで。本当は自己紹介とかしてらんないくらいこの状況が怖いんだけど、なんで…ええと、雨音ちゃん…?は、そんなテンション高いの?」

「むしろこの状況でテンションが上がらないはずがないッ‼真っ暗な空間に集められた顔も名前も知らない三人!大冒険の予感がプンプンするでござるよォォォッ!」

…なんというか、元気な子だなあ…と、苦笑いを零すかなで。

「そういえばあなたは?っていっても姿も見えないんだけど、さっきからあんまり喋ってないよね?まだ名前も聞いてないと思うんだけど。」

そう言えばそうだった。

「僕は罪木(つみき) (みやび)。僕もなんでこんなところにいるのかよくわからないんだけど…とりあえずよろしく。」

「雅ちゃんにかなでちゃんでござるかあ…!嗚呼、早く顔が見たいでござる…ッ‼」

雨音という子は、相変わらずのテンションだ。

「と…とにかく、よろしくね!…自己紹介終わったし、早く明かりを探そうよお…。」

「そうでござるなッ!早く光源を確保して、二人の顔を拝まなくては、、、嗚呼、想像するとワクワクしてくるでごさるよ!」

雨音はかなでとは別の理由らしいが、とにかく光源確保には賛成のようだ。

「じゃあ、何かないか探してみようか。と言っても、前が見えないから手探りになるだろうけどね。」

そうして、三人は手探りで何か光源になりそうなものを探す。しかし手探りなので前が見えず、ちょくちょく壁や他の誰かにぶつかる。なお、雨音にぶつかった際は、

「おっ?まさか拙者を押し倒そうと...?どっちでござるか?いや、どちらにせよ、合法的に可愛い女の子に押し倒される展開...役得でござるぅッ!」

...って感じで、ちょっとぶつかっただけでもこのような反応が帰ってくるので、なかなか反応に困る。しばらくそんな感じで四苦八苦しながら探していると、どこからか、

「あった!懐中電灯見つけた!よかったぁ...」

と、安堵したようなかなでの声が聞こえた。その声がした方へ行くと眩しい明かりに照らされた。

「おお!ようやく見つけたでござるかぁ!では早速なのだけどその懐中電灯を拝借...。」

雨音は、そう言いながらサッとかなでの手から懐中電灯を掠めとる。そして、雅とかなでに明かりを向けた。ずっと暗闇にいた目には、急な懐中電灯の明かりは少々眩し過ぎて、思わず顔をしかめてしまう。

「おお!想像通り、ふたりともとっても可愛いでござるゥッ!雅ちゃんの方は短めでちょっとポサついた小豆色の髪に、何か闇をもっていそうな黄色く光る瞳!嗚呼、性癖に刺さるッ!刺さりまくってるでござるゥッ!」

余りにもテンションの高い丁寧な説明である。読者様の性癖に刺さっているかどうかは置いといて。

「かなでちゃんは金髪ストレートに赤目...ッ!そしてアホ毛ッ!ああっ、尊いッ!」

確かに、かなではとても整った顔立ちをしている。それも美人系と言うよりかは、可愛い系に分類される感じだ。そんなかなでが、すこし不満そうな顔をする。

「ねぇ、私達だけジロジロ見られて、ずるくない?私達にもあなたの顔見せてよ。」

もっともな意見である。

「え、あぁ...拙者あまり可愛くない故、お二人のあとから出てくるのはハードル高いでござるよ...?」

「はーい。つべこべ言わなーい。」

「あっ!ちょっと...!」

かなでが、先ほど雨音に奪われた懐中電灯を奪い返す。 

「ほらっ、よく顔見せて~。」

そうして、雨音の顔にライトが当てられる。

「おっ、とっても可愛いじゃん!」

ライトに照らされて現れたのは、深い緑色の髪を肩まで伸ばした、青目の眼鏡っ娘だった。

「は、恥ずかしいよぉ...まさかボクがこんな...。」

雨音はキャラが崩れるとボクっ娘になるらしい。可愛い。

「あっ、雅ちゃんが笑ってる。」

かなでがいつの間にかこちらを向いて言う。

「え?僕、そんなに笑わない印象があったの?

割と心外である。

「そうだねぇ...声色とかのせいかな?なんかすごく落ち着いてるイメージだったよ?」

マジか。そういえば、眠い時は不機嫌そうってよく家族に言われてたな。もしかしてそれかなぁ...。なんて考えていると、先ほどまでぶつぶつと何か呟いていた雨音が唐突に。

「それより、拙者達はなぜここにいるのだろうか?懐中電灯で見た感じは、学校の教室のような場所なようだけど。」

言い終わるや否や、かなでは急に雅に抱きついてきた。

「おぉっとここで唐突な百合展開か?そうなのかぁ!?」

雨音氏ちと落ち着いてほしいかな。

「そうだったッ!なんで私達こんな所にいるの!?わかんない!怖いっ!」 かなでが軽くパニックに陥る。

「まぁまぁ、落ち着いてよ。でも確かに、なんで僕達はこんな所にいるんだろうね。流石にこれから授業とかはないだろうしねぇ...。というか、真夜中にこんなボロっちい学校で授業とか笑えないけどね。」

「もしかしたら授業かもよぉ?体育の一環でホラー脱出ゲーム実体験!ていう。」

雨音が食いぎみに言う。

「プルプルプルプル」

未だ抱きついているかなでが、体を小刻みに震わせている。

「こらこら、あんまりかなでを怖がらせないでやってあげてよ。にしても、ホントにどうしたものかなぁ...。」 

少し思案に耽っていると、かなでがこれまた急に。

「そういえば目を覚ます前、何か聞こえたよ?男の人の声だったけど、すごい優しくて甘い声だった...気がする。」

「それ、拙者も聞いたでござるよ。確か、《また来たのか》見たいなことを言ってた気がするでござる。」

言われてみれば、そんなこともあったような気がする。

「もしかしたら、その男性がこの状況の手がかりになるかもしれないね。探してみようか。」

考えても仕方ないと思い、行動しようという考えを伝えてみたが、すぐそこから、抗議の声が上がる。

「嫌。絶対嫌!だって怖いもん!動きたくない!」

どうやら、かなではずいぶんな怖がりらしい。まぁ、今までの行動で既にわかってたけど。そんなかなでの顔を覗き込むように、雨音が顔を近づけて。

「でも、ここで固まるのも得策とは言えないと思うよぉ~?だって、そもそも拙者達は自分たちでここに来た訳じゃない。もしかしたら、ここに拙者達を連れてきた張本人がすぐそこにいるかも...「ぎゃああああああああ!!!」」

耳元で絶叫された。キーンってする。痛い。

「あははっ、かなでちゃん弄るの楽しいでござる♪」

上機嫌そうな雨音を、鋭く睨み付けるかなで。

「覚えときなさいよ...。あとで倍返ししてやるんだから...。」

おおぅ。もしかしてかなで氏、キレさせるとヤバイタイプか?なんかオーラみたいなの感じるんだけど。

「でも、ここが安全と言えないのは本当のことだと思うでござるよ。さっきの拙者の話も、十分考えられるし。」

「確かにね。やっぱりここは雨音のいう通り、動いた方が得策だと思うよ。」

雅にも諭され、渋々納得した様子で。

「わかった...。でも本当に怖いから、手を繋いで行ってってもいい?ていうか、ダメなら動かないっ!」

まぁ、異性でもないしそのくらいなら...と思っていると、隣で悶絶しかけている雨音。

「ア"ァ"ッ尊いッ!尊いの極みィッ!!!というか美少女と合法的に手を繋げるゥッ!!!ああ、ここが人生のピークだったか...。」

とかいう意味わからんしわかりたくないような単語を悶々と呟き続けている。

「じゃあそれでいこう。あの様子だと雨音も君の条件を嬉々として呑んでくれるだろうさ。」

そういうと、かなでは顔をあげて、

「な、ならよかった...。」

といいながら、抱きついていた雅からはなれ、今度は雅と雨音の手を"しっかり"にぎる。そう。"しっかり"と。

「ア"ァ"...これがかなでちゃんの愛の証...。ちょっと強めだけど...そこがまたイイっ!」

...向こうは随分と嬉しそうだ。僕にはよくわからないよ。

「よしっ、これならなんとか頑張れる...。さぁ、行こう!」

かなで氏、急に仕切り出す。まぁ、元気そうだからいいか。


思えば割とのどかに始まったもんだけど、ここから僕らに待ち受けていたのは、そんな生易しいもんじゃなかったんだ。知らないってことは優しいことだと、今は思うよ。

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