ピンクでキイロでギンイロで。
その人は四季折々であだ名が変わる。
春はピンクさん、夏はミドリさん、秋はキイロさん、冬はギンイロさん。
「桜なの、俺。実は広葉樹でした〜」
髪、傷みそうですね、と言ったら、そんな答えが返ってきた。
「秋は黄葉してるってことですか?」
「そう。春は花が咲いてる」
「…冬には葉が落ちてなくなるのでは…?」
その言葉にミドリさんはキョトンとして、すぐに鼻に皺を寄せ、大きく口を開けて笑った。
「それ初めて言われた。樹の姿だったらそうだけどさ、一応冬も栄養摂ってるから、俺は」
「そういうものですか…」
ただ、会話の糸口が欲しかっただけの質問。
冗談とも本気ともつかない答え。
(そういうトコ…!)と内心身悶える。
「この先も毎年、お花見できたら嬉しいです」
控えめに言った私に彼は嬉しそうな笑みを向け、うん、と小指を絡ませてくれた。
end
▽こちらで手書き原稿公開中▽
☆ツイッター:https://twitter.com/komine_kanata
☆インスタグラム:https://www.instagram.com/komine_kanata
お読みいただきありがとうございます!
面白いと感じたら「ブックマーク」と下の「評価」登録にご協力くださいませ。
※作品に関わる全ての情報は著作権を放棄していません。無断転載・再配布はご遠慮ください。
※この作品はフィクションであり、過去および現在の実在人物・団体などとは一切関係ありません。