1.勘違いする魔王。
ここから第1章。
短めのプロローグ、って感じで。
「ふむ……。なんだ、この視線は?」
――翌日。
宿からギルドへ向かうと、何やら周囲の視線が気になった。
まるで変哲なものを見るような、そんな目を向けてきている。俺の外見は人間と差異がないため、服装さえ変えてしまえば魔族とはバレないはずだ。
あるいは、ファッションセンス、というものに問題があるのだろうか。
「……人間の文化とは、まだまだ理解し切れないな」
身に着けている衣服――その上に安物の革鎧を付けている――を、まじまじと見ながら、俺は一つ息をついた。
何度でも言うが、俺は目立ちたくはない。
このような無用な要素で注目を集めるのは、不本意の極みだった。
「あ、あの……」
「もう一度、武具屋に行ってみるか。それで――」
「す、すみません!」
「……む?」
そう思いながら独り言ちていると、だ。
後方から、少女のものと思しき声が聞こえた。
どこか聞き覚えのあるそれに振り返ると、そこにはボロボロな衣服に袖を通した赤髪の少女が立っている。たしか、この子は――。
「あの、ぼくはカイナ、っていいます!」
そう、昨日かかわった少女――カイナだった。
身の丈は俺の半分程度だろうか。年端もいかない彼女は、どこか緊張した面持ちでこちらを見上げていた。
何があって俺に声をかけたのか。
それは分からないが、ふと俺は思い至ることがあった。
「お願いします。ぼくをパーティーに――」
「すまないが、一緒にきてくれないか?」
「入れて……へ?」
カイナの言葉を遮って、俺はそう提案する。
すると彼女はどこか呆けた表情になって、首を傾げるのだった。
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