↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/8

1.冒険者になる魔王と、それを見た者。








 ――王都には、やはり活気があった。

 魔王城近辺とは打って変わって、人間たちの笑顔に満ち溢れている。その様子を見ていると、半分は人間の血が流れている俺も心が躍った。

 悪くないだろう。

 ここで、悠々自適に生活をする、というのも。


「しかし、どうやって金を稼ぐか。それが問題だな……」


 だが、当然生きていく以上は問題もあった。

 当面の生活費――食事一つとっても、ある程度の金銭は必要となる。

 そうなると、素性を隠して働かなければならなかった。そうなってくると、思い当たるのは人間であった母の話していた生業。



「冒険者、か……。それがいい」



 身分は問わない。

 素性を隠すにも持ってこい、というところだ。

 俺は静かに歩みを冒険者ギルドへと向けた。そして、中に入る。



「ふむ、魔王城よりも散らかっているな。ここが、ギルドか」



 第一印象は、雑然、という言葉がしっくりきた。

 併設された酒場から漂う酒気が充満しており、昼間だというのに赤ら顔をした者もいる。俺はそんな景観にさえ笑みを浮かべつつ、受付へと向かった。


「済まない。冒険者登録をしたいのだが……」

「あぁ、はいはい! えっと、お名前は?」

「――アドだ。ファミリーネームは必要か?」

「いえいえ、大丈夫ですよ」



 そして、簡単な手続きをしてギルドカードが発行される。

 その際に水晶に手を翳すよう言われた。



 ――これは、魔力測定の水晶か。



 簡単に言えば、その者の能力を測るためのものだった。

 しかし、目立つことは得策ではない。俺はそう考えて意識を集中させた。


「えっと、Fランクか……。気を落とさずに頑張ってね、アドさん!」

「あぁ、ありがとう」



 魔力の量を最低ランクになるよう調整する。

 すると、いとも容易く水晶は俺の魔力を誤計測した。Fランクというのは、もはや戦闘に出ることもおこがましい、という烙印に近い。

 だが、それでいい。

 あえて目立つようなことをして、素性がバレる方が問題だった。


「さて、これからどうするか……」


 俺はギルドを出て、まだ日が高いのを確認して考える。

 ひとまずは単独でダンジョンに赴くのも悪くはない、のかもしれなかった。いかんせん三日は何も食べていない。

 食事をするためにも、金は必要だ。



「では、行くか」



 そう独り言ちて、俺はダンジョンへと向かった。







「ふん……。どこを見ても、薄い魔素に貧弱な魔物ばかり」


 無詠唱魔法で、雑魚を蹴散らしながら。

 俺はとにかくダンジョンの奥地を目指し続けた。



「ドラゴンに、ヒュドラ。アークデイモン……」



 種族こそ同じだが、どいつも魔素の不足によって弱っている。

 しかし戦闘意欲は旺盛らしく、こちらの魔力に反応したか、目に入ると即座に飛び掛かってきた。その姿勢は、魔王城に残してきた木偶共にも必要だろう。

 そんなことを考えつつ、俺はすべて一撃で屠っていった。


 魔素の欠片を売れば金になる。

 そう話に聞いたので集めているのだが、このくらいでいいのか?



「ひとまず、街に戻るか」



 俺は空間魔法で欠片を片付け、一息ついた。

 そして、黙々とダンジョンを後にする。



 だが、この時は気づかなかった。










「す、すごい……!」






 俺の戦いを見ていた人物があったことに……。



 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「最低聖女が改革していく話」新作です。こちらも、よろしくお願い致します。
― 新着の感想 ―
[一言] 一番下のFより、Eランクとかの方が目立たない気がするが...まぁテンプレだししょうがないか。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。