表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
七色の鱗  作者: 河東 鶚
8/36

七色の鱗 8

 学校が終わるとともに裕太は学校を飛び出した。

 息を切らしながら走って走って走った。

 裕太は和馬の家のドアの前に立った。

 インターホンを押しても反応がない。

 厚い扉をドンドンと叩いた。

 家の固定電話も携帯もメールすら通じないとクラスメートが話していた。

 何か大変なことが、起こり始めたのかもしれない。

「おい!和馬いるか!大丈夫か!」

 いくら叩こうと鉄の扉はびくともせずに立ちふさがっている。

 和馬の家は母親一人しかいない。その母親も今日は仕事で帰りが遅くなるはずだ。

「くっそ!」

 裕太はカバンを投げ出すと、扉を全力でけりつける。

 ガン!ガン!ガン!

 誰もいない階段に鈍い音が響き渡り、反響してグワングワンと唸るような音を立てる。

 しかし部屋に入ることはできない。

 裕太はドアをたたき続けた。

 こぶしの皮がむけて血がにじんだ。

 足にもぬるぬるとした感触がある。

 しかし、裕太はドアをたたく。

 ガン!ガン!ガン!ガン!

 階段に音が響く。

 日が暮れて階段が茜色に照らされる。

 黒い扉は開かない。

 ガン!ガン!ガン!


 裕太が部屋に入れたのは、日が暮れてしばらくたって和馬の母親が帰ってきてからだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ