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七色の鱗  作者: 河東 鶚
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七色の鱗 1

 人生で二度目の投稿です。

 まだまだ素人丸出しでつたないところもあるかと思いますが、なにとぞ最後までお付き合いいただければ幸いです。

 もしよろしければなんでもいいので何か感想をいただけると嬉しいです。

 いつのことだっただろうか。

 ある時とても印象的な夢を見た。

 真っ暗な空間でポツンと一人浮かんでいた。

 上も下もわからない。時間の流れもわからない。

 すぐだったか、それともしばらくたってからだろうか。

 真っ暗な空間にポツンと一つ光がともった。白くて小さな光だ。

 私はそこに向けて、真っ暗な中を泳いでいった。


 気が付いたら私は光の中にいた。

 真っ白い空間で、しかしさっきと変わらず一人ポツンと浮かんでいた。

 だがさっきとは大きく変わったことが一つあった。

 そこには雲があった。薄い灰色の雲が上に浮かんでゆっくりと流れていた。地面は見つからなかったけれど、もう上下は分かった。


 その時雲の中で何かが動いた気がした。

 なにか細長いものが雲の中を飛んでいく。


 突然ぱっと雲が晴れて、それと目が合った。

 

 それは一匹の大きな龍であった。


 蛇のような細く長い体。かなりの長さがあるが、尾がまだ雲の中にあるので正確な長さはわからない。

 体は薄い桃色のうろこに覆われている。桜の花びらのような、そんな色の鱗だ。


 顔も同じようなうろこに覆われ、立派な牙の生えた口とすらりとした角がある。牙も角もまるで玉髄でできているかのように白く滑らかだ。


 そして何より私のことをじっと見つめる龍の目ほど美しいものを私は知らない。

 薄く墨を溶かしたかのような非常に淡い青色の中に、まるでカミソリで切ったかのような細い瞳が浮かんでいる。


 その相貌を覗き込んだ時、体の中を何かとても冷たいものが貫いていくような衝撃を感じた。


 そのあとのことを私はよく覚えていない。

 気が付いたら朝になっていた。


 私はこの時、この体験が夢であったと初めて気が付いた。夢とは起きてしまうとあまり覚えていられないものだが、この夢ははっきりと覚えていた。そればかりか、まるでまだ自分があの龍の瞳に見つめているかのような、淡い視線まで感じる気がした。


 あれからもう何年たったかわからないが、私は今もこの夢をはっきりと覚えている。

 

 


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