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第九十七話 市場調査1

「ベネットが意外としっかりしていてびっくりした。昔から頭の良いところはあったが領主様とも対等にしっかり話が出来ていたな」


 幼馴染の活躍に少しうれしそうな顔をしているクロエ。大事な商談に商会長もおらずベネット一人だったこともあり心配していたのだろう。


「あとは、ちゃんとリンカスタービールや賢茶が売れていくことだね」


「心配しなくてもあれは間違いなく売れると思うぞ。あと、街道整備は冒険者にとっても有り難い話なのだ。可能であれば野宿のポイントになるような開けた場所も用意してもらいたいな」


「なるほど、確かにそれはあった方が冒険者は助かるね。馬車だって休憩が必要だしね。領主様とベネットにも話をしてみよう。場合によってはギルドからも予算を引っ張ってこれるかもしれないしね」


「それで、夕食は外で食べるのだったな。領主様に教えてもらったお店は……なるほど昔からエールビールを提供している冒険者に人気の店だな。どうするハルト、先にこの店に行ってみるか? それとも違う店からみてみるか?」


「そうだね。じゃあ最初は違う店をみてみようか。あまり飲み過ぎないようにして、その店に行ってみよう」


 クロエに案内されたお店は広場にほど近い若者に人気のボア肉料理のお店だった。肉の焼ける香ばしい香りが店内に広がっている。ベリちゃんも自然と笑顔だ。


「じゃあここで夕食にしようか。ベリちゃんはボア肉かな?」


「うん! ステーキなの! ミディアムレアなの」


 僕たちがミディアムレアと話していたのを覚えていたのだろうな。ベリちゃんは少し生の肉感を得られつつも香ばしい匂いが立つステーキが好みというワイルドな幼女だ。ドラゴンの時から好きだったので外見が幼女ではあるけど多分大丈夫だろう。きっと胃はドラゴンなはず……だよね。


「すみません、ボア肉のステーキを3人前で焼き方はミディアムレアでお願いします。あと、果物の盛り合わせと賢茶を1つ、それから冷えたリンカスタービールを2つください」


「はい、かしこまりましたー! ご一緒にパンは用意いたしますか?」


「そうですね、ではパンも2つお願いします」


 そういうと店員さんはオーダーを厨房に届けて飲み物を準備しはじめた。ビールのサーバーを見たところ、カイラルで見た時と同じように樽から下の部分のコックを捻るようにしてコップへと注いでいく。そのコップごとクラッシュした氷のボックスの中へ突っ込みしばらく冷やすようだ。氷については開店前に魔法使いによってその日の分を用意されているのだろう。今度は氷の中にあらかじめ突き刺すように置かれていた賢茶のポットをコップに注ぎ入れこちらに持ってくる。


「お待たせしました。先に賢茶をお持ちいたしました。リンカスタービールは冷えるまでもう少しお待ちくださいね」


「はい、ありがとうございます」


「賢茶はベリちゃん用だからね。溢さないように注意するのだぞ」


「うん、大丈夫なの」


 ベリちゃんが座るとテーブルの位置が少し高いためコップを手に取るのが大変そうだが、クロエが横で手伝ってくれるようなので大丈夫だろう。


 少し時間をおいて冷えたリンカスタービールもすぐに届けられた。やっぱり冷えている方が断然に美味しい。店内の他のテーブルを見てもみなリンカスタービールを飲んでいる。ちゃんと流行っている感じがするね。


「今まで飲み物を冷やして飲むという習慣がなかったのだが、一度体験してしまうと、もう冷やさないと満足できなくなってしまうな。ハルトは氷属性の魔法を使えるのだから困った時はこれで生計を立てられるのではないか」


 本気な顔でそんなことを言うクロエだが、なんだか魔法使いの使い方が間違っている気がするよね。それに、リンカスタービールと賢茶の売上でもう働かなくても大丈夫そうなお金を手に出来そうな気がしているんだけど。


 その後に出てきたボア肉のステーキを美味しくいただきながらビールで流し込むという、久し振りに充実した夕食に満足しながら、僕たちはビールが美味しいと言われている老舗の店へ案内してもらった。


 ここはギルドにほど近い場所で客層は冒険者の多い値段も少し抑えめのお店のようだ。お店に入ると入り口近くに見知った顔がテーブル席にいた。


「ハルトにクロエじゃねぇか! リンカスターに戻っていたのかよ! 一緒に飲もうぜ」

「お久し振りですね。お元気そうで何よりです。その子は?」


 どうやらギルド業務を終えたロドヴィックさんと仕事終わりのダリウスさんが一緒にこの店で飲んでいたようだ。


「お久し振りです。ロドヴィックさん、ダリウスさん。この娘はみなさんも会ったことがあります。覚えているかな、挨拶は?」


「ベリルなの! おじさんたちのことはちゃんと覚えているの」


「えっ!? ベリルって……マジか! あのベリルか!」

「これは驚きました。ベリルちゃん改めましてよろしくお願いしますね」


「うん、よろしくなの!」


「とりあえず、座れ座れっ! おい、姉ちゃん、こっちのテーブルにリンカスタービールを2つ追加で頼む。あと、ベリルは何を飲む?」


「賢茶冷たいやつー!」


「追加でそれも頼むわ!」

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エビルゲート~最強魔法使いによる魔法少女育成計画~
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