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第八十三話 成長

 大部屋に戻ってくると既にベリちゃんによるブレス無双が行われており、あれだけいたシーデーモンの数は残り数体となっていた。しかしながら、最終形態のシーデーモンもスピードが異常に早く、ブレスをかわしながら攻撃をしようとしてくる。


「ベリちゃんお待たせ!」


 そのスピードを持ってしても、2方向からの魂浄化(プリフィーソウル)となると話は別だった。魔法の靄も残るし、それを避けながら2方向を見ていないとならないのだ。全てのシーデーモンが消滅するまでにそう時間はかからなかった。


「どうやら全部消滅したようね……」


「いやぁー、久々に死ぬかと思いましたね。シーデーモン恐ろしい魔物でした」


「ローランド、あなたは数日前に一度死んでるわよ」


「…………」


「ベリちゃん、隠れてるシーデーモンとかいなそう?」


「キュィ」


 縦にゆっくり頷いているので全滅とみて間違いなさそうだ。ふよふよと近づいてきたベリちゃんはそのまま僕のお腹目掛けてダイブしてきた。今日はハードな1日だったし、体力も限界だったのだろう。大活躍だったしね。そ、それにしても重くなってきたな……。


「ハルト、ベリちゃん大きくなってない?」


「そうそう、ちょっと重くなったなと思ったんだけど、そういえば一回り成長しているような。あれっ? シーデーモンじゃレベル上がらないんだよね」


 両脇を抱えるようにして持ち上げると一回り大きくなっているように思える。本人は気にした様子もなく、早くローブの中に入れてくれ的な表情をしている。


「ハルト君、ベリル様のレベル上がってますね。ステータス表示にはドラゴンレベル3となってますよ」


 どういうことだ?


「ベリちゃん、洞窟の外で魔物倒した?」


 首を横に振りながらあくびをしている。本当に賢くなったな。じゃなくて、眠そうだ。まぁいいか、ヴイーヴルに聞いた方が早そうだ。


「そういえば、クロエとヴイーヴルは舟にいるのかしら?」


「あー、うん。イシュメルを倒すときにクロエも一緒に眠らせちゃったからヴイーヴルにみてもらってるんだ」


「あの魔法ね。あとでどうやって倒したのか詳しく教えなさいよ。では、私達も戻りましょうか。街に戻ったらベネットを呼んでパーティーよ」


 一応、わかってはいるがベネットも招待しようとかではなく、ベネットにボア肉を持ってこさせようということだと思われる。まぁ、機密事項が多いパーティだから簡単に招待するわけにもいかない。ドラゴン×2、賢者×2、ローランド×1だからね。こんなパーティ他にないだろう。


「ギルドにも報告しないとね。マルローさんも泣いて喜びそう。マーマンの数が減っていけばカイラルもかなり安全になるだろうからね」


「それにしても、シーデーモンの討伐証明が出来ないのが悔しいわね。何かいい方法はないのかしら」


「アリエス様、シーデーモンの弱点情報をギルドに高く買い取ってもらう方向で調整したらいかがでしょう」


「それだわ! イシュメル様やジャミルが操られていたことを伝えたら、その価値はグッと上がるわ」


 話をしながら洞窟を抜けると未だぐっすりと眠っているクロエをヴイーヴルが膝枕をして待っていた。結構な魔法が飛び交っていたが見る限り舟は無事そうに見える。これでようやく帰れるね。


「クロエはまだ寝ているのね。ヴイーヴルに膝枕させるなんてうらやましいわね」


「みなさんご無事で何よりです。全て倒したのですね」


「はい。ベリちゃんにも確認したので大丈夫なはずです」


「ならば大丈夫でしょう。ベリルも疲れてしまったのですね」


 ヴイーヴルは僕のお腹の膨らみを見ながら優しそうに目を細めている。


「既にぐっすりと眠っていますね。あっ、そうだ。ベリちゃんのことでヴイーヴルに聞きたいことがあったんです」


「それなら、港に戻る間にお伺いしましょう」


「そうですね。流石に疲れましたし、早く戻りましょう」


 帰りの舟は再びマメ扱いに戻った僕が運転をすることになった。海面にマーマンが出ても対処出来るようにローランドさんが見張り役となってくれている。アリエスはクロエと一緒にヴイーヴルの膝の上でお休みしている。クロエが羨ましかったのだろうか。ヴイーヴルの母性が溢れている。なんか絵になりそうだ。


「ベリルがシーデーモンを倒してレベルが上がったのですか」


「そうなんです。洞窟の外でも魔物を倒してないようなんですが、何か理由がわかったりしますか?」


「おそらくですが、精神的な成長の方が大きいのかもしれませんね。幼生体は不安定な状態であると伝えましたが、それは逆の意味でも言えます」


「逆ですか……」


「何も魔物を倒すだけが成長ではないのです。あの時ベリルは、クロエを助けたいという一心から自らを成長させたのでしょう。想いや感情といったものにとても左右されやすいのですよ」


「そんなことが……ドラゴンにとっては経験値というのは参考程度ということなんですかね」


「もちろん、もう少しでレベルが上がる状況だったということも条件としてあったとは思いますけどね。精神もかなり安定してきていますし、もう少しで成体へと変貌を遂げるはずです」

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エビルゲート~最強魔法使いによる魔法少女育成計画~
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