第六話 レベルアップ
「イノシシ消えたな……いや、魔法すげーな」
文字通り光に包まれて跡形もなく消え去った。とりあえず無事に魔法が使えたのはよかったけど、これ経験値入らないんだよね。まぁいい、ちゃんと魔法使いデビュー出来たしね。ちょっとホッとしたかな。
「とりあえず、この場所はゴブリンが仲間連れて来そうだしそろそろ移動しなきゃね」
せっかく川があるのを知っていながら行かないってのはちょっと悲しい。とはいえ何の策もなしに近づいていい場所ではないことは身をもって知っている。ゴブリンだけでなく他にもとんでも危険生物がいるかもしれない。やはり水場は危険だ。
うーん、今はまだ1体から2体でいるゴブリン狩りに専念してレベルが上がるまでは我慢しよう。
僕は少しだけ川のある方向に進み、進行ルート上にある木の上によじ登り『冒険の書』を開いた。葉が多く下からは見えにくい木なので見つかりにくいだろう。
それにしても序盤は割りとまめにセーブしていった方がいいかもしれない。急に後ろからイノシシが現れる森だからね。
バサバサバサッ この場所でセーブしますか?
「はい」
セーブ1に上書きしますか?
それともセーブ2に上書きしますか?
それともセーブ3に上書きしますか?
「えーっと、セーブ1に保存」
セーブしました。
どうやらセーブ出来るのは3番までらしい。セーブのタイミングも重要になりそうだな。気をつけよう。ステータスではMPが2減っている以外は何も変わっていなかった。もちろん次のレベルまでの経験値も変わらず残り50のままね。あと気になるのはあのイノシシの強さかな。
バサバサバサッ
ワイルドボア
HP:40
MP:0
経験値:30
イノシシやっぱりつえぇ! HPゴブリンの倍あるし。倒そうとか少しでも考えなくてよかった。経験値を考えるとチャレンジしてみたいけど牙めっちゃデカイし突進力半端ないし、運よく倒せても怪我したら目も当てられない。やはり回復魔法を覚えるまでは安全にいこうと思うんだ。
それにしてもどうやって効率よくレベル上げていこうか。はぐれのゴブリンがたまたま木の下を通ってくれたらいいけど、やつらも基本的には集団で行動しそうな気がする。何せ僕でも倒せるぐらい弱いのだから、この森の中でもかなり弱い部類に入るだろう。何かいい作戦とかないかな……。戦力を分断するようなことが出来ればいいんだけど。
「そうか! 魔法だ。人数が多いのなら減らせばいい」
僕の考えた作戦はいたってシンプル。魂浄化で数を減らした後に残ったゴブリンを倒してレベルアップ作戦だ!
一度使用したからなのか魔法で細かい指定が出来ることがわかる。光の粒子を広げる範囲を自分の判断で設定出来るので、集団ゴブリンを2体ぐらい残して消してからの全力戦闘で木の棒での殴り合い。これしかない!
なんとも魔法使いらしくない戦闘になるが、初期ステータスではやれることは限られているのだから何でもやるしかない。次のレベルアップで職業が魔法棒使いとかになっていないことを祈ろうと思う。
ギィー!! ギィアー!! ギャー!!
そんなことを考えていると、仲間を呼びにいったゴブリンが仲間を連れてきたのだろう。少し興奮しながらのご登場だ。会話の内容は解らないけど仲間の死体を発見したことで気が立っているのだろう。
全部で6体のグループだ。後方の2体が少し離れているので前方の4体が木の下に来た時が狙いどころだ。しかも運のいいことに後方の2体は武器を持っていない。落ち着け。さっきと同じようにやれば大丈夫。よ、よし! いくぞ!
ゴブリン達が木の下に来る少し前に飛び下りて僕はすぐさま魔法を唱えた。
魂浄化!
左手から光の粒子が出ない。あとは範囲を指定してって光の粒子ぃー!!!
一瞬身構えていたゴブリンも仲間と顔を見合わせるとニヘラッとしわくちゃな顔を更に歪めて笑った。
前方にいたゴブリンは矢をつがえている。更に2体のゴブリンが左右に別れて僕を逃がさないように囲みこもうと動き出す! ええい! や、やってやる!
僕は弓を構えているゴブリン向かって突進していく。矢はダメ! 刺さりたくない。破傷風とか怖いんだからね! 逃げ出すと思い込んでいたゴブリンはびっくりした顔をしていたが、目を細めると狙いを定めて矢を放った。
僕は弓から手を放した瞬間に横っ飛びで奇跡的にかわすとすぐに立ち上がり相棒をひと振り!
グキャァァァ!!!
続けざまに中央突破で右足でゴブリンを蹴り飛ばしながら距離をとり相棒を振り回すこと2回!
ギイァァァ!! ヒギャァァ!!
一番後ろにいたゴブリンは逃げ腰で後ろ向きに後退るとそのまま尻餅をついてしまった。僕は勢いに任せてフルスイング。首は完全に曲がっている。あと2体。
振り返ると興奮しているゴブリン達は飛び跳ねながら威嚇をしてくる。
さっきと同様1体は蹴り飛ばし距離を空けるともう1体を確実に仕留める。最後の1体もすぐに飛び掛かってきたが頭をフルスイングで沈黙させた。靴下2発で沈んでいたゴブリンは今回木の棒1発で仕留められた。首や頭などの急所を狙ったとはいえ、武器の性能とレベルアップで力が少しは増していたのだと思う。
しばらくするとゴブリンの胸の辺りから光が飛び出し、また僕の胸に吸い込まれるように飛び込んできた。
トクンッ
前回のレベルアップと同様に体が熱くなる。体中を熱いものが駆けめぐっている。力はみなぎり、新しい知識が頭に刻みこまれる。
よし、新しい魔法を覚えたぞ。
しばらく毎日投稿頑張ります。
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