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第五十四話 マーマン戦1

「ところで、何処に向かえばいいのかな?」


「ちゃんとクエストを見たのよね? 書いてあったでしょ」


「いや、僕アストラルの文字わかんないし」


「あら、そうだったの? 早く言いなさいよね」


「誰か場所とか方角を教えてー」


「それなら私が案内しよう。クエスト情報も頭に入ってるからな。ベリちゃんも海に落ちないように操縦ルームに行こう」


「キュィ」


「ハルト、あの右側の小さな島を目指して進めてくれ」


「了解、あの島だね」



 クエストの内容はこうだ。


 港から島に向かう途中に少し深い海域があるらしく、多くの魚が集まる良い漁場なのだそうだ。ここで多くの漁師が漁を行うとのこと。


 しかしながら、この海域にはマーマンも多く出現し、仕掛け網に掛かった魚を食べてしまったり、網そのものを破られたりするそうだ。


 最近ではクエスト参加者が減っていることもあり、マーマンの数が増えすぎて舟や漁師にも多大な被害が出始めているとのこと。




「マーマンってどんな魔物かクロエは知ってるの?」


「人伝に聞いたことがある程度で、実際には見たことがないのだ。舟の縁に腰掛けていたら、海に引き摺りこまれたとかの話は割りとよく聞いたことがある」


「海の中で戦いたくないね……。単体ではそんなに強くないってことだけど、ゴブリンぐらい?」


「同じぐらいだそうだが、海の中ではゴブリンの倍は強さが増すはずだ。というか、我々の動きや攻撃力が格段に落ちるのだがな。あとは、火魔法は水の中では基本的に使えないから気をつけた方がいい」


「つまり、舟の上から魔法で、海面から顔を出している瞬間を狙うということだね」


「そういうことだ」


「僕がマーマンなら手っ取り早く船底を破壊すると思うんだけど、その辺りの対策はどうなってるのかな?」


「どうなっているのだろうな? そう言われると急に不安になってくるな……」


 海の上での戦闘において、舟が沈没するということは、パーティの全滅を意味するといっても過言ではない。


「ハルト君、それについては私が答えましょう。実は、船底には鉄の板が貼ってあるからマーマン程度の攻撃は跳ね返せるのです。その分、スピードが出なくなってるようですけどね」


 なるほど、スピードがゆっくりなのは、そういった理由もあったのか。


「それなら安心ですかね」


 港を出て沖に進んでいくと、徐々に波も高くなってくる。小さな舟だからしょうがないけど、長いこといると船酔いしそうだ。


「キュィ!」


「どうしたのだ。ベリちゃん?」


 コンコンッ ガンッ ガッ!


「ゆ、揺れたな……この音は船底からか!?」



「現れたわよ! クロエ、ベリちゃんもやるわよ! さぁ、マーマン狩りよ」


 アリエスの声を聞きながら、いち早くベリちゃんが飛び出していく。クロエも追い掛けるようについていく。


「ハルト、海面を見ながらマーマンがいる方へ舟を動かしてくれっ」


「任せてっ!」


 海では波間に見え隠れするマーマンと思われる頭部がいくつも。おおよそ30体、もっといるかもしれない。


 青色の体表をした魚と人の混ざったような姿。エラやヒレがあり、魚的な印象の方が強い魔物のようだ。海水を素早く泳ぎ回り、舟に近づこうとしている。


 石礫(ストーンバレット)

 火球(ファイアボール)


 既にアリエスとクロエが魔法で攻撃を与えており、その数を減らし始めている。


「あれっ? ベリちゃんはどこに!?」


「ハルト君、ベリル様なら空ですよ」


 舟の真上をパタパタと、以前よりもしっかりと、安定して飛んでいるように見える。口には火の玉があり、狙いを定めている。どうやら僕達の意志がちゃんと通じているようだ。


「ベリちゃんも頑張っているようだし、僕達も素材の回収を頑張りましょうか」


「そうですね。もうマーマン達も逃げ始めています。海に引き摺りこまれないようにだけ気をつけましょう」


「そ、それは怖いですね」


「そこに、引っ掻きのある長い棒があるでしょう。それを使って討伐したマーマンを舟に寄せてください。私が左耳と爪を確保していきます」


「なるほど、便利な物があるんですね」


 そこからは流れ作業のように、海面に浮いているマーマンに舟を近づけては、棒を使って引き寄せて、ローランドさんが耳や爪をナイフでカットするを繰り返していった。


 ベリちゃんも何体か討伐しているようで、頑張っている姿が目に映っている。クロエやアリエスも魔法を的確に当てている。ただ、半分以上が海の中へと逃げられてしまうため効率は悪そうだ。


 左耳を集めているローランドさんに向かっても時折、水面から飛び掛かろうと狙ってくるマーマンもいる。油断ならない相手だ。もちろん、ローランドさんは小さなナイフを器用に扱いあっさりとマーマンを退けている。


「流石というか、ローランドさん余裕ありまくりですね」


「慣れですよ。何となく気配でわかるんです。それにしても、手間というか面倒ではありますね」


 これ、あれだな。眠らせちゃった方が討伐も楽かもしれないな。討伐されたマーマンは海の上に浮いている。眠らせても沈まないのかもしれない。試してみる価値はありそうだよね。


 深眠(ディープスリーパー)

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