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第五十一話 初めての狩り

「ベネット、今回のクエストは秘密にしなければならないことが多いのだ。だから、何かお願いすることがある場合、こちらから声を掛けさせて頂く」


「そうね、それにまだ全部信用した訳じゃないのよ。後をつけ回すような動きが見られたら今度こそ容赦しないから気をつけなさい」


「は、はい。勿論です。私達はケオーラ商会のカイラル支店におりますので、いつでもお声がけください。必要な物資の提供から情報収集まで何なりとおっしゃってください」


 とりあえず、縄がほどかれた冒険者とベネットの先輩にはじっくりローランドがお話させて頂き、口外しないことを約束してくれた。


 口外したことがわかった場合には商会長との話も無くなることを伝えたので、ベネットと先輩がしっかり対処してくれるはずだ。


「ベネットと言ったかしら? とりあえず、この家に必要と思われる寝具、ソファーを上等な物と交換なさい」


「す、すぐに用意いたします」


 怪しみながらも、しっかりと商会を使うことに戸惑いはないらしい。


 アリエスが夕方までには用意しなさいと指示を出すと、僕達も草原に向かうことにした。



「さて、これでようやくクエストに取りかかれるわね」


「近場でホーンラビットを狙うの?」


「そうだな。それが無難ではあるが、問題はベリちゃんが魔物に対して攻撃の意志があるかが気になるところだ……」


「ネコとか助けてるしね」



「ベリル様は人間で言うと、乳離れならぬボア肉離れ出来ていない状態です。ボア肉を使っての訓練が良いでしょう」


 ローランド曰く、ヴイーヴルに僕達の紹介をしてくれる知能を持ち合わせているベリちゃんなら、じっくり説明すれば理解してくれるはずだとのこと。そして、行動を促進させるためにボア肉を使うとのこと。


「ボア肉を使って誘導したり、ご褒美をあげることで討伐を覚えさせるのね。いいんじゃないかしら」


「ベリちゃんのレベルを上げて成長するために魔物を討伐しないとならないんだ。出来るかな?」


「びぃぃ!」


「僕達が魔物を見つけて弱らせるからベリちゃんが仕留めるんだよ」


「びぃ」


 会話が成り立っているような良い返事をしてくれるベリちゃん。い、いけるのか!?


「ローランド、すぐにホーンラビットを見つけてきなさい」


「かしこまりました」


 ローランドさんのことだから、あっという間に見つけてくるに違いない。


「そういえば、アリエスはどんな魔法を使えるの?」


「私は『地の賢者』よ。土魔法が使えるわ」


 とても地味な感じがするね。宝石の巫女とかカッコいい名前があるだけになんとも微妙だ。


「な、何よその顔は? ば、馬鹿にしているわね! ハルトの癖に!」


「い、いや、そんなことは」


「土魔法って、どんな魔法があるの?」


「全体回復魔法の大地の恵み(エンタイアヒール)石礫(ストーンバレット)とかね」


「土魔法にも回復魔法があるんだね。あとはまだ見たことがないけど、フォレストエイプが使う魔法だね」


 何となくフォレストエイプの姿になったアリエスを思い浮かべて笑ってしまう。


「な、何笑ってるのよ! ハルトは賢者に対する礼節をもっと学んだ方がいいんじゃないかしら?」



「びぃぃ!」


「どうしたの? ベリちゃん」


「ローランドね、こちらに追い立てているわ」


 ホーンラビットが来るであろう方角に目を向けて一歩前に出るベリちゃん。いつになく、やる気に満ち溢れている。


「ハルト君、そっちにいったよ!」


「は、はい。ベリちゃん、頑張って!」


「びぃぃ!」


 草を掻き分けて飛び出してきたホーンラビット。こちらの人数を見て慌てて引き返そうとするも後ろからはローランドが来ているのを思い出す。


 目の前には自分より小さい白くて小さいネコのような生き物……。いや、違う。これは関わってはいけない者だ。すぐに逃げなければならない。ホーンラビットがそう思った時には全てが焼け焦げていた。


 竜のブレス。口を大きく開けたベリちゃんが現れたホーンラビットを包み込むサイズの火の玉を吐き出すとホーンラビットはあっという間に炭と化していた。


 光の塊がベリちゃんに向けて飛び込むと仔猫サイズだったベリちゃんが一回り大きい成猫サイズに変貌を遂げた。白い毛並みが更にモフッと多くなっているように思える。


「ベリちゃん、魔法使えたのか!? 凄いなぁ。クロエからご褒美のボア肉をもらわないとね!」


「おぉ……そうだな。ベリちゃんご飯だぞ。ママがご褒美をあげよう」


「キュィ! キュィ キュィ」


「鳴き声が変わったわね」


「どう、アリエス? 嫌な感じはあるの?」


「……可愛いわ。大幅に魅力アップかしら」


「い、いや、そうじゃなくて……」


「ハルト君、ベリル様のあの愛らしさを見て、邪悪なものを感じられる訳がありません。モフモフ度200%アップでしょうか」


「つ、つまり?」


「問題ないわね。ベリちゃん、私もご飯あげましょうか? 今日はお祝いよっ! 帰りがけにケオーラ商会に行ってベネットにボア肉を持ってこさせましょうね」


 流石、地の賢者様。ケオーラ商会を骨までしゃぶり尽くすつもりである。

明日から中1日での投稿にします。

ですので、明日はお休みとなります。


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エビルゲート~最強魔法使いによる魔法少女育成計画~
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[一言] しゃぶられる商会(笑) ムゴイ
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