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第二十三話 賢者の強み

 あれから数日が経過し、僕は全体攻撃が可能な小範囲魔法も習得した。これにより経験値取得の効率もぐいっと上がっている。


 現在の僕のレベルは12。


 胸からは新品のシルバータグをぶら下げている。ワイルドボア狩りならもう一人でも問題ないとクロエからのお墨付きをもらっている。


「クロエ、今日は大森林のもう少し奥まで入るんだよね」


「あぁ、一泊するからな。無理のない範囲で進もう。とはいえ、強い魔物が出現した場合はプリチーソウルを頼むぞ」


 何度も言い間違いを正すのも面倒なのでもうプリチーソウルでもいいかなと思い始めている。


「何回も言ってると思うけどプリチーソウルが決まる決まらないは運だからね。この魔法に期待して無理な討伐になるのは勘弁してよ」


「そ、それはそうなのだが、結構な頻度で成功しているではないか」


 実は昨日、湿地帯からの帰り道でグリズリーに遭遇してしまったのだが、草むらを掻き分けて突進してくる勢いにビビって魂浄化(プリフィーソウル)を1発放つと見事に消し去ることに成功したのだ。


 正式名称は確かアビスグリズリー、深淵の灰色熊という意味らしい。このグリズリーだが、もちろんこんな森の浅い場所にいる魔物ではない。


「やはり、ワイルドボアを狩り過ぎたのかもしれないな。湿地帯周辺に訪れる浅いエリアのワイルドボアが急激にいなくなったのでエサを求めて降りてきた可能性がある」


 クロエと二人で数千匹単位のワイルドボアやゴブリン、フォレストウルフを討伐している。足りない魔力を道具屋さんで買ってきた大量のマジックポーションで喉が渇く暇がなかったくらいには飲みまくった。


「範囲魔法でちょっと調子に乗ってしまったよね。火炎竜巻(ファイアストーム)カッコいいんだもん」



 火炎竜巻(ファイアストーム) 使用MP8

 初級の火炎魔法。小範囲の敵グループを対象に火炎の竜巻に巻き込むことができる。ダメージは火球(ファイアボール)の2倍程の威力があり、敵が複数いる戦闘では重宝される。



「まぁ、わからなくもない。ただ、これからは戦う場所が森の中になる。余程開けた場所以外では使ってはならぬぞ」


「えーっ! あっ、そうか。山火事の危険があるのか……」


「そういうことだ。リンカスターにとって山の恵みはとても大きい。それに深淵のかなり奥にいかなければ群れで出てくる魔物はいないから問題ない。これからの相手はグリズリーだ。昨日みたいに気を抜くでないぞ」


「グリズリーの経験値がどのくらいあるのか気になるね。ところで対グリズリー戦の作戦ってどんな感じなの?」


「グリズリーは嗅覚も鋭く縄張り意識がとても強い魔物だと言われている」


「つまり?」


「ただ歩いていればいい。向こうから走って攻撃してくる」


「怖っ! あのサイズの熊がダッシュしてきたら本当ヤバいから」


「それにワイルドボアの肉も持ってきているから匂いに釣られてやって来るはずだ」


「誘き寄せ方はわかったから倒し方を話そうよ」


「しっかり命中すれば火炎竜巻(ファイアストーム)なら1回でも倒せるかもしれない。しかしながら森の中では使えないので今回は封印する」


「開けた場所に誘導すればいいんじゃない?」


「森の中で開けた場所などほとんどない。場所を探す方が大変だ。だから地道に機動力を奪う戦い方をする」


「足を狙うってこと?」


「そうだ。グリズリーは顔周辺の攻撃を嫌がる傾向がある。だから火球(ファイアボール)で最初に顔を狙う。最悪外れても構わない。上体に意識を向けられさえすればな。続けざまの2発目で確実に足を潰すのだ」


「あとは?」


「あとは、そうだな。とにかく頑張って倒す!」


 なるほど、そこで終了か。いや、ここまでの知識だけでも普通に考えて凄いと思うんだけどね。いくら賢者とはいえクロエはまだ16歳なのだから。


「クロエのその豊富な魔物知識みたいなのはやっぱり経験から学んできたことなんだよね」


「いや、確かに経験してきたこともあるのだが正確には違う。そういえば言ってなかったな……。実は賢者というのは一度倒した魔物の情報や弱点が記憶として蓄積されるのだ。この情報、知識の蓄積が賢者の強みでもある」


 僕の『冒険の書』にある魔物図鑑の上位版といったところだろうか。魔物図鑑にはHP、MP、あとは取得出来る経験値ぐらいしか書かれていない。


「それは凄いね。賢者には他にもそういう他の職業と違うことってあるの?」


「あとは、レベルアップ時の魔力、魔法関連の成長が他の者と比べて突出して高いぐらいだな」


「おー、それはうらやましいね! 僕も早くマジックポーション地獄から解放されたいよ」


「新人魔法使いなら誰でも通る道だ。ハルトは魔力量が多い方だとは思うからこのまま伸び続けるといいな」


「えっ! レベルアップしてもステータスが上がらなくなる時がくるの!?」


「正確には伸びが鈍化するという方が正しいかな。どこまでステータスが伸び続けるかは人それぞれなのだよ」


「ま、まぁ普通に考えればそうだよね。こればっかりは自分の能力を信じたい。その点、クロエは賢者だからうらやましいな」


「全く、賢者をうらやましいとか言うのはハルトぐらいだぞ。さて、どうやらお出ましのようだ」


 出たグリズリー!!


 四足でこちらに向かって全力で走ってきている。敵意丸出しのグリズリーとかめっちゃ怖いんだからねっ!

しばらく毎日投稿頑張ります。

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エビルゲート~最強魔法使いによる魔法少女育成計画~
新作投稿開始しました。こちらもよろしくお願いします。
― 新着の感想 ―
[一言] 山、森、林で火を使うって馬鹿じゃね(笑)燃やしたいなら構わないだろうが
2019/11/26 00:23 退会済み
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