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第百九十三話 パーティ登録?2

 それからしばらく日数が経ち、パーティのこととかすっかり忘れていた頃にヴイーヴルがやって来た。


「おぉ、ヴイーヴル来たんだ! あれっ、別に緊急事態とかじゃないよね?」


「うーん、緊急事態ではないのですか? アスピドケロンのパーティ登録というのは、私には緊急事態のように思えたのですが」


「そうなんだろうけど、すっかり馴染んでいるあの姿を見るとどうもね……」


「ハルトには伝説の生物が寄ってくるような何かがあるのでしょうか?」


 僕には無いと思いたい。今回はベリちゃんが連れてきたようなものだし、僕は関係ないはず。ユーリットさんの時だって、特に何もしてないと思うんだ。


「たまたまでしょうね」


「はぁー。それで、詳しい事情を伺いたいのですけど、あの子がそうなんですか?」


 ヴイーヴルの目線の先にはベリちゃんと素潜りをして、食材となる貝類や魚をゲットしているアスちゃんがいる。


「そうです。彼女がアスピドケロンのアスちゃんです。定期的にボア肉を食べたいから、たまにリンカスターに食べに来たいと言っててね……」


「……ボア肉ですか」


「海で討伐できる魔物ならよかったんですけど、僕の知る範囲ではワイルドボアって森にしかいなそうだったので」


「そうですね。ワイルドボアはマウオラ大森林周辺が生息地ですね。海の近くにはいないでしょう」


 予想通り海の近くにはいなかったようだ。残念だったねアスちゃん。


「見ての通り、ベリちゃんとアスちゃんが、かなり仲良しになってしまってね。害もなさそうだったからヴイーヴルがよければパーティ登録した方が便利かなと思って」


「あの子は理解しているのですか? ステータスを開示することになったり、自分の居場所がわかってしまうということを」


 当たり前だけど、そう考えるのが普通なんだよね。種族のステータスがある程度わかっちゃうっていうのは、なかなかの脅威だと思うんだ。


「うん、もちろん説明はしたんだけど、本人はあまり深く考えてないっぽいんだよね」


「なるほどですね。私のステータスも見えるようになる訳ですから、一応簡易的な面談をさせていただいてもよろしいですか?」


「もちろんだよ。優先はヴイーヴルにあるんだ。ヴイーヴルが少しでも嫌だと思うのなら僕は反対するよ」


「ありがとうハルト」


「アスちゃん、ちょっといいかな?」


 チラチラとこちらの様子を窺っていたアスちゃん。ヴイーヴルを見ながら、ベリちゃんから情報収集をしているようだ。


『な、なんだ』


 最近では普通に話していたのに、念話に変わってしまうあたり、初対面に弱すぎるアスピドケロンである。


「紹介するよ。こちらが以前話をしていたパーティ登録をしているドラゴンのヴイーヴルだよ」


「はじめまして、アスちゃんでよかったかしら?」


『そ、そうだ。お前がヴイーヴルか』


「単刀直入に言ってしまうけど、この件はお母さまに相談してからにした方がいいと思うのです」


『何でだ。お前もハルトと同じようなことを言うのか』


「パーティ登録するとお互いのステータスが分かるというのは聞いたでしょう。もしも、私が悪いドラゴンだったらアスピドケロンのステータス情報を黒竜ジルニトラに流すかもしれないのですよ。言っている意味はわかりますね?」


 アスちゃんが激しく狼狽している。海でワイルドボアを討伐出来ないことを知って以来の反応だ。


『お、お前、悪いドラゴンなのか』


「そうじゃないよアスちゃん。ヴイーヴルが言っているのはステータスの危険性だよ。アスちゃんは見たことがないからわからないのはしょうがないんだけど、ステータスって結構細かく数値で見えちゃうから何が得意で何が苦手なのかとかある程度わかっちゃうんだよ」


『そ、そんなにすごいのかステータス……』


「自己責任で言うならアスちゃんの加入を認めてもいいんだけど、アスちゃんママの許可をとった方がいいって言ったのはそういう理由があるんだ。種族のステータスがある程度知られてしまうということだからね」


『ちょっと待て、そうしたらベリルやユーリット、ヴイーヴルはお互いのステータスをハルトに見せてしまっているというのか!? もしも、ハルトが裏切ったらどうするの? そ、そうか、殺せばいいのか』


 まったく物騒な反応だな。そもそも、僕が裏切る前提になっているじゃないか。


「パーティメンバーになるということは、お互いを信頼することだと思うのです。アスちゃんはまだ私のことを知らないでしょう。そして、ハルトやクロエのこともよく理解していないように思われます」


『人間とは距離をとった方がいいと言われているからな。でも、ハルトとクロエはベリルの両親だから、少しだけ信じてもいいと思っている』


「それならば、もう少し時間を置いた方が良いでしょう。可能ならお母さまの意見を仰いでからが理想ですよ」


『そうだな。ママに迷惑を掛けるわけにはいかない。やはり様子を見てシンバルの方へ行ってみる。ジルニトラが暴れてなければいいのだけど』


「それがいいと思います。それに、私たちパーティと敵対した場合に一番の脅威はハルトですよ」


『ハ、ハルトのステータスはそんなにすごいのか!?』


「いや、間違いなくこの中で最弱だよ」


『おい、ヴイーヴル、私に嘘をつくのか!?』


「嘘はついてませんよ。これもパーティメンバーになったら教えてもらえるかと思いますが、何故このパーティに伝説と呼ぼれる生物が加入しているかの理由は、きっとハルトにありますからね」

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エビルゲート~最強魔法使いによる魔法少女育成計画~
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