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第百七十八話 新しい暮らし

「それにしても、本当によろしかったのでしょうか?」


「ユーリットさん、気にしないでください。私もハルトも、そしてベリちゃんも大歓迎ですよ」


 ベルナールさんから了承を頂いたので、元孤児院である広い我が家にユーリットさんをお迎えすることとなった。つい先日までジュリアが居候していたわけで、広さ的にも部屋数的にも十分な余裕がある。


「それでは、私はこのジュリアさんが使用していた部屋を使わせていただきますね」


「ユーリットさん、その部屋はすぐ外が馬小屋だからその少し臭いがするんですけど大丈夫ですか?」


「ええ。問題ないですよ。それに、馬小屋ももう必要なくなるのでしょう」


 ユーリットさんの言う通り、遠くに行くときはユーリットさんがフェンリルに戻って運んでもらえるので僕たちパーティに馬車は必要ではなくなったのだ。ここの馬たちはマリエールさんに相談して必要無ければそのままベネットに話をしてケオーラ商会で活用してもらいたいと思っている。


「了解です。では、その部屋をご自由にお使いください」


「このあと、孤児院へ顔を出すのでしたね」


「はい、マリエールさんというクロエの幼馴染が運営しているんです。この家も留守中にはお掃除と孤児院の子たちに手伝ってもらっていたのでお礼とユーリットさんのご紹介をしなきゃですね」


「クロエさんも孤児院の出身と話をされておりましたね。それにしても、私のことは何て説明したらいいのでしょうね」


 確かに説明しづらい。旅から戻って来たら、知らない女性が一緒に住むことになるのだから変に勘繰られる可能性は高い。


「どうしましょうね。クロエ、何かよい案はないかな?」


「よい案といわれてもな……。これから共に行動するのだ。普通にパーティの一員に加わったと説明すればいいのではないか」


「パーティね。確かに、しっくりくるかもしれない。孤児院へ行く前にギルドに行って冒険者登録を済ませてしまいましょうか」


「そうだな。冒険者ギルドは今後はもちろん、旅先でも利用することも多いだろう。登録だけでも済ませておく必要はありそうだ。では、先にギルドへ行ってそれから孤児院へ向かおうか」


 僕も最近は魔物を倒していないので全然レベルアップをしていない。少し落ち着いたら、みんなで魔物の討伐をしていきたい。最近使う魔法って魂浄化(プリフィーソウル)深眠(ディープスリーパー)ぐらいしか使ってない気がする。そろそろもっとすごい魔法を覚えたいよね。


 そんなことを考えていたら、あっという間にギルドまで辿り着いていた。我が家からギルドは意外に近いのだ。


「お久し振りです。賢者様、ハルトさん。それからベリルちゃんと……そちらの方は?」


「ご無沙汰してましたエミリー。こちらは新しく冒険者登録をお願いしたいユーリットさんです」


「はじめまして、ユーリットと申します」


「まぁ、とても美しい方ですね。それでなぜ、冒険者登録を?」


 エミリーが不思議がるのはごもっともだろう。見た目からして冒険者には到底思えないユーリットさんが、この歳で冒険者登録をするというのは違和感がある。普通、冒険者登録をするなら十代半ばぐらいから遅くても十代後半まで。ユーリットさんは見た目的には二十代半ば、しかも戦えそうな感じのしない美しい女性なのだから。


「ユーリットさんは、旅先で知り合った有能な魔法使いなのだ。ノースポリアの寒村で暮らしていたから、特に冒険者登録を必要としていなかったのだそうだ。身内に不幸があって、村を出るタイミングで知り合ったのだよ」


「なるほど、そういうことだったのですね。賢者様から見てユーリットさんの実力はどのくらいなのでしょうか? ギルドでは、登録のない実力者を優遇登録する仕組みがあるのです」


 おそらく、有力な実力者をギルドに登録してもらえるようにする仕組みなのだろう。ギルドのある街に住んでいる場合は、お金を稼ぐ意味でも登録は必要になるが、街から離れた村とかではまだ登録が進んでいないケースも多くあるらしい。


「ユーリットさんは、実力でいえばゴールドタグの力を持っているだろう」


 僕たちも実際に力を見たわけではないけど、ドラゴンと同等なわけでゴールドタグ以上の力があっても驚かない。と言っても、信じてもらえないだろうけどね。ここは普通にシルバータグとかって言っておけば無難だったような気がしてきた。いや、僕のシルバータグはあっさり超えられてしまうからとかではないからね。


「ゴ、ゴールド相当ですか!? 賢者様からのご推薦とあっても、さすがにいきなりゴールドタグでの登録はギルドマスターへの確認案件になってしまいます。少しお時間を頂いてもよろしいでしょうか」


「はい。了解しました」


「ハルト、ゴールドタグというのは失敗だったかもしれないな」


「うーん、何とも言えないね。登録したら水晶で即バレてしまうわけだし、ギルドにちゃんとした情報を伝えておく必要もあるかもしれないというか……」


 エミリーが呼びに行ったのはもちろんロドヴィックさんで。ちょっと眠そうな顔をしているロドヴィックさんが頭を掻きながらこちらに歩いてきた。


「おー、久し振りじゃねぇか、戻ってたのか。それで、有力な新人さんってのはそちらのお姉ちゃんでいいのか?」


「はじめまして、ユーリットと申します」


「おう、ここのギルドマスターのロドヴィックという。クロエがゴールドタグ相当の実力があると、言っていたそうだが間違いはないのか?」


「そうですね。ゴールドというのが、どの程度の強さなのかはわかりませんが、それなりに力はある方だと思います」


「よし、それじゃあ今から、俺が少し実力を見てやろう。裏の訓練場まで来てくれ」


 これは、ロドヴィックさんの悪い癖だろう。たまには体を動かしたいギルドマスターの戯れと思われる。

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