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第百七十話 白判定

 魂浄化(プリフィーソウル)の白い光がリントヴルムを包み込もうと広がっていくが、いつものように身動きがとれなくなったりすることもなく、リントヴルムは不思議そうな顔で光を見ていた。


「お、おいっ! こ、この魔法はなんの魔法なんだ?」


「あなたの言っていることが本心なのかを確認させてもらいました。結果からいうと、あなたは、人間を騙して襲おうという考えが本当に無いのだと判明しました」


(この魔法でわかるのですか?)


「そうですね。ちょっと変わった魔法なんですけど、体に悪い影響はないはずなので、ご安心ください」


「ほ、本当だろうな?」


 そういっている間に魂浄化(プリフィーソウル)の白い靄は徐々に消えて無くなってしまった。


 これはこれで良い実験が出来た。大丈夫だろうとは思っていたけど、心の根本に悪意があったら消滅する可能性もあったわけなのだから。


「つ、次に、変なことしたら本当に怒るからな!」


「すみません。これが一番手っ取り早かったといいますか……。それで、今後のことですけど話を続けても大丈夫ですか?」


「なんだよ」


 いきなり魔法使ったから当たり前だが、リントヴルムはとてもイライラしている。ここからは落ち着いてもらいながら、じっくり話をしていこう。


「契約について、一部変更の提案をしたいのですが、よろしいでしょうか」


「変更だと? 何を変えるつもりだ。契約で俺を騙そうとするのは許さないぞ」


「違います。この契約だと、ノースポリア周辺にリントヴルム、賢者、フェンリルがいなければならないのですが、知っての通りニーナ様はベルシャザール王家に嫁ぐことが決まっています」


「別に構わない。俺は約束を守るからな」


「そういう問題ではないんです。フェンリルについてもですが、この地にずっといられません」


「えっ、そ、そうなのか?」


(実は、シルミーがそろそろ成体になるので、同種は同じ縄張りにいられなくなるのです。ハルトにお願いをして、私は別の棲みかを探してもらっているのですよ)


「そうか、ということはシルミーだけ残る感じか?」


(シルミーはおそらくニーナについて、ベルシャザールとノースポリアを行き来することになるでしょう)


「なるほどな……いや、そうなるか。つまり、お前は契約者の変更をしたいということか」


「それも一つあります。現在の契約者はフェンリルになっていると思いますが、これをシルミーに変更したいのです」


(ちょっと待って、それは必要なの? 契約は、どちらかに裏切りが判明した場合、私がその反対勢力に力を貸すということよね)


「はい。ですので、もしもの場合に備えて近くにいなければならないのかと」


(違うわ。私はあくまで抑止力なのです。この契約を破ることは死を意味することになる。ただ、それだけ。三者がこの地に居続けることは想定していないの)


「何でそんなことを気にするんだよ。この契約が信じられねぇとでもいうつもりか?」


「そうですね。これでは話にならない。僕は契約の修正を求めたい」


「てめぇ、何が言いたい」


「例えば、リントヴルムが契約を破ってノースポリアの人々を襲った場合、その場に当事者がいなければ被害をくい止めることも出来ないし、あなたはそのまま逃げてしまうかもしれない」


「だから、何で俺が契約を破る前提なんだよ」


「もしもの話が担保されていないと人間側は納得しません。逆の場合もあります。ニーナ様がある日突然、あなたを討伐しに来たらどうしますか? しかも、そのメンバーに他の賢者やドラゴンまでいたら?」


「あの野郎裏切るのか!?」


 ニーナ様は野郎ではないが、全く可能性がない話ではない。


「もちろん、もしもの話です。ですから、この契約を守るには、少なくともフェンリルがノースポリアにいなければならないのですよ」


(それは困りましたね。私はずっとここにはいられません)


「ノースポリアの民を俺から守る為と、ニーナが俺を殺しに来ないように見張る為ということか」


「その通りです。シルミーがこの地を縄張とするのであれば、シルミーにはノースポリアに居てもらいたい」


「それでなければ、お互いの契約内容を担保出来ないということか……」


 シルミーママもリントヴルムも黙り込んでしまった。もっと簡単に考えていたのだろうが、これではただの約束に過ぎない。お互いに信用もない状態で契約も何もない。


「もっと、魔法とかで契約をとかだったら納得も出来るんですけどね。ここからは、シルミーとニーナ様にも話しに入ってもらいましょう」


(そうね。あの子達の気持ちも確認したいわ。二人を呼んでくるわね)


「はい、よろしくお願いします」




「おいっ、お前らドラゴンを倒したって本当なのか?」


「ニーズヘッグとアンフィスバエナは倒しました。死にそうになりましたけど」


「ほ、本当に倒したのかよ……。ひょっとして俺も倒そうと思えば倒せるのか?」


「どうでしょうね。お互いにそんな気持ちはないのですから、考えるだけ無駄でしょう。僕は一応あなたを信用しているんですよ」

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エビルゲート~最強魔法使いによる魔法少女育成計画~
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