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第十七話 ギルド

 僕たちは領主様の館を出ると露店のある広場に戻ってきていた。


 途中でボロボロのスーツを着替えてクロエに買ってもらった魔法使いの衣装にチェンジしている。ゆったりとした着心地で悪くない。


 ちなみに下着やら替えの服などは後で買いにくることにした。今日はまだ予定がいっぱい詰まっているのだ。


 そして今、手元にはボア肉のパン包みがある。とってもジューシーな味わいで濃いめのソースが癖になる味だ。この露店にはまた食べに来ようと思う。


 ちなみにクロエは仮面の下から上手にかぶりついている。食べ慣れているのだけど、仮面とか無しで素顔のままで食べてもらいたいなと思ってしまう。


「クロエ、ドラゴンの件ちょっと苦しかったかな?」


「しょうがあるまい。魔法で消え去ったとは言えないし。私が一人で倒せる訳がないことは周知の事実なのだ。あれぐらい言わないと信じてもらえないだろう」


「そ、そうだよね。あ、あとクロエ、僕もドラゴンの巣に行きたいんだけど」


「あぁ、もちろんそう言うだろうなと思っていたからメンバーからジャメルを外したのだ。ダリウスは剣を扱う戦士でな、付き合いも長く信じられる人間だ。私はハルトのことを相談してもよいと思っている」


「へぇー、じゃあジャメルって人は信用出来ないの?」


「そういう訳ではない。ジャメルは魔法使いなのだが、その、賢者に対して妙に負けず嫌いなところがあってだな。何かと強くあたってくるので私が苦手なのだよ」


「ジャメルは嫌な奴と……」


「い、いや、別に嫌な奴という訳ではないと思うぞ。一部の魔法使いには面倒見がよく慕われているとも聞く」


「へぇー」


「ほ、本当だぞ」


「賢者だからと強くあたる奴なんて嫌な奴だよ。僕はクロエの友達だから賢者を嫌う人は好きになれない」


「ハ、ハルトは優しいのだな。私もハルトの友達だからハルトの目標の手助けをしないとな」


「家から一歩も出ない生活だね!」


「それはどうかと思うのだが、ダリウスが戻ってくるまでハルトのレベルアップを図ろうと思う。深淵に行くならば最低でもレベル8、いや出来ればレベル10は欲しいところだ。レベルが上がることでまた不思議な魔法を習得するかもしれないしな」


「オッケー! レベル上げ賛成。クロエと一緒なら安全にレベルアップ出来そうだしね」


「うむ。それにプリチーソウルの確率が上がるかもしれない。そうなれば他の凶暴な魔物と遭遇しても消し去ることが出来るのではないか」


魂浄化(プリフィーソウル)ね。そんな可愛らしい名前の魔法じゃないよ」


「そう、それだ!」


「あと一個、ボア肉のパン包みをおかわりしたら行こうか!」


「やる気があるのはとても良いことだが、今日は草原でホーンラビットの討伐までだぞ」


「うん。そういえばこの角とか肉をギルドに持っていかないといけないんだったね」


「そうだな。ハルトのギルド登録もしておかないとならないだろう。せっかく討伐しても買い取ってもらえないからな」


「ギルドに登録する時に魔法のこととかバレないの?」


「大丈夫だ。調べられるのはレベルと職業とステータス情報までだ。問題あるまい」


「それなら大丈夫そうだね。じゃあ、食べながら向かおうか」


「そうだな。ギルドは門の近くだから戻る感じだ。では行こうか……はぁむっ」


 ほんと器用に食べるなぁ。仮面にソースが付かないか少し気になって見ていたけど何の問題もないようだ。


 広場からギルドへ向かおうとした時、また視線を感じた気がした……。振り返ると子供が逆方向にペタペタと走っていった。あれは……? まぁいいか。


 ギルドの役割は討伐アイテムの買取に販売。それからクエストの受発注。殆んどのクエストはギルドから常に出ている草原エリアとマウオラ大森林の浅いエリアの魔物討伐に薬草などの採取クエストとのこと。また領主様からの緊急クエストが入ることもあるとのことで、大型のモンスターや危険な魔物が街に近づいた場合にギルドに依頼が入るそうだ。


「ダリウスさん達が遠征しているクエストは隣街のハープナの領主様からのものなの?」


「そうだ。大規模なクエストの場合は隣街からも声が掛かることもあるのだ。おっと、ハルトここがギルドだ」


 門と広場のちょうど中間地点ぐらいの場所に雰囲気のある古めかしい大きな2階建ての建物があった。


「よし、入ろう!」


 ギルドの中に入ると人は疎らで心配になるぐらい静かだった。ちょっと心配になる静けさだ。何かを察したクロエが僕の心配そうにしている顔を見ながら答えてくれた。


「基本的に日中のギルドはこんな感じだ。時間帯もあると思うのだが、今は主力も遠征しているからな。こんなものだろう」


「やっぱり朝、夕が混むんだね。今は昼過ぎだからね。逆にゆっくり登録出来そうでよかったよ」



 ギルドのカウンターに向かうと事務の女性がこちらを見てクロエに声を掛けてきた。赤毛の長い髪を耳にかけ直して仕事モードなご様子。


「賢者様、買い取りでございますか?」


「それもあるのだが、こちらのハルトの登録をお願いしたい」


「そちらの方はあまり見たことが無いようですが?」


「ハルトは今日リンカスターの一級市民権を得たばかりなのだ」


「それはおめでとうございます。ハルトさん、どうぞこちらに腰掛けてください。私はギルドの受付をしているエミリーと申します。これからよろしくお願いしますね」


「あっ、はい。こちらこそよろしくお願いしますエミリーさん」


「では、こちらの紙に記入お願いします。文字の読み書きは出来ますか?」


 紙を見てみるとやはり見たこともない文字が並んでいた。うん、読めないし、書けないわ。


「すみません。読み書きが出来ないのです」


「かしこまりました。では、私が代筆させていただきますね。あとこちらの水晶に手をかざしていただいてもよろしいでしょうか」


「はい、こうですか?」


「ありがとうございます。レベル5の魔法使い様ですね。ではこちらのブロンズのタグに情報を登録いたしますので少々お時間をいただきます」


「クロエのタグは金色だね。エミリーさん、ということは銀色のタグもあるのかな?」


「その通りです。駆け出しからレベル9までがブロンズでレベル10からがシルバー、レベル30以上がゴールドとなります」


「エミリー、待ち時間にこちらの素材買取をお願いしたい」


「はい、もちろんでございます」



 エミリーが素材を数えているとちょうど四人組の冒険者パーティーが戻ってきたところだった。


「おぅ、エミリー戻ったぜぇー!」


 しかしながら、クロエを見た瞬間に露骨に嫌な顔をみせるのだった。

しばらく毎日投稿頑張ります。

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エビルゲート~最強魔法使いによる魔法少女育成計画~
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