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第百四十七話 アンフィスバエナ戦2

 さて、ここでセーブ2の上書きを行う。リュカス王子にはここで、そのまま眠っておいてもらおう。アンフィスバエナに見つかると攻撃されるおそれがある。


「その魔法はなんなのだ! 王子は本当に寝ているだけなのだろうな?」


「リュカス王子に触れないのならば、近づいてみてもいいですよ。息をしているのがわかるでしょう」


 まぁ、知らない魔法なのだから確認ぐらいしたいだろう。隙を窺ってこちらを攻撃するような動きはなさそうだ。このあたりは、『光の賢者』が攻撃的な賢者でなくてよかったと思う。


「ほ、本当に寝ている……。なぜ王子を眠らせたのか聞いてもよいか?」


「僕の魔法を知られたくなかったからです。イヨール様には魔法陣を解除してもらわなければなりませんから同行頂きますけどね」


「他にも隠していることがあるのだな……。まぁ、いい。アンフィスバエナを討伐できるのなら王にも黙っていると約束しよう。それとも、魔法陣を解除したあとに私も眠らされるのか?」


 やはり、なかなか鋭いな『光の賢者』様。一応、クロエにイヨール様を守ってもらうつもりなんだけどね。


「さぁ、どうしましょうかね。とりあえず、アンフィスバエナは解除されるとイヨール様を一番に狙います。今から防御魔法を掛けますが、魔法陣を解除したあとは、なるべく早く離れてください」


「防御魔法だと!? ハルトといったか、不思議な魔法をいくつも……お主一体何者じゃ」


 細かく説明するつもりはない。

 防御上昇(プロテクション)


「こ、これが、防御魔法なのか……わかった言う通りにしよう」


 とりあえず、さらに全員に防御上昇(プロテクション)を掛けたので準備万端だ。


 魔法陣の解除にはイヨール様一人で行ってもらう。余計な警戒をさせないためでもあるんだけど、体がピカピカ光ってるから難しいかもしれない。


 解除(キャンセレーション)


 イヨール様の魔法陣解除が無事終わったようだ。アンフィスバエナは警戒しながらもイヨール様を食らわんと首を伸ばして追い掛けている。


「よし、行くよ!」

「はい」「了解だ」


 僕たちのそれぞれの役割は、クロエがイヨール様の保護と魔法による攻撃及び撹乱で、ローランドさんは僕の守りに徹してもらう。


 目の前には逃げるイヨール様を食べ損ねたアンフィスバエナが一旦停止した。


「クロエ、イヨール様を」

「任された!」


 食べられはしなかったが、予定通り弾き飛ばされてピカピカが一瞬で消えてしまったイヨール様。アンフィスバエナと僕の間にローランドさんが大盾を構えている。


「ハルト君、来ますよ」


 やはり、イヨール様を食べられなかったことがアンフィスバエナのイライラをかなり上昇させている。特に(えん)の方は、咆哮を上げ怒りを露にしていた。


「アンフィスバエナ、君たちを助けに来た。(ひょう)(えん)二人に話がある」


「な、なんだと!?」


 後ろではイヨール様が騒いでいるが、これはこれで臨場感があっていい。クロエが押さえてくれているのでそのまま進めさせてもらおう。


「助けに来ただと……」

「うるせー、そこの賢者を早く食わせろ!」


「魔法方陣を解除させたのは僕らだ。感謝のお礼ぐらい言われてもいいと思うんだけどな」


(ひょう)、よくわからねーけど俺たちはもう自由なんだろ。早くこいつらを食べて洞窟から出ようぜ」

「待て、(えん)。何故この小僧は、我々の名前を知っているのだ」

「おっ、何でだ? てめーら何で俺たちの名前知ってるんだよ」


「僕たちは君たちの味方だよ。なんならあの賢者が逃げないようにしておこうか? 名前を知っている理由も教えるよ」


「そこの賢者が、魔法陣を張られては我らも面倒だ。話を聞いてやっても構わぬが、そこの賢者が身動きとれないようにしておいてもらおうか」


 よし、話に乗ってきた!


 深眠(ディープスリーパー)


 クロエが少し離れたのを見計らって、イヨール様に魔法を放った。これで、イヨール様は起きるまで何も覚えていないだろう。


「小僧、なんだその魔法は? 見たことのない魔法のようだが」


「僕は少し変わった魔法を使えるんだ。今のは対象を眠らせる魔法。深い眠りに入っているからしばらくは起きないよ」


「我らが囚われている間に、不思議な魔法が生まれたのか……」


「それで、話なんだけども。信じてもらえるかわからないんだけど、僕たちはあるドラゴンの予知によって行動している」


「ドラゴンの予知だと?」

「こいつ何言ってるんだ?」


「君たちの名前を知っているのが未来を予知できている理由にはならないかな? この先アストラルでは奇病が発生して竜種はもちろん、全ての生物が滅びに向かってしまう」


「そんな話を信じるとでも思ってんのか?」

「我らの名前はアンフィスバエナとしては記録されているだろう。しかし、我らの間での呼び名など伝わっているとは思えん」


「この奇病から救う為にはドラゴンの『身隠しの粉』が必要になります。私たちはそれで助かりますが、ドラゴンはそうはいきません」


「『身隠しの粉』だと? 何故ドラゴンしか知らないことを小僧が知っている」

「他の人間ちゃんと仲良くしてるドラゴンから聞いたんじゃねーの」 


「ドラゴンが奇病から助かるには特定のドラゴンの『身隠しの粉』が必要になります」


「ほう、特定のドラゴンか」

「早く教えろよ。どのドラゴンなんだ?」


 もう一押しのような気がする。


「双頭のドラゴンアンフィスバエナが必要な『身隠しの粉』は、深淵のドラゴンニーズヘッグになります」

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エビルゲート~最強魔法使いによる魔法少女育成計画~
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