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第百二十四話 調査団8

 翌朝、というかあまり寝ていないんだけども、それなりに緊張感をもって僕とクロエは集合場所に到着した。昨日かなりリンカスタービールを飲んでいたロドヴィックさんもダリウスさんもお酒臭さが消えている。やはり、この辺が歴戦の猛者と言われるところなのだろう。深淵へと向かうマウオラ大森林への道程では油断はできないし、してはいけない。何人もの冒険者の命がここで消えているのだから。


 僕も初っ端からニーズヘッグに遭遇したり、大型のワイバーンと戦闘になったり、数千のフォレストエイプを倒しながらレベルアップしたりと、とんでもない森という印象がある。最近はワイルドボアやゴブリンに遭遇しても余裕が出てきているが、それは僕が特殊な魔法を使えるからであって、調査団のいる前では大人しく火球(ファイアボール)に徹しようと思う。


「これで全員揃いましたね。それではマウオラ大森林深淵の竜の巣へ向かい出発します。外縁部までは馬車で向かいますので乗ってください」


 レイエノールさんの言う予定では大森林までは馬車で向かい、馬車はそこでキャンプを張って調査団の一部の人員を残して待機するとのこと。そこで昼休憩をとっている間にダリウスさんの指示のもと調査団の人員で周辺にいる魔物の討伐、及びルート上にいるグリズリー狩りを進めていくらしい。


「至れり尽くせりだな。これは思っていたより楽に深淵まで進めそうだ」


「ロドヴィック、気を抜かないようにしてください。前回は大型のワイバーンが出たのですからね」


 馬車は、順調に昼前にはマウオラ大森林の入り口まで到着して、少し早いのだけども僕たち最終アタック組は昼食をとることとなった。最終アタック組はレイエノールさんとロドヴィックさん、そして僕とクロエの4名となる。ダリウスさんは第二キャンプで待機となる予定だ。


「ハルト、念のためとは思うが一応……」


 ロドヴィックさんが言おうとしているのはセーブのことだろう。


「大丈夫です。出発前にしておきましたので何かあれば事前にお伝えします」


 今になって思えば、クロエに告白する前になんでセーブしていなかったのだろうと今更ながらに思ってしまった。いや、まぁ、自分の告白にセーブしてから臨むっていうのも何とも情けない話ではあるんだけどさ。せっかくある機能なんだから使っていかないと勿体ないよね? もっと気軽に使ってもいいよね?


「それで、クロエに告白する前にセーブはしたのか?」


「ブフォッ!!!」


 お昼ご飯のボア肉のサンドイッチを勢いよく吹き出してしまった。


「ハ、ハルト、そうなのか!?」


 まさかクロエまで疑いの目を向けて来るとは。


「そんな訳ないって! 本音で話をしてくるラシャド王子を前にして、僕も本音をぶつけないとと思ったんだ。そんなこと考える余裕すらなかったよ」


「そ、そうか。そうだな。その、わ、私もハルトの気持ちを知れてだな、とても嬉しかった」


「おいおいおい、マウオラ大森林を目の前にして随分とあつあつじゃねぇーか! 少しは緊張感をもってくれよ」


 ロドヴィックさんも自分から話を振っておきながら酷い話だ。せっかくあまり意識しないように普段通りに接していたのに恥ずかしいじゃないか。


「おや、みなさん何の話をされていなのですか?」


 キャンプの指示をしていたレイエノールさんが賑やかそうにしている僕たちに向かって話し掛けてきた。ちなみにレイエノールさんだけど、普通に上級職のグラディエーターとのこと。戦士から武闘家になったとのこと。魔法は苦手なのだそうだが、パワーには自信があるとのこと。流石は王家に仕える人だ。調査団のメンバーも基本的にレベル20オーバーで来ているそうなので心強い。


「もしも大型のワイバーンが出たらレイエノールさんのお手並みを拝見させてもらおうと話していました」


「いやいや、みんなで協力して倒しましょうよ。全員が無事に戻るまでが調査ですからね!」


 どの世界でも家に帰るまでが遠足的な考えはあるのだろう。特にこの世界における街の外は危険がいっぱいすぎるからね。


「あと少ししたら我々も深淵へと向かいます。スピード重視で行きますので大きな荷物はここで降ろしてください。グリズリーのエリアに第二キャンプ地を築いていますので、水関係はそこで摂取できるでしょう」


 予定とは違って、かなりスピード重視の調査になっている。理由はラシャド王子が早くサフィーニア公国に行きたいからなのだと思うけど、割と安全に且つ、余裕を持った日帰りコースになっているのはすごい。夕方にはリンカスターに戻れそうな気がするよ。


 僕としても、ジュリアとベリちゃんのお留守番には不安しかないので早く戻れるのは大賛成だ。当初は調査にかなり時間を掛ける予定だったらしいのだから留守番期間がかなり減ってベリちゃんも喜んでいた。


 『冒険の書』を開くと赤いマークがどんどん消えていっているので、そろそろグリズリーのエリアでキャンプの準備が始まっている頃合いなのだろう。魔物とほぼ戦わずに中層を超えていけるというのは楽だね。何ならフォレストエイプがこのメンバーに攻撃してくるというのも微妙な気がしてきた。

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エビルゲート~最強魔法使いによる魔法少女育成計画~
新作投稿開始しました。こちらもよろしくお願いします。
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[気になる点]  『冒険の書』を開くと赤いマークがどんどん消えていっているので~ 124話のラストのほうにマップ機能のことが書かれていますが、この敵の表示についてはいつ追加されたのでしょうか? 『…
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