第5章 第1次世界戦争編 B-0004 リガの戦い
ドイツ バルト海艦隊 新旗艦 新鋭戦艦バイエルン 1914年9月下旬
「出撃可能な戦艦はマルクグラーフ、ヴェスト・ファーレンの2隻と北海艦隊から臨時転入した新旗艦バイエルンだけか。」
7月末に発生したダンツィヒ沖海戦の影響は独ロ双方ともに重い被害を与えた。双方ともに大半の戦艦が長期の戦闘不能を強いられるような損害を生んだ。ただし、建造計画の関係でドイツがましだった。およそ2カ月の間に2隻の新造戦艦が就役。この2隻は北海艦隊に配属されたが、その分余裕の出た戦艦を1隻のみバルト海に一時的に配属された。史実では1916年に完成した戦艦バイエルン級1番艦バイエルン。性能的には英クイーンエリザベス級と同格。なれど長砲身砲を搭載する独戦艦は近距離砲戦では威力がある。
「しかし、出てくる艦隊はほぼ無傷の前ド級戦艦1隻ぐらいその程度ならば作戦海域に潜ませた艦に任せればよい。戦艦部隊は全力砲撃ができよう。」
1914年9月下旬 日本国ロシア派遣軍 移動先 リガ司令部 秋山好古
「ドイツがロシア北西部軍の補給線を狙うとすればここリガか…」
リガは当時ロシア領、21世紀にはラトビアの首都である港湾都市。目の前にはリガ湾という湾が西にある海峡を挟んでバルト海とつながっている。リガ湾は北側にも海峡があり、フィンランド湾という湾につながっている。このフィンランド湾の東に行けばその突き当りにロシア帝国首都、サンクトペテルブルクがある。
「北西部でここほど重要な拠点はない。ここを無傷で奪われた場合、北西部戦線への補給線は寸断されるのみならず、サンクトペテルブルクへの攻略拠点にされかねない。海上輸送は鉄道輸送よりもはるかに多量の物資を輸送できるからな。」
サンクトペテルブルクまで直線300㎞、迂回、鉄道線に沿えば4・500㎞といったところ。ですぐにサンクトペテルブルクだ。
「しかし、ここに上陸するのはあり得るのでしょうか?正面戦力が後退、首都守備隊などに包囲殲滅される危険があるのでは?」
後方への上陸。それは予備戦力等の後方軍による包囲殲滅の危険がある。実際、有名な後方への上陸作戦である朝鮮戦争の仁川上陸作戦ではマッカーサー以外ほぼすべての将軍の反対にあっている。
仁川上陸作戦は成功したが、その成功は上陸作戦の存在を知った中国政府の警告を無視した北朝鮮軍の失策にあり、敗者に敗因あり、勝者に勝因無き戦である。
「だからこそ我々がここにいる。リガ周辺へ広域展開した半個軍。仮に上陸作戦を行おうとも橋頭保ができる前に徹底的にたたいてやる。」
「はッ」
1914年9月下旬 ドイツ第3軍
「まさかこんな作戦に投入されるとは思わなかった。」
第3軍兵士たちの言葉である。この時点ではほぼ唯一役なしの軍だ。初戦、北部方面での外交圧力に投じられたが、この時には動いただけ。戦闘は皆無だった。他軍の活躍が耳に入っている状況では気が気ではなかった。
「しかし、この作戦が考慮されていたのならば開戦から3カ月惰眠を貪っただけの価値がある。」
兵士たちは封密命令作戦の概要を聞き、士気が上がっている。
作戦目標は…
話を読んでいたらわかるよねーーー(笑)
史実ではこの都市での戦争は1916年に発生。ロシア帝政が崩壊後に発生したものです。そして上陸作戦もなかったそうです。単純に正面突破で戦果を挙げていた模様です。




