第5章 第1次世界戦争編 G-0003 スエズ陥落
多分予想通りです (なのでサンタキャンペーンと称してすぐに上げます。)
1914年10月29日 AM7:15 接近中の艦隊
「後衛の特設水上機母艦(民間商船に搭載されたクレーンで強引に水上機を海水面荷下ろし、海上から発進される。) 準備完了です。」
「作戦開始。」
艦隊は行く。艦隊進行方向左側を航行している防護巡洋艦1、駆逐艦4その後方に進む4隻の貨物船が進路を変更する。速度を落とさずスエズ運河に向かう。艦隊本隊は若干進路右方向に面舵をとる。ポートサイドに全主砲塔を状況に持ち込む。
「信号弾上げろ。同時にアンカー一斉投下。機関逆進。輸送艦は作戦通りポートサイドに突入せよ。」
空には後方の特設水上機母艦からの水上機2機がポートサイド方面に向かって飛んで行く。ポートサイドを左舷側に見えた時、戦艦4隻がアンカーを下し、急減速した。右側の護衛艦隊、防護巡洋艦2駆逐艦4はアンカーを下さなかったために急速に戦艦部隊の前に出る。
戦艦がポートサイドに向けて砲塔を回転させ始める。
「一斉回頭。陸に接近。精密射撃を担当する。ただし旗艦からの攻撃命令まで決して攻撃をしてはならない。」
先頭を行く防護巡洋艦からの発火信号の命令であり、作戦通りの内容である。
1914年10月29日 AM7:20ポートサイド 港湾部
「モーリス・ファルマン水上機…日本機か…」
艦隊方向からくる2機の飛行機。空を通過するとそのシルエットから見て機種を判断する。しかもこの機体が日本海軍の『大翔』が発艦能力の不足(輸送能力はあった)から同型機4機とダウべが8機ほど残留させていたことから同機がいてもおかしい状況ではなかった。
「なんだ?」
水上機は市街地の上でビラを撒く。そのうち数枚が戦艦にも落ちてくる。
『英国ノ戦艦略奪行為ヲ非難シ、ソノ賠償ノ支払ガ確認サレルマデノ担保トシテスエズ運河利権ヲ接収スル
抵抗ハスルナ。抵抗シタ場合ノ安全ハ保障シナイ。』
内容を要約するとこのような内容だった。
「見ろ!!沖合の戦艦が!!」
「オスマン帝国海軍…」
「あれは独艦の巡洋戦艦ゲーペン!!」
ポートサイド港の人間たち騒然とする。
「輸送船が砂浜に突入してくるぞ!!」
「応戦用意しろ!!」
「抵抗すれば殺されるぞ。見ろ!!大砲もこっちを見ているぞ!!」
これはオスマン帝国が購入した旧式蒸気船を無理やり浜辺に乗り上げさせ、上陸橋頭保として活用する戦術であった。
「待て攻撃するな!!」
砂浜にいた民間人は応戦に出た英国兵にそう叫ぶしかできなかった。
1914年10月29日 AM8:00 オスマン艦隊旗艦 エルトゥールル
「突入船からの信号弾を確認…陸兵に犠牲者が出たと判断します。」
「攻撃をしてきた旨を敵司令部に向けて打電。主砲発射用意。信管を抜いた砲弾を1発だけだ。」
「了解。」
その砲弾はポートサイドの司令部(市街地内)に着弾。次は榴弾を全力効力射撃すると脅され、司令部は投降した。
1914年10月29日 AM8:00 (およそ3時間後) マルタ島 英地中海艦隊司令部
「スエズ運河の占領だと!!」
「ああ。既にポートサイドとイスマイリア(スエズ運河途中の港町)が陥落(降伏)した。スエズも時間の問題だ。オスマン陸軍もポートサイドに終結を始めている。」
「一応、利権の譲渡が認められれば戦中限定だが、運河の無害通航を認めると言っている。」
「なんで『ディフェンス』はとらえられなかった!!アレキサンドリアからイスタンブール方面の航路を索敵させたはずだ」
「迂回航路をとっていたのでは?」
またまた参謀本部は騒然とする。
「どうするかが問題だ。本国が決めるとしてもこちらから提案を出さなければわれらの責任になる。」
「…」
「責任って言っても…本国命令で救援作戦に従事させたそれだけ。」
「危険を知らせられなかったこと。その責任はある。」
「…」
「奪還しようにも兵力不足だな。派遣可能な戦力は?」
参謀たちの叫びは確認を重ねるごとにさらに絶望に移る。
「インド遠征軍、オセアニア軍団(オーストラリア・ニュージーランド軍団) はすでに派遣されている部隊もしくは編制中、訓練中の部隊ばかりだ。」
オセアニア軍団はオーストラリア第1師団、ニュージーランド歩兵旅団とオーストラリア第1軽騎兵旅団、ニュージーランド騎乗ライフル旅団 総計25000名程度これが編成完了。派遣に向けて訓練中の状況だった。彼らは史実では1914年12月にエジプトに入っている。
英印軍は開戦時の編成は主力のおよそ10個(第1~9およびビルマ師団) 師団。計15万人そのほかに6.5万人。開戦後ただちに編成を開始されたのが6.5万人のうちおよそ3万以下を再編成した2個歩兵師団と2個騎兵師団。
「セルビア戦線に派遣された軍団を引き抜くのは⁉」
「無理だ。セルビア軍の撤退支援を打ち切れば完全にセルビア軍を失うことになるぞ!!」
史実では西部戦線に送られた2個歩兵師団、2個騎兵師団が改史ではセルビア戦線でセルビア軍撤退の支援に当たっている。セルビア戦線がすでに崩壊、敗走中の兵士の犠牲をできるだけ減らす退却戦に移行している。
「メソポタミア(現在のイラク方面) に印第6師団を輸送中ですこれを緊急にポートスーダン(1906年に建設開始された港湾施設) に送るしかない。オセアニア軍団も同じくだ。」
「新規編成の英印軍第10・11師団(6.5万の一部を再編成した2個師団) を輸送させる。インドの兵力をできるだけ引き抜くしかないな。」
「しかし、独立派を抑えるためにもある程度の抑えは必要だ。どれだけの兵力を引き抜けるのか、引き抜いたとしてどの程度までの被害に耐えうるか、被害が大きすぎればそれだけでインド独立派が蠢動しかねない。」
「それだけじゃない。いやそれ以上に問題なのは援軍もスエズ運河が使えないとなると、ポートスーダンからエジプト方面の伸びる鉄道輸送しかない。それまでスエズから撤退したエジプト軍およそ3000(はじめは5000ほど2000が撤退できず降伏) と現地英軍部隊で死守しなければなりません…。無理です。守り切れません。」
「オスマン帝国軍はスエズ運河にとどまるのでは?オスマンの要求はスエズ運河だけだ。」
「それはあり得ません。水不足です。スエズ運河東側にはろくな水源はない。ナイル川の水源なくしてスエズ運河周辺の軍事活動は大きな制約を受けます。ナイルまで前進しなくては水不足に悩まされ動けなくなることでしょう。それに防御正面も広くすれば、現状、オスマンに比して寡兵である我が方に不利になる。戦線を確実に押し上げてきます。」
「まさか⁉」
「本国がスエズ運河の件で同盟陣営に妥協するとお思いで?」
「…」
「オスマンもわかっていますだから…」
「君。名は?」
「クロード・オーキンレック中尉であります。」
「スエズは心配しなくてもよい。部隊ならいるではないか?アレキサンドリアに。」
「まさか⁉」
「セルビア救援のために船を供出したために足止めを食らっている連中…日本のフランス派遣軍2個師団が。無駄飯を食わせているんだ。せいぜい盾になってもらおうか。」
サー・クロード・ジョン・エアー・オーキンレック のちの陸軍元帥
WW1にてスエズ方面での従軍経験あり
1914年10月29日は史実においてオスマン帝国がロシアに攻撃を開始した日です。




