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改史 大戦  作者: BT/H
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第5章 第1次世界戦争編 F-0005 殿の結末

遅れました。このガリシア戦線誠に書きずらいです。お時間かかって申し訳ございません。

 マンネルヘイム騎兵旅団

「旅団長!!墺第3軍後退を確認。」

 マンネルヘイム騎兵旅団は増援の露第11軍所属部隊と交代中に戦局は大きく変化した。

「追撃されますか?」

 参謀が聞く。

「備えているだろ。第11軍による牽制が限界。我々は当初の予定通り挺身騎兵戦法を実施する。第11軍に鹵獲品の手配を急がせてくれ。第11軍には前進を開始させてくれ。敵第3軍が元の位置に戻る以上、味方の第3軍が窮地に陥る可能性がある。復唱いらん。行け。」

 勝利にも慌てない指揮官像が目の前にいる。

「了解。」

 伝令兵がそれに対し完璧な敬礼を見せ、背を向ける。

「待て。たしか、第11軍の砲兵と残存部隊は鉄道のあるコベリにいるんだよな。」

「そう伺っております。徒歩移動中の部隊もいまだコメリ周辺にいると伺っております。」

「直ちに第3軍方面に鉄道輸送をするように要請してくれ。そしてはよ馬車よこせとも言ってやれ。」

 伝令兵は笑みを浮かべると大声で

「了解。」


 ロシア第3軍 司令部

「オーストリア第3軍が後退を開始。本戦場に向かってくる模様です。」

第11軍の敗走で不利になるのはロシア第3軍だ。ロシア第3軍はオーストリア第3軍が北進する代わりに前進、ロシア第3軍と交戦状態に入ったハンガリー第8軍は練度・兵力・武装不足だったが、2連戦目であったがためにロシア第3軍は苦戦していた。兵の疲労、補給も限界だった。

「第3軍は北上にするにつれ、マンネルヘイム騎兵旅団や航空隊による遅滞戦闘で脱落した部隊を南下しながら撤退するためにこの部隊を吸収しながら向かってくる。先鋒部隊はともかく脱落部隊は大した戦闘はしていないから武器弾薬・疲労度も低い。そうして再編成された墺第3軍はわが軍に襲い掛かってくる。」

 第3軍司令官ニコライ・ラズスキー大将がテーブルに思いっきりこぶしをたたきつける。

「第11軍の一部部隊が鉄道輸送で当方の増援に向かい、第11軍本隊が第3軍への追撃態勢に入っておりますが…」

「旧脱落部隊に殿を務めさせれば十分遅滞戦闘が可能だ。第11軍の一部増援が到着したとしても…耐えることができるかどうかの線だ…第11軍がいかに早く墺第3軍殿部隊を切り崩せるかどうか…それが勝敗のカギだろうな…」


ロシア近衛騎兵旅団および第11軍司令部

「追撃するにしても怖いのは殿部隊の存在です。いくら第11軍支隊が鉄道輸送で第3軍の援護に行くのだとしても第11軍も援護に向かわねば第3軍が崩壊します。この崩壊に支隊も巻き込まれることでしょう。そして消耗しているとはいえ敵2個軍が第11軍本隊をつぶしに来る。」

 マンネルヘイム旅団長が作戦会議で発言している。

「確かにいくら偵察で存在が判明してもその存在は消すことができないもんじゃ。迂回しても側面を突かれる。撃破…もしくはせん滅しなければならん。」

「お任せください。」


 オーストリアハンガリー帝国第3軍 殿部隊

「偵察機です。」

 空に飛行機。ロシア機だ。敵に位置と陣形、兵力が知られる。

「偵察機は邪魔だな。あれ一つあるだけで圧倒的に不利になる。」

 殿部隊司令官が空を見る。隣の副官が

「はあ…」

 と声を上げ、それに指揮官は怒りの表情を浮かべるが副官は全く気が付く様子がない。

(この大バカ者。情報は戦争では最も重要なものだ。騎兵斥候が何に命を懸けたと思っているんだ!!)

「敵に唯一優位な砲兵の運用が勝敗を分ける。」

 殿部隊司令官は墺第3軍先鋒部隊への第1次増援部隊を指揮していた。(この先鋒部隊と第1次増援部隊はもともと同じ部隊でマンネルヘイム騎兵旅団のせいで分断されてしまった。) 援軍投入の地点や状況を見極めるため部隊指揮を副官に任せて (その手の管理については上手いらしい) 先鋒部隊とともにいる司令部に随伴した。その結果、第11軍の状況はつかんでいたのだ。そしてマンネルヘイム騎兵旅団所属騎兵砲部隊がすでに砲弾を限界まで射撃したことも。


 第11軍司令部

「なんだと!!敵殿部隊には砲兵も随伴しているじゃと!!」

 偵察機の情報は戦局の悪化を告げている。

「敵砲兵は軽砲ですが侮れません。前線の歩兵同士は撃ち合いで抵抗できますがその後方から砲兵に狙われればなすすべがありません。」

「砲兵をつぶすのは困難じゃ。歩兵隊を突破せねば砲兵まで手が届かぬのじゃ。」

「矛と盾を分けていますね。盾に阻まれている間に矛にやられかねません。」

 司令部は絶望に包まれる。友軍である第3軍は不利な戦局になる以上増援が必要。それができなければ各個撃破される恐れがある。

「友軍機です」

「マンネルヘイム騎兵旅団所属機です。」

 飛行機が小さな筒状のものを落として去ってゆく。それは人づてに司令官のもとに届く。

「問題点は解決した。進軍を再開せよ。騎兵砲兵は砲を第11軍に譲渡、直ちに馬車に乗車。連隊に復帰せよ。」


オーストリアハンガリー帝国第3軍 殿部隊

「ロシア第11軍先鋒見えました。」

「まだ打つなよ。打てばこちらが軽砲だけしか持てってないことが、射程がばれる。」

「了解!!」

(とはいっても偵察で軽砲しかないことぐらいはもうばれてる。)

「上空に偵察機!!」

「有効射程に入るまで引き付けるんだ。弾薬も現有のものだけだ。補給はない。砲兵隊は打ち尽くしたら砲を回収して後退するぞ。」

「了解。」

 第11軍司令部

「友軍機を見ておれ!!信号弾が上がり次第走れ。歩兵の仕事は走ることだ。われらロシア軍の勇猛さを見せてやれ。」

 第11軍は隊列を整える。隊列を整えたとしても突撃戦をするのだから隊列など意味をなさないが。


 上空露軍偵察機編隊

「いつでも打てるようにしろよ!!秒差が歩兵の生存率を作戦の成否を左右するぞ。」

 眼下には砲兵隊。その上空に八の字を描くように複数の偵察機が飛ぶ。監視は徹底している。

「信号弾撃て!!」

 下で砲撃音。オーストリア軍砲兵が第11軍歩兵に対して砲撃を開始する。

「手投げ弾を順次投下。砲撃を妨害しろ。デカ物が来るまで俺らが嫌がらせをするぞ!!」


 露軍転用爆撃機イリヤー・ムーロメツ

「第11軍司令部より無電入電。符牒です。」

「墺第3軍殿部隊砲兵隊に対する爆撃を敢行する。いやがらせだからな。全弾一気に落とすんじゃなく数発づつ落としてやれ。」

「連中の到着まで時間を稼げ。」


 ロシア近衛騎兵旅団

「突撃!!」

 マンネルヘイム近衛騎兵旅団は襲撃を始める。目標は殿部隊砲兵隊。

「騎兵砲兵も遅れるな!!敬らの活躍こそこの戦の勝敗を分けるぞ!!」

 馬は走る。

「両翼の連隊!!敵予備隊を足止めしろ!!」

 殿部隊の戦術予備が騎兵隊の突撃に対応してくる。4個所属する連隊(第11軍からの増援をも再編成し用意した) そのうち半数を時間稼ぎに充てる。本隊に随伴するは騎兵2個連隊と機関銃や騎兵砲兵を積載した馬車だ。その陣容には異様さが見える。騎兵砲兵の主武装である騎兵砲が一門も見えないとこだ。この場合せいぜい小銃を持ち、歩兵として戦うしかできないはずだ。

「砲兵陣地を完全制圧しろ!!捕虜をとっている暇はない!!重傷兵を始末、軽傷以下は武装解除して前線に向けて放逐しろ。砲兵陣地を死守する。」

 始末…非常な命令だがよくある。日露戦争の時も多くの重傷日本兵が始末されている。まあ、シベリア鉄道の不備など輸送力の不足からくる余裕のなさが原因だろう。助けることができるのは余裕がある状況だけなのだ。

「砲、砲弾ともに鹵獲成功。」

「打てるよな!!」

「精度は期待できませんができます。」

「味方に当てなければ十分だ。」


 第11軍司令部

 砲撃音が不意に止まったのちに砲撃が再開された。しかし、照準はお粗末。自軍兵士のこもる蛸壺や塹壕のそばに落ちる。

「マンネルヘイム近衛騎兵旅団 敵砲兵隊への襲撃に成功。無電によれば同隊所属の騎兵2個連隊敵軍両翼後方にて襲撃戦を続行。退路遮断に成功!!」

 報告を聞くと司令官は立ち上がり、手を横に払う。

「掃討戦に移行する。敵は平均して中央部を厚くした横陣。こちらは鶴翼。マンネルヘイム騎兵旅団を加味すれば包囲状態にあり。敵の戦闘力を奪え。捕虜を持ってゆく余流はない。武器を奪い、手足を縛って放置しろ。直ちに追撃戦に移る。」


感想は燃料

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