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改史 大戦  作者: BT/H
34/83

第4章 第2次米墨戦争編-18 講和と戦争

 米墨戦争終結。

 戦争は終わった。メキシコ軍最後の決戦。第3次オリサバ会戦で米国は坑道戦術で8万人中4万人を失う。大半の機関銃陣地など重要物資(食料以外)のことごとくも喪失。ある意味メキシコ軍が攻めてきた場合かなりとんでもないことになっていたことは確実である。緊急輸送された予備武器をかき集めて防衛線を維持するとともに後方からの列車砲による絶え間ない攻撃によって時間を稼ぐことにしたがその前に狙うべきところがあった。メキシコ軍司令部である。メキシコ軍司令部は坑道戦術で破壊された陣地に対しておかれていたのではなく、坑道爆破後の陣地に設置されていたため距離があり、位置がつかめなかったが坑道爆破前に分離された偵察隊に位置を見抜かれ後方から長射程の列車砲に狙撃されたのだ。

 この攻撃で軍司令官の半数が死亡。ほかの半数もほぼ全員が負傷した。負傷者の半数は命にかかわるレベルの重傷で直ちに後送されている。後送者の中にはポルフィリオ・ディアス大統領も含まれていた。彼の負傷は政治活動のできないレベルで生死の境をさまよっていた。

 これにより彼の独裁状態は喪失した。そして政権は講和に舵を切る。当時メキシコの首都に残留していたペドロ・ラスクラインという人物が講和交渉を行う。この人物はメキシコの法律学校長や市長をやっていた人物であり、史実において34代メキシコ大統領 任期 1時間未満 という世界最短任期の大統領となった人物である。

 彼は今回正式に大統領になったわけではない。米国の交渉団を前に行ったハッタリであった。そしてアメリカの交渉を大統領との直接電話交渉を含めたったの1時間未満で終わらし、調印するという早業を行った。その直後、責任を取り辞任した。

 初めに米国から提示された過大な要求に対し、時間がないといい本当の要求を強引に出させ、譲歩できそうな条件を直接ルーズベルト大統領と電話会談ですり合わせ、終わらせたのだ。

 これは彼自身が米国内の状況を読み切っていたわけではなく、運が良かっただけだ。米国は4万名を失った坑道爆破の影響で国内に厭戦気運が高まっていたことルーズベルト自身の支持率に影響が出ていたことで早急に有利な条件で講和する必要があった。


 それでもメキシコは北緯22.5度

以北の領土すなわち半分以上の領土を喪失した。賠償金の支払いは避けられたがその喪失は大きかった。


 結果的にメキシコは意識不明のポルフィリオ・ディアス大統領にすべての責任を負わせた。アメリカもそれが効率的であると判断し、講和交渉後の情報戦略に大いに協力。この戦争に関してすべての悪役を押し付け、すべてをいいようにしようとしたがそれはメキシコにとって対米カードになると判断した首脳陣はディアスを極秘裏にドイツに亡命させようとした。彼らは今後の独立を守ろうと欲した。ただしディアス自身の状態の悪化でフランスでの治療を優先させることになる。

 これはメキシコの危機感の表れでもあった。初めの米国の要求はメキシコの解体と完全なる併呑をするようなものだったのだから。


 1908年5月1日両国の動員が解かれ、生き残った兵士の多くが帰還を始めることになる。


 この戦争における犠牲者数


  米国 

総動員数 兵士100万名 死者・行方不明およそ10万人 負傷10万人

  メキシコ

 総動員数 兵士32万名 死者・行方不明・負傷14万名 

  メキシコ側 南米義勇兵

 総数 兵士10万名 戦死・行方不明・負傷1万名 

  

  以上民間人犠牲者以外の損害(上記負傷は手足を失うなどの障害を残したもののことを言う)




 イギリス ロンドン

「戦争が終わったか。メキシコめもう少し時間をかけてくれれば講和交渉に干渉できたというものを」

「いいやこれだけ早く決まったこと自体が影響を持っていたといってもいい。英国の干渉を招く前に講和しようとある程度の譲歩を行った。」

「しかしこれ以上のメキシコ支援はできません。メキシコの今後の状況を考えれば我が国から高価な艦艇の導入は不可能。安価な旧式艦はほとんどすべて南米に売ってしてしまいましたしね。」

「しかも、メキシコ軍の兵装の多くはドイツ系の兵装を採用している模様です。このため陸上兵器とともにドイツも我が国を見習い同じように艦艇の輸出を行う可能性があります。」

「売却益で軍拡が加速するだろうな。議会に掛け合ってより多くの予算を手に入れなくてはならんな。」

「米国への牽制のためにさらなる圧力をかけねばならん。」

「これもまた金か。」


 ドイツ 首都ベルリン

「英国が旧式戦艦を売却した。我が国もこれに倣い旧式艦を売却すべきと愚考いたします。」

 ドイツの海軍大臣ティルピッツはドイツ皇帝ヴィルヘルム2世に謁見している。

「それでどのような効果が期待できる。」

「当面の海軍戦力は低下します。しかし、これは英国も同じです。陛下が今すぐ英国と戦争状態に突入せよとと決断されないのであれば許容できる問題です。長期的には英国が大量の軍用艦船を建造する予算を確保することに成功することを意味します。我が国も続かねば長期的に見て英国に対抗する艦隊を保有することは不可能です。」

「ではどの戦艦を売却すべきと考えるか?」

「現在保有する戦艦のうち古いものから合計14隻これを売却すれば残存10隻になります。」

「減らしすぎだティルピッツ!!それでは国防を維持できないはずだ!!」

「現時点で英国との開戦はないならば可能なはずです。ロシア海軍は日本との戦争で失われ、フランス海軍はすでに弱体化しています。それに英国より思い切った数、処分しなければ英国の上に立つことはできません。」

「しかし総数24隻中14隻…海軍力の半分以上(正しくは58%性能を考慮に入れて少し低めに見積もっている。)は大きいぞ。英国はどの程度だ?」

「少なくとも現時点で保有戦艦49隻中12隻性能を考慮に入れれば2割の戦力を売約しています。しかしこれは第1陣。ほかにも旧式化した戦艦は多いのでそれらの輸出も考えられます。」

「君の考えでよい。英国はどの程度の勢力を輸出すると思う?」

「輸出先が南米ABC+ペルーの4か国であればさらに20隻。現時点の海軍力の6割を輸出すると考えます。」

「それでは将来的には英国より多くの艦艇を売却することが困難だ!!」

「はい。我が国もこの輸出が第1陣新鋭艦艇就役次第すべての旧式艦の売却を行わねばなりません。」

「なら早急に14隻も売る必要はない。」

「申し訳ありません。陛下。相場というものを考慮に入れれば今が売り時です。軍事的緊張が高まった今、高くとも軍艦を購入する国はあります。しかしそれが3年たったら他国も旧式艦などすぐに売却します。そうなれば市場に多くの船が余ることが予想できます。そうなれば現時点以上に高価に売れることはあり得ません。ギリギリ戦力を維持できる水準まで旧式艦を今、吐き出さねばならないのです。ここでしっかり儲けなければ新鋭艦建造費が不足します。」

「なるほど。できるだけ新しい船を多く持つにはそれが一番か。認めよう。君のことだどこ国に何を売り込むか考えているのだろ。実行したまえ。」

「御意」


 ロシア サンクトペテルブルク

「ドイツ・イギリスともに艦艇を売却その利益をもって新造艦を建造しようとしています。陛下」

「我が国にとって不利なことだ。とはいっても我が国に妨害する能力はない。」

「はあ?」

「馬鹿者。わからんのか日露戦争でほとんどの旧式艦を失った我が国は維持費の観点から見て各国よりも有利だったのだ。彼らが役に立たない旧式艦に足を引っ張られている間に我が国は新型戦艦の建造が可能であったはずだ。しかし、これで費用面の制約が失われた。それに建造費用の足しになる金も手に入れた。我が国以上に強固な海軍を保有することが目に見えている。」

「税率を上げて!!」

「馬鹿者。そんなことをすれば血の日曜日が再発する。なんでもいい。輸出できるものを探せ。その売却益を用い艦艇を建造する。極東方面でもいい。日本がウラジオストックをとった今、港湾施設の整備は彼らがしてくれる。日本経由で売りまくれ。」


 アメリカ

「終わったか…」

「しかしながら大統領。我が国の国防上の問題点は明らかです。」

「わかっている。英国を含む他国に妨害されぬように太平洋に艦隊を廻航できるか?」

「地中海経由ならばできないことはないはずです。すでに対日戦力を廻航する計画はあります。それを流用します。しかしそうなれば大西洋の戦力が!!」

「新造艦で対応するとともにパナマ運河の開通により早急に増援艦隊を廻航できるようにする。」

「しかも中南米の反米意識は急拡大しました。廻航途上の妨害もあり得ます。」

「メキシコが軍艦を持つことを妨害できるか?いいや妨害しろ。」

「かしこまりました。」


 1908年10月18日 横須賀

 アメリカは太平洋への艦隊の大規模廻航を行った史実と同じように艦隊は白く塗装されている。そのため名称をグレートホワイトフリートと呼称している。史実よりも遅れて、ルートは違う回航であったが、だがその威容は日本に恐怖をもたらすに十分だ。『白い黒船』という矛盾した表紙を飾ったとある新聞はこの大艦隊を開国の原因ともなった数隻の黒船になぞらえている。

「米国の大艦隊だ。」

「戦艦だけで12隻…我々も同数の戦艦をかき集めること自体はできる。しかしそれは退役艦の退役延期や艦種変更・鹵獲艦の動員をしてようやくだ。しかも個艦性能は劣る。それにこの艦隊以外にも米本国には艦隊がいる。これほどの戦力…艦隊を大西洋から太平洋に廻航するだけが目的ではなかろう。こんなに早くあの艦隊が編成できるわけがない。もともと廻航計画があったと考えるのが妥当だ。」

「ではあの艦隊いえ米国の次の目標は!!」

「わが大日本帝国それ以外にしかないだろうな。」








 第1次世界大戦に続く


 ようやく米墨戦争が終わりました。時は一気に第1次世界大戦まで飛びます。

 第1次世界大戦の変化はこれまで以上に大きいです。

 

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― 新着の感想 ―
[一言] 第2次米墨戦争は結局アメリカの勝ちで終わったか、予想どうりいえばそうなんだけどやっぱり悔しいですな。 メキシコは敗戦の結果、半分以上の領土をアメリカに分捕られてしまったか・・・・・これによっ…
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