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改史 大戦  作者: BT/H
31/83

第4章 第2次米墨戦争編-15 海の決戦2

 ブックマーク 100人超えましたありがとうございます。


 あと本文後半一部ですが、ケータイ・スマホでは表示されにくい場所があります。PCで見るかスマホなら横画面表示に切り替えてください。

 ABC艦隊旗艦 再編後編成1番艦 チリ艦 ブランコ・エンカラダ

「米艦隊一斉回頭」

「なんだと!!」

「後方にいた5・6番艦を押さえるためだ。だが…わが艦隊はどうだ。」

「敵艦隊の陰から小型艦確認!!突っ込んできます!!」

「駆逐艦と水雷艇です!!」

「副砲、速射砲!!迎撃しろ!!」


 米第二太平洋艦隊すなわち駆逐艦8隻と水雷艇7隻計15隻で編成されている。

 搭載するは多数の魚雷。小型艦艇が唯一大型艦を撃沈可能な兵器である。ただし当時の魚雷は戦艦の艦砲よりも圧倒的に射程が短い(およそ500m)。


「敵艦からの迎撃きます!!」

「かまうな!!あたるもんか!!玄人の恐ろしさ見せてやれ!!」


 ABC艦隊は迎撃する。このような小型艦には取り回しが良く、速射性の良い小型砲のほうが有効だ。

 ABC艦隊1番艦はマジェスティック級は副砲としてアームストロング1892年型15.2㎝(40口径)速射砲12基、対水雷艇用にQF12ポンド(76.2㎜、40口径)砲16基・2番艦ロイヤルサブリン級は副砲としてアームストロング1892年型15.2㎝(40口径)速射砲10基、対水雷艇用にオチキス4.7㎝12基を搭載している。ただこれが舷側に半数ずつ配置されているためにその半数しか打つことができない。それにそのうち数基は損害を受けて放棄されている。それでも分間数発の速射能力は弾幕を張る。

 しかし砲員のほとんどは素人だ。陸軍砲兵を転用した兵士だ。高速移動目標に対する射撃は不得意だ。

「阻止線に対し一斉砲火!!距離4400!!打て!!」


 駆逐艦 DD-1ベインブリッジ

「統制射撃だ。打ち返せ。本艦が撃沈されても2隻を沈めろ!」

「敵距離およそ6000!!」


 ABC艦隊再編成後2番艦 チリ艦 ミニストロ・ゼンティノ(ロイヤル・サブリン級)

「打って打って打ちまくれ!!」

「だめです!!統制射撃じゃないと命中を期待できない!!」

 陸軍砲兵の…否砲撃そのものが確率論である。だが、陸軍砲兵と海軍のそれとは違う。全くの素人に扱わせるよりも砲の扱いそのものは早く熟知することができるだろう。この時代の陸軍には艦艇のように高速で移動する目標を砲撃することはまずない(例外は気球)その点について大きな違いが存在するのだ。


 米艦 米第二太平洋艦隊 右翼部隊 駆逐艦DD-2バリー

「敵めやみくもに打ち始めたな。」

アーネスト・キングは敵の砲撃を見ながらつぶやく

「距離4000!!」

 士官が叫ぶと同時に隣の駆逐艦が爆発する

「(DD-1)ベインブリッジ被弾!!速力低下します!!」

 3分後後左の駆逐艦が爆発する。

「(DD-3)チョウンシー爆沈。魚雷に被弾した模様」

 魚雷を搭載している船の弱点。それは誘爆だ。唯一の牙は同時に諸刃の剣だ。第2次世界大戦時には機関銃の銃撃だけで駆逐艦は撃沈される例も存在する。それが魚雷の誘爆だ。

「クロスファイアポイントです!!」

 彼の所属する戦隊…駆逐艦3隻中2隻(ほか水雷艇2隻)がやられた。ほかの戦隊に損害がない以上それは事実である。

「戦隊旗艦ベインブリッジ・チョウンシーの被害を鑑み本艦が指揮を執る。突撃を続行。本戦隊は最も敵艦隊に被害を与えられる可能性のある位置にある。本戦隊がここを離れるわけにいかない。」

 アーネストの所属する戦隊は米艦隊の最右翼にいる。アーネストの戦隊が離脱した場合そこに回避ルートができるのだ。そうなれば魚雷の命中は期待できない。

「距離1200!!」

「魚雷発射用意。回頭左10度。」

「敵艦隊さらに左回頭を始める。」

「操舵手最適な魚雷発射位置に」

「距離200」

「魚雷撃てェ!!」

 DD-2バリーからまず4本の魚雷が放たれた。同時に同戦隊に所属する水雷艇からも合計4本の魚雷が放たれる。DD-2バリーは機関を強引に逆進させ減速右に回頭しつつ2本の魚雷を放った。本来、後で放たれた2本の魚雷のみが本来の魚雷兵装だ。DD-2バリーを含めた駆逐艦はこの作戦に際し舷側に合計4本の魚雷を急遽増設させている。その結果、魚雷との速力差を考慮に入れれば魚雷発射後の回避運動をも阻害しかねない状態なのだ。

 そしてこの後30秒のうちに中央に配属された戦隊駆逐艦2隻、魚雷艇3隻も魚雷発射に成功し、合計28本の魚雷がABC艦隊右舷後方から迫る。


 数刻前 ABC艦隊再編成後1番艦 チリ艦 ブランコ・エンカラダ(マジェスティック級)

「左回頭急げ早くしろ!!右舷後方の魚雷に対し平行になれ!!」

 すでに一斉回頭を始めているABC艦隊の2隻は魚雷を避けるべく魚雷の隙間に船体を滑り込ませよるとする。

「魚雷が多すぎる」

「魚雷進路交差。魚雷間に隙間がありません。」

 魚雷は至近距離で放たれた。当時の直径18インチ級魚雷ホワイトヘッドMk.3魚雷は1898年に採用された。魚雷射程730m、雷速26.5ノットこれを命中精度を考慮に入れ、超至近距離である200mほどで放たれた。大型艦が小型艦に終われ逃げ行く光景は滑稽でもある。だがそれがオオカミとバッファローのようなものであるとすればをれは当然。いいやシャチとクジラといえばよいか。

 魚雷に関して至近距離で放たれた場合、水中に潜り込みすぎる恐れがあるが、これは今回に関しほぼ問題ない。ABC艦隊の戦艦は15ノットで逃げている。雷速は26.5ノット角度を考慮に入れればおよそ10ノットのスピードで接近しつつある。分速300mで敵との距離が縮まる。命中までおよそ40秒。その間魚雷は、およそ530m進む。それだけ走れば魚雷の深度に関して問題はない。

「2番艦 チリ艦 ミニストロ・ゼンティノ被雷!!」

「本艦は回避に成功」

「さ、左舷にもう1戦隊確認接近してきます!!」

「なんだと!!」

 艦隊後方をすり抜け、左舷側に回り込むは米艦隊左翼に展開していた駆逐艦3隻、水雷艇2隻だ。

「左舷迎撃しろ!!」

 しかし右舷側にに応援に出ていた左舷側砲員の対応は鈍い初弾発射まで20秒近くかかる。

「舵戻せ!!面舵一杯」


 駆逐艦 DD-12プレブル

「本命は我らだ。」

 チェスター・ニミッツは叫ぶ。作戦行動はすでに指示が来ていた。それに従って走る。

「距離300!!射点良好」

 角度の関係で敵艦の逃げには限界がある。ABC艦隊右舷からの魚雷よりも良好な角度で放たれたため300mで十分だ。

「旗艦ポール・ジョーンズ魚雷発射!!」

「魚雷撃てェ!!」

 狙うは被雷の確認されていない1番艦その1番艦に魚雷16本が集中する。

「機関逆進。旋回式魚雷発射管発射用意。タイミングを見て左30度変針!!」

 旋回式魚雷発射管が発射可能な角度になり、旗艦と2番艦が魚雷を放った直後、1番艦から3本の水柱が立ち上る。命中だ。ニミッツは魚雷発射管方面につながる伝声管に叫ぶ。

「魚雷発射目標を変更。2番艦を撃沈確実とせよ!!」

 2番艦から上がった水柱は1本だけだった。1本で沈むとは思えない確実につぶすにはあと数本打ち込んでやるしかない。

 結果的に1,2番艦は魚雷を複数発受けて撃沈された。その結果が残る。


 米第1太平洋艦隊 旗艦 サウスダコタ

「入電。ABC艦隊1,2番艦撃沈確実。魚雷補充ののち再出撃を予定。」

「よし。砲撃を本格化させろ。」

「2番艦を狙え。ロイヤルサブリン級を失えば残り1隻になるそれで奴らは撤退するはずだ!!」

 すでにABC艦隊5,6番艦の足止めをしていた装甲巡洋艦コロラドは離脱した。

「メリーランド前部主砲塔基部に被弾。旋回不能」

「メリーランド前後両主砲塔使用不能。離脱します。」

「やむ負えないか。」


 数分前 ABC艦隊再編成後5番艦 ペルー艦 コロネル・ボロネジ(マジェスティック級)

「6番艦(ブラジル)レプブリカ(ロイヤルサブリン級)集中砲火を受けています!!」

「まずい。奴は露砲台。弾薬が誘爆するぞ。カバーしろ!!」

「目標敵2番艦。後部主砲塔を狙え!!弾薬庫や機関に損害を与えろ。あいつが現状一番もろい。」


「2番艦前部主砲塔に命中弾。旋回できない模様。」

「奴はもう戦闘能力を喪失した。残り2隻。目標3番艦。奴は前部主砲塔が使用不能だ。前部にあてさえすれば撃沈だ。」

 直後後方から閃光が奔る。数舜のち爆風と破片がコロネル・ボロネジを襲う

「レプブリカに命中弾。後部砲塔上面!!誘爆します!!」

「機関区に大損害が出たか。もう奴はだめだな。我らに勝機はない。撤退する。支援砲火をしつつ撤退。」

 残存のペルー艦 コロネル・ボロネジは撤退を開始する。むろん2隻の装甲巡洋艦は追撃を始める。

 しかし、最後に少し勝利の女神は米軍から離れた。追撃中の旗艦サウスダコタが命中弾を受けた。

「敵旗艦前部主砲塔基部に命中弾!!前部主砲塔使用不能と推定。」

「敵艦隊進路反転!!追撃を断念した模様。」


サウスダコタは追撃を断念。帰還するために舵をロサンゼルスに向けた。


 第2次米墨戦争最後の決戦は終わった。双方に大きな傷跡を残し。

 双方


 第2次海戦の双方被害


  米艦隊

 装甲巡洋艦4隻 全艦大破

 駆逐艦 1隻損失、1隻大破、残存6

 水雷艇 損害なし 残存7

 特務艦(潜水艦) 2隻帰投せず

 ABC艦隊

 戦艦 戦没3(マジェスティク級1 ロイヤルサブリン級2)

    大破2(マジェスティク級2)

    小破1(マジェスティク級1)


合計損害


米艦隊

戦艦2隻大破

ウィスコンシン、オレゴン

装甲巡洋艦5隻 全艦大破

ペンシルベニア・ウエストバージニア・コロラド・メリーランド・サウスダコタ

 駆逐艦 1隻損失(DD-3 チョウンシー)、1隻大破(DD-1ベインブリッジ)、

残存6 (DD-2バリー、DD-4デイル、 DD-5ディケーター

DD-10ポール・ジョーンズ、 DD-11ペリー、 DD-12プレブル)

 水雷艇 損害なし 残存7

(B8ローワン、TB9ダールグレン、TB10クレイヴン、TB11ファラガット、

TB12デイビス、TB13フォックス、TB20ゴールズボロー)

    戦死1032名 戦傷235名 (合計およそ24%)

ABC艦隊

戦艦12 

 損失4

ロイヤルサブリン級 3 (1次海戦損失) ブラジル艦 作品中艦名未登場

            (2次海戦損失) チリ艦ミニストロ・ゼンティノ、ブラジル艦レプブリカ

マジェスティク級  1 チリ艦ブランコ・エンカラダ

 大破 7

ロイヤルサブリン級 1 (1次海戦損害) ペルー艦ワスカル

マジェスティク級  4 (1次海戦損害) ペルー艦アルミンランテ・グラウ、チリ艦エスメラルダ

                   ブラジル艦 2隻 作品中艦名未登場

2 (2次海戦損害) アルゼンチン艦ガリバルディ、アルゼンチン艦ヘネラル・ベルグラノ

 小破

マジェスティク級  1 (2次海戦損害) ペルー艦コロネル・ボロネジ

第1次海戦編成

上がABC艦隊右翼 ★がロイヤルサブリン級

ペルー戦隊    (P・α)  アルミランテ・グラウ 一次海戦大破

                コロネル・ボロネジ  小破生存

               ★ワスカル        一次海戦大破

チリ戦隊     (C・β)  エスメラルダ      一次海戦大破

                ブランコ・エンカラダ  二次海戦沈没

               ★ミニストロ・ゼンティノ 二次海戦沈没

アルゼンチン戦隊 (A・γ)  ガリバルディ      二次海戦大破

                ヘネラル・ベルグラノ  二次海戦大破

               ★(作品中艦名未登場)   一次海戦沈没

ブラジル戦隊   (B・δ)  (作品中艦名未登場)  一次海戦大破

                (作品中艦名未登場) 一次海戦大破

               ★レプブリカ 二次海戦沈没

    戦死3028名 戦傷2723名 (合計およそ54%)



 米墨戦争編そろそろ終わりが見えてきました。5月中には終わる予定です。

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