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改史 大戦  作者: BT/H
18/83

第4章 第2次米墨戦争編-2 開戦と封鎖

 7月中に上げようとしましたが遅れて申し訳ありません。今回から戦争開始です。ただしこの戦争はあまり激しくありません。何せ戦力差が圧倒的ですから。

 第2次米墨戦争について当時の米墨双方の軍事力はどうであろうか調査してみる。

 

米国陸軍

 主力小銃

 M1892小銃 

  スウェーデン=ノルウェー原産クラッグ・ヨルゲンセン・ライフルのアメリカ採用型米西戦争当時の主力小銃。生産数50万丁程度。小銃弾の装填に欠陥がある。

 スプリングフィールドM1903小銃

  米西戦争でスペインが使用するモーゼル小銃に苦戦させられたために新規採用。モーゼル小銃を原型に開発された。この当時の小銃弾は30-03弾と呼ばれるものだった。史実では1906年に30-06弾と呼ばれる新型銃弾に変更、当時配備されていた20万丁は改修されている。そのため1906年11月~1907年2月まで生産を休止している。


 兵力

 1906年当時のデータは見つけれなかったが、第1次世界大戦前に11万人が参戦で400万人規模に拡大していることから本土残存常備10万人程度と推測する。(他にフィリピンでの虐殺に10万人を出兵している。)むろんやろうと思えば400万人の動員が可能であろう。ただし小銃のほうが不足している。


メキシコ陸軍

 主力小銃

 独モーゼル系ライフル

 モンドラゴン1893 250丁程度

 モンドラゴン1905 生産中 配備数2000丁程度

 史実名称モンドラゴン1908。改史では少し早まっている。その影響で名称が変更されている。世間では世界初の半自動小銃とされていた。

 しかし、世界初の半自動小銃はデンマーク マドセン1888 ちなみに世界初の自動小銃もデンマーク マドセン1896 まったく採用されなかったためそれを原型にマドセン軽機関銃が開発されている。


 兵力

34,000名の常備軍

286,000名の予備兵

 合計32万人


米海軍

 戦艦 22隻+1隻(完成間近)

 装甲巡洋艦 9隻

 防護巡洋艦 26隻

 駆逐艦 16隻


メキシコ海軍

 当時有用な主力艦艇は存在しなかった。



 1907年4月3日 ワシントン

「えらいことになったな。」

 足止めを食らっていた日本使節団一行の一人秋山好古もその新聞記事を見てつぶやく。

 新聞記事には

『メキシコ亡命政治家の乗る汽車爆破。民間アメリカ人124名犠牲になる。』

 だった。


 1907年4月2日 テキサス州

 メキシコの政治家フランチェスコ マデロは亡命先のアメリカで鉄道に乗っている。マデロが史実においてアメリカに亡命したのは1910年ごろのことである。ここでも歴史は早くなっている。

 テキサス州にかかる大きな橋に汽車が入った直後、橋が爆発した。橋には爆発する要素などない。ただの鉄の塊。明らかに仕掛けられたものだ。

 汽車は先のなくなった橋から転落。後続の客車も水中に没した。


 時は戻り1907年4月3日 ワシントン

「海軍軍人としてみるのならば米軍の戦略は一つ。海上封鎖から後方への上陸作戦。だがそれだと…」

「前(第1次米墨戦争)と同じになる。ということだな。まああの時は兵力はメキシコが有利だったが、今はアメリカのほうが兵数国力ともに有利だ。勝負にならん。」

「でも兄サン。米国の主力小銃M1892小銃は装填に関して欠陥がある。」

 M1892小銃はスウェーデン=ノルウェーで設計されたクラッグ・ヨルゲンセン・ライフルである。この小銃はボルトアクション式の小銃であるが、どんな小銃でも中に弾を装填する必要がある。モーゼルライフルをはじめとする多くのボルトアクション式小銃はそのに装填関して一気に数発を込めることができる。しかし、このクラッグ・ヨルゲンセン・ライフルは一発ずつしか装填できない。装填時間を考慮に入れると圧倒的に一人頭の戦闘力は劣る。

「今20万人ほどいる米陸軍は、すべて新型のスプリングフィールドM1903小銃に装備換装されている。まあ、戦時召集兵士の武装はその旧式銃になる。旧式小銃の残りは50万丁。M1903装備の兵士が半分フィリピンに出ている。小銃の旧式さをメキシコ軍正式小銃のモーゼルライフルを考慮に入れれば、歩兵装備だけ見ても米軍は35万人相当だ。むろんそれだけじゃない。米国には機関銃を生産する工場なども存在する。その点を考慮に入れるとそれ以上に厄介。米軍が守備に回ればメキシコが勝つなんてことはあり得ない。」

「だけど…」

「ああ。米国の新型小銃スプリングフィールドM1903は新型銃弾モデルへの生産転換が既に完了している。それがどんどん生産できる体制にある。メキシコは何もわからないけどアメリカが有利なことに変わりはない。」

「アメリカ社会のライフルは?」

「弾薬の補給が困難になる。戦時徴用は無理だ。せいぜい米軍仕様の小銃の生産依頼ぐらいだろうな。どちらにしても米国の勝利で終わる。私はそう推測する。」


 5日後、国内世論の高まりとともに、アメリカはメキシコに対し宣戦布告することを決定。募兵を開始。募兵条件は当時の不景気を考慮に入れれば好条件で、多くの人間が募兵に参加した。彼らは兵士だけでなく後方支援の人夫として採用することも決定しており、補給の面でもメキシコを圧倒するに至る。


 1907年4月5日ノーフォーク 

「メキシコ軍は早急に32万人を動員しようとする。だがメキシコがそれだけの小銃を所持しているわけではない。

南米諸国…特に旧スペインの植民地諸国はモーゼル系の小銃を採用している。その国家から小銃を導入することで当面の不足を補おうとするはずだ。よって海軍はそれを防ぐために海上を封鎖する。メキシコ海軍はロクな戦力がいない。単艦運用で十分。1隻たりとも逃すな。」

 その号令のもと米艦隊は出撃する。いまだに宣戦布告はされていない。この命令も艦長級にしか伝えられていない。それでも出撃した艦隊が稼働全艦であったことから何かあると思う人間は多かっただろう。

 その旗艦 戦艦コネチカット(コネチカット級ネームシップ)には近藤基樹、戦艦ジョージア(バージニア級3番艦)には秋山真之の姿があった。


 1907年4月8日

 アメリカは開戦と同時にメキシコ沿岸の海上封鎖を宣言。カリブ海には米軍の艦船がすでに進出しており、その海域を通る貨物船を片っ端から臨検、拿捕を開始した。


 戦艦ジョージア艦橋

「お手本のような海上封鎖だな。敵のいない海を来る船全てを米軍基地に回航させる。それだけでメキシコを干上がらせることができる。」

 観戦武官の秋山真之はつぶやく。目の前では1隻の船が威嚇砲撃を受けて足を止めている。その船に米国艦艇は接舷(乗り移れるほど接近させて船を横並びにすること)するかランチ(内火艇:内燃機関エンジン付の小型艇)を接舷させ、兵士を乗り込ませる。その水兵は爆薬を所持しており、船底に爆薬を仕掛けておく。従わなければ爆沈させると脅し、米国旗と白旗を掲げさせ単独で指定された港に入港させる。

「余剰水兵の数に依存しますなこの拿捕の継続可能時間は。余剰は戦闘時の応急補充にも役に立つ。その点わが軍は…」

 秋山はその言葉に続ける言葉が喉まででかかるがそれを飲み込む。

(軍縮の関係でわが軍の人員は少ない。その分余剰もだ。わが軍の艦船が同様状況に遭遇した場合や戦闘で十分な人員を失った場合どうなるのだろうか…)


 1907年4月20日ニューオリンズ港

 ニューオリンズの港には秋山好古がいる。彼は海軍軍人ではない。しかし陸軍軍人の目線で海軍の事柄を見ることができる。それを考慮に入れ彼はここにいる。

「秋山閣下。予想通りです。貨物船が入港してきました。」

 秋山たちはアメリカ軍の戦略を海上輸送からの敵後方への逆上陸と予想している。そのためには物資を集積できる港湾都市に集める必要がある。それを輸送する船舶もだ。

 しかしそんな自由に使える船舶の用意には時間がかかる。

「ああ。拿捕行動の隠された理由。輸送船舶の確保…。」

 船舶確保に時間がかかるのならば船舶を奪ってこればいい。海上封鎖に引っ掛かり拿捕された民間船舶を使い、大量の陸軍部隊とその補給物資を輸送する。これなら万単位の師団を送り込むことができるだろう。

「拿捕に関して法律はほとんど何もないといってもいい。とおっしゃてましたしね。」

「真之によると1856年のパリ宣言である程度の規制がある。だが海上封鎖に関しては実質規制はない。」

 この拿捕行動に関して法的問題があるとすれば1856年のパリ宣言だろう。

 

1、私掠船は、現在および将来に渡って廃止される。

2、中立国の旗を掲げている船は、戦時禁制品を運んでいるもの以外は阻止されることはない。

3、戦時禁制品を除く物資は、たとえ敵の旗を掲げている船に運ばれていたとしても略奪の対象外になる。

4、海上封鎖を宣言した場合は、実際に実施するに足る戦力を用いて行われなければならない。

(ウィキペディア引用)


 私掠船=国家が認めた海賊船 海賊行為を認められた代わりに利益の一部を国家に納めなければならない。


 ここにある問題点は『戦時禁制品』とはなんだということである。実はこの時決められていない。史実においては1909年に公表されたロンドン宣言で内容がある程度限定された。

 無条件で戦時禁制品となるもの

「スポーツ目的の武器、武器の部品を含めた全ての武器類、弾丸などの発射体、装薬、弾薬筒、並びにそれらの部品、戦争目的の火薬と爆発物、砲架、砲車、軍用車両、携帯用炉、並びにそれらの部品、兵員用衣類、陣舎、軍用索曳装具、軍用サドル、軍用牽引具、装甲用鋼板、軍用小舟、軍艦およびその部品、兵器製造・修理機械、戦争で用いられる材料、等々。」(ウィキペディア引用)

 通告が必要なもの(WW1でドイツが加えたものを含む。)

「食糧、飼料用穀物、戦争で使用可能な衣類、靴、金貨・銀貨、金塊・銀塊、紙幣、輸送用機器及びその部品、船舶、飛行船、小舟、浮き桟橋、並びにそれらの部品、鉄道用機材、鉄道車両、電信機器、無線機器、電話、気球、飛行用機器、気球との連絡用機材、燃料、民生用火薬、騎乗用靴、双眼鏡、望遠鏡、クロノメーター、並びに全ての航海用計器、等々。」(ウィキペディア引用)

 禁制品となったものではなく禁制品とならなかったものを上げたほうが早いほどである。


 むろん例外として病院船や(捕虜)交換船が存在するが、それに禁制品を積載する可能性もある。事前通告も必要なのでこの場合通告する時間を考慮に入れると存在しないと想定したほうがいい。

 その上禁制品は何かという規則はこの時点では存在しないのだ。


 つまりこの時点では海域にいる船全てを捕まえて兵員、物資輸送に転用することが可能なのである。


「君たちに依頼している通りマイアミやヒューストン、ジャクソンビル、ペンサコラにも来るだろう。情報を集めてほしい。入港時積載していた積み荷情報から出港時の積載物資人員全てをだ。」

 なお本日は私が1年骸骨に近くなる日です。この年で祝われるようなことはありませんので。

 なおこれは一休さんのモデルになった坊さんも同じこと言ってたそうです。


 すみません作中設定の艦艇総数が間違っていました。どうやら改史における建造スケジュールの加速をわかりやすくまとめた資料を参照するの忘れてたみたいです。戦艦と巡洋艦に関しては修正しました。駆逐艦に関してはその資料を作成していない(駆逐艦までまとめるとすごい資料の量になるので後回しにしています。)ので2019年8月15日時点では修正していません。申し訳ありません。

 

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