第一章 試合
「天気いいなー小言言われないように早めに行きますか」
アウゼスが小言をいう姿を想像して駆け足で目的地に向かう。
そうしていると少し離れたところに見慣れた顔がいるのに気づく。
『エレーンおはよーう』
飛び跳ねながら手を振っているその様子は無邪気そのものだ。
「おはようアリス」
『今日の朝ご飯は何だった?』
「ハイオークのステーキだよ』
たいていの人は朝からステーキに引っかかるはずだがシルヴァのことを知っているアリスはそれには触れない。
『いいなーさすが貴族って感じだね!ランクDの魔物が朝食だなんて』
「本当お父様のおかげだよ、たまに狩ってきたりもするからびっくりだよ」
『守国十席の一人なんだから当然よ!』
「う、うんそうだね」
戦闘バカの父が偉くてすごいというのはわかってはいるがどこか信じられず、あいまいな返事をしてしまうエレン。
『よー待ったか?』
剣を振りながらしゃべりかけてくるアウゼス。自然に囲まれ川が近くにありのどかという表現がふさわしい場所で剣を素振りしながら歩いているというのは、異常にもほどがあるが本人はまったく気にしていないようだ。
エレン「いや待ってないよ、僕達も今来たところ」
アリス『もーアウゼスまず挨拶からでしょ、剣ばっか振ってないで口を動かしなさい』
アウゼス『あーはいはい分かったって、おはようエレンにアリス。これでいいんだろ』
エレン「そんなにいやそうに言わなくてもいいのに、ところでゼルは?」
アウゼス『今日は朝から魔法の勉強だとよ』
エレン「そっか、じゃあ早速試合やろうか」
アウゼス『よっしゃ待ってました!』
二人は素早く定位置につき木剣を構え、アリスは二人の試合を見るため腰を下ろす。
アリス『よし、じゃあ試合はじめ!』
アウゼス『【身体強化】!!』
それに対しエレンは【全知なるもの】に言われた通り気を体に巡らせる。めぐらせても身体能力が強化されるわけじゃないが【全知なるもの】が言うには意味があるらしい。
『まずは剣技Lv1【斬刃!】』
「剣技Lv3【流】」
右上から斜めに振るわれる剣を剣の腹でそらしていく。そらして隙ができた瞬間を狙い胴体めがけて刺突を放つ。隙を突いたはずなのにすでにアウゼスは刺突をはじくための態勢になっている。
それを見て刺突をやめいったん距離をとる。
「やっぱり戦技使う前にでも剣は届かないか」
『まあな、これでも天才なんでね』
「ふふふ 自分で言わないんだよ」
「ふっじゃあ本気で行くぞ、戦技Lv1【身体活性】Lv2【集中】」
そのあとも試合は続いたが二人の口元から笑みが消えることはなかった。




