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第一章 成長の兆し


初めての勝利


それは高揚感、今ならだれにでも勝てるかもという全能感、今まで手に入れたくても手入れられなかった勝利を手に入れることができた達成感、そのすべてを包み込む初めての勝利が自分だけの力で手に入れられなかったという無力感をエレンに与えた。どれだけ勝ったという事実に目を向けようともゼルという存在が自分が使えない魔法という存在がちらつくのだ。作戦は自分が考えた、ぜルの能力

を把握したうえで初見殺しと言われてもおかしくないようなえげつない作戦を立てた。だとしてもそれが無力感を消し去ってくれる魔法の薬にはなってくれない。今まで勝利というパズルのピースを必死に追い求めてきたが、手に入れることができたピースは残念ながらいびつな形の空いた穴を埋めることができない中途半端なピースだった。


だがそのピースは違う形でエレンというパズルを完成に導くのであった。



(勝ったのか?)

目の前に映しだされるアウゼスが地面倒れている状況、アウゼスの様子からして確実に気絶している。だがその絶対的状況を前にしても素直に信じることができない。それ程までに勝利というものはエレンから縁遠いものだった。


『やったあああ 勝ったよエレン!』

『やったねエレン!!アウゼスに勝ったよ!!』


本来聞こえるはずのない敵チームからの喜びの声に少し戸惑いつつもみんなの手前喜ばなきゃと思うエレン。残念ながらアウゼスの心配そっちのけであった。

「う、うんついにやったよ」


『エレンそんなに嬉しくないの?』

そう言ってエレンの顔を覗き込むアリス。


「アリス顔が近いよ、それよりアウゼス」

草原に横たわるアウゼスを指さす。



『あ忘れてた!アウゼスー大丈夫ー』

アウゼスのもとに駆け寄っていく様子とは裏腹に言っている言葉は辛辣しんらつだ。


『アーウーゼースー大丈夫ー』

ゼルバートが無邪気にアウゼスの体を揺らす。


「いくらアウゼスが肉体バカでも体揺らしても多分起きないよ。アリス魔法使ってあげて」


アウゼスが自分の体のことを考えずすぐ無茶してよくけがをするのだが、そのけがの治りや普通なら骨折するのを打撲で済ますなど、肉体が頭おかしいという所から肉体バカというあだ名がつけられた。


『さすがのアウゼスも脳天直撃木剣アタック食らったら気絶するんだね』


「いや普通に木剣を当てただけだから変な名前つけないで」


【エクス・スタンヒール】

消費魔力が多いが唯一気絶に有効な魔法だ。ただエクス級のこの魔法ではすぐ気絶を回復というわけではない、エクス級より上位もしくは魔法使用者の熟練度が高ければすぐにといったところだ。


少し時間がかかりながらも着実に魔力を練り上げて魔法を発動させる。エクス級を発動することはできても少し技量が足りない。説明書を見ながら作りたいものを作ることはできても、素早く作ることはできないそんな感じだ。精密な機械を一から作るのと同じくらい魔法というのは集中力、知識、正確さが必要だ。


『ん、、、あれ、、、ぐわああ俺負けた!!??』

最初は状況が理解できておらず周りをきょろきょろ見ていたが、敗北を思い出した途端叫びながら体を起こすアウゼス。


途端にアウゼスの表情が曇る。この試合はエレンだけではなくアウゼスにとっても意味があった。今まではどこかエレンのことをかわいそうなやつと思っていた。魔力も身体強化も戦技も魔装も使えない、一対一の試合をしても攻めあぐねることはあっても負けることは絶対にない、そう思ってた。だが今、試合が終わった後勝者として大地に立っているのはエレンだ、いつもと同じはずなのに大地の土がどこか冷たく感じる。たとえエレンだけの力ではないとしても負けは負けだ。アリスに落ち度は一切ない、作戦を立てる能力で完全に敗北したのだ。どんなに優れた能力を持っていたとしてもそれを生かす作戦や戦い方をできなければ意味がない。本音を言えば舐めていたのだ。


(これが本当に負けるって感覚か、、、めっちゃくちゃ悔しい!)


『さすが肉体バカ起きちゃった、あれまだ痛い?』

肉体バカとはののしりつつも的外れな心配をするアリス。アリスはそのアウゼスの表情が悔しいからではなく頭が痛いからだと思ったのだ。


『いや大丈夫、エレン次は負けない』

そう言ったアウゼスの目は完全にエレンをライバルをライバルととらえていた。


「次はちゃんと勝つよ」

アウゼスの表情に驚きつつも返事をするエレン、ただその返事には自分一人の力での勝利ではないことが存分に表れていた。



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