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ブックマーク、評価ありがとうございます。


ほかの作品の手直しで

更新が遅くなりました。

ご迷惑をおかけしました。


今回は少し短めです。

すみませんm(_ _)m


この作品も少しずつ手直しをしたいと思ってます。


「ふーん。あの子がシャルロッテの……噂のルシール君だね」


 僕たちはシャルさんが手配してくれた馬車で、郊外の精霊大核門に向かっていた。


 屋形の方に、シャルさん、フレイ、アルテ、ラッシュが乗り、僕は御者台に……といってもシャルさん専属の御者が馬車を引いているので、座っているだけ、楽ではあるのだけど……


 シャルさんの屋敷を出て少し馬車を走らせたくらいに、遠くからずっと僕たちの馬車を見ているエルフの子供がいた。


 ――なんだろ……すごく小さなエルフの子供が僕を見てる……この馬車が珍しいのかな?


 僕は高そうな馬車が珍しいのだろうと興味をなくし子供から目線を逸らしたその時――


 ――ん?


 僕の膝あたりに違和感を感じた。


「ふむふむ、なかなかの座り心地だね」


「え?」


 なんと、その子供が僕の膝の上に腰掛けていた。


 ――いつの間に?


「き、君……なんで僕の膝の上に……」


「え、うわ、動かないでよ。落ちるよ。早く手を回して……」


 少し高めの声でそう言った子供は僕の両手を慌てて取り自分のお腹の方へと回した。


「うむ。これでいい」


 僕の腕で落ちないように固定した子供から満足気な声が聞こえた。


「え? え? ねえ、君……僕たちは……」


 ――精霊大核門に向かうんだけど……


「リースだよ、ボクはリース」


「リース……くん?」


「むぅ……」


「痛っ!」


 リースと、名乗った子供が僕の両手の甲を思いっきりつまんだ。


「君は失礼だね。ボクをどう見たら男に見えるんだい? ほら、よく見て、ボクは立派なレディーだよ」


「ご、ごめん」


 自分をレディーと言った子供は、寝ぐせなのか、肩までのゆるふわ髪がぴょんぴょんと跳ねている。

 薄手の長いコートを羽織り短めの半ズボンを履いている。


 ――エルフってみんな顔立ち整っていて判断しずらいんだよな。だいたいボクって言ってるし、格好だって半ズボンを履いてるじゃないか……胸だって……


「むぅ……今、ボクの胸……見てた……えっちっ!」


 いつの間にか、リースが顔を上げ僕の顔を見ていた。そんなつもりはなかったんだけど、非常に気まずい。


「いっ、いや、そういうつもりじゃ……なくて……ね」


「はぁ、まあ……ボクは寛大だからね、許してあげる」


 そう言って顔を再び前に向けたリースの髪の毛が風になびいてぴょこぴょこ揺れている。


「ねぇ、リース? リースはなんでこの馬車に乗ってるのかな?」


「いいじゃないか。同じ所に向かってるんだよ?」


「ん? 僕たちと同じって、なんでリースが知ってるのかな?」


 ――どいうことだ?


「ボクはそこから迎えに来たんだもん。歩いてきたから疲れたよ……」


「そこから?」


 僕はわけが分からなくなって、となりに座る御者さんの顔を見た。


 見ればこくこくと頷いてリースの言っていることを肯定している。


「疲れてるのに……降ろされたら、どうしてやろうかと思ったよ」


 ――うーん。分からない。まあ、ウソじゃないのなら……ま、いっか……


 御者さんの顔色が悪いのが気になったが、それからすぐ、御者さんは僕から顔を背け前に向き直ると、こちらを一切見ようとしなかった。


「リース。御者さんが、いいって。よかったな」


 僕は後ろから安心させるようにリースの頭を撫でてやった。ついでに寝ぐせっぽいのも押さえてやったが、これは意味がなかった。

 手を離すと、離したそばからぴょんぴょんと髪が跳ねていく。何度か繰り返したが無理だった。


「髪……直らないなぁ……」


「むぅ、人の頭で……遊んでる?」


 リースが「ボク、レディーだよ?」と言って口を尖らせ耳を少し赤くした。


「あ、はは。ごめん、ごめん。つい」


 それからリースはなんでもないことをウンザリするくらい喋りまくっていた。

 僕たちが人界に向かうことも知っていた。

 何気に人界にあるイモ豆が大好きだと会話に絡め、お土産に買ってくるよう約束させられた。


「やったね」


 リースは鼻歌まで歌い上機嫌だった。


 これはリースの話に疲れた僕がうんうんと、なんでも相槌を打っていたのが悪い。


 ――とほほ……


「ルシール君、ここだよ。着いたよ」


 そう言った、リースは僕の膝からぴょんっと飛び降りた。


 僕も降りるようにちょいちょいと手招きする。


「え、あ、うん」


 精霊大核門は高い石壁に囲まれて中に入るには検問所らしいところを通り抜ける必要があるようだ。


 だが、石壁よりも高い精霊大核門は当然、外からでも見える。


「うわっ! これって……精霊大核門? 凄い!! あれ? でも、どうしてこんなに大きいのに、近くに寄るまで気づかなかったんだ?」


 セリーナ族長のところで見た精霊核門よりも遥かに大きな門だった。

 手入れの行き届いた石柱には遠目からでも凄そうな紋様がくっきりと見える。

 これを起動できるイーリアス様はとんでもない人だのだろう。


「ん? それは結界魔法が張ってあるからだよ」


「これ結界魔法の力なの……凄い」


「ふふふ、そうだろ。すごいだろう」


 なぜかリースが腰に手を当て無い胸を張った。


「着いたようねルシール? え? ……イーリアス様?」


 馬車の屋形から降りてきたシャルさんが僕に声をかけた後、リースを見て目を見開くと固まったように立ち止まった。


「「シャルロッテさん?」」


 シャルさんの後から降りてきたフレイ、アルテ、ラッシュは立ち止まった、シャルさんに向かって何事かと首を傾げている。


「やあ、シャルロッテ。昨日ぶりだね」


 リースがシャルさんに向かって右手を挙げぶんぶん振っている。


「えっ? シャルさん? リ……ース?」


 思わず僕はシャルさんとリースを交互に見比べる。


「ど、どうして……こんな所に……?」


「ん……なんとなく……」


「イーリアス様!!!! 急にいなくなられては困ります!!」


 急に検問所の方が騒がしくなったかと思っていると――


「あっ! 見つかった……」


 数人のエルフの巫女? が検問所側からリースに向かって駆けてきた。


「見つかってはしょうがない。ほら、早く行くよ」


 開き直ったリースは僕の右手を握ると精霊大核門に行こうと引っ張った。


「り、リース?」


「ほら、ほら、早く行くよ。シャルロッテもほら」


 シャルさんもわけが分からないのか、茫然と立ち尽くしていたようだが、リースの声に我に返り慌てて駆けてきた。


「イーリアス様」


 ――――

 ――


「では、気をつけて行ってきてね」


 ――やっと解放された……イーリアス様、話長い……疲れた。


 皆も同じ思いだったのか、イーリアス様の言葉に反応した皆の瞳に光が戻った。


 なんと、リースはイーリアス様だった。もっと早くに教えて欲しかったが、まあ、シャルさんとイーリアス様が二人でほとんど会話していたから別に関係ないんだけどね……


「はい。ではイーリアス様……行って参ります」


「うん。同胞を頼んだよ」


 シャルさんはイーリアス様に軽く頭を下げると、すぐ近くで展開された精霊大核門に向かって歩き出した。


「ルシール、いこ」

「ほら、ルシール行くっちゃよ」


 後に続くようにフレイとアルテに背中を押されながらも、イーリアス様に頭を下げるとシャルさんを追いかけた。


「ねぇねぇ、ルシール君!!」


 にこにこ笑顔のイーリアス様がボクに向かってぶんぶん右手を振っている。


「はい、何でしょう? イーリアス様?」


「むぅ、お土産のこと、忘れないように言おう思ったけど……それより、ボクのことはリースでいいって言ったよね?」


「え?」


 イーリアス様の言葉に皆の視線が僕に集まる。非常に居心地が悪い。


「ボクとルシール君の仲でしょう、特別だよ」


「え?」


「「「特別!!」」」


 僕の周りの温度が二度ほど下がった気がした。怖くて僕は周りを見渡すことができない。


「ええ、もう忘れたの? ルシール君、ボクにあんなに触れてたじゃないか……君も結構ひどいね」


「ふ、触れてた……」


「あ、あれは安心させてあげたくて、それに寝ぐせを……」


「あ!! もう転移しちゃうのか……じゃあルシール君……気をつけてね」


 イーリアス様の声に反応するように精霊大核門から溢れ出した激しい光が僕たちを包み込んだ。


 片目を閉じてウインクしたイーリアス様の笑顔に見送られ、僕は人界に転移した。


 みんなに要らぬ誤解を与えたまま……


「さて、ルシール。何か言うことはあるかしら?」


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