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ブックマークありがとうございます。

嬉しいです。



「うおっ、ラッシュやばいぞ、外は真っ暗だ!」


 >そうか?まん丸お月様が顔を出してるから明るいぞ<


 ラッシュは僕の肩に座り真っ暗な空に浮かぶまん丸お月様を指差した。


「確かに……じゃなくて本当に不味いんだ。こんなに遅くになるって言ってない。」


 >おおぉ<


「みんな心配してる…かも……」


 >そうか?子供じゃあるまいし…それに何かあればぼっくりくんもいるだろ?<


 ルシールは気まずげにラッシュを見上げた。


「……ぼっくりくん置いて来た。」


 >んん?<


「ぼっくりくん置いて来たんだ。今朝は色々あって、丁度良い時にラッシュが来たから…」


 ラッシュは顔を覗き込みニカッと笑みを浮かべ、ルシールの頭をぽんぽんと叩いた。


 >気にしてもしょがないから…帰ろうぜ。杞憂かもかも知れない…だろ?<


「……そうだね…」


 ルシールは飛翔スキルを展開すると魔力の翼を広げ屋敷へと飛んだ。


 並んで飛ぶラッシュは嬉しいのか、ルシールの回りをくるくる飛びる。そのラッシュの後ろを小さく光り輝く精霊が追いかけとても幻想的だった。


「見えてきた…」


 更に大きな聖樹や街の魔導光が見えて来ると、大小様々な輝きに目を奪われる。ルシールはまるで夢の世界を飛んでいる様で気分になった。




「ルシールさま!!」


 屋敷のトビラを開け中に入るとリリーラがルシールの胸に飛び込んで来た。


「ちょっと!り、リリーラさん?」


「心配しましたよぉ〜。心配いたんですよ〜」


 涙目で見上げてくるリリーラにルシールは気まずくなった。


 ――何か言わないと…


「…ご、ごめんリリーラさん。明日に備えて身体を動かしていたら、つい熱が入り過ぎて…今になったんだ。」


 心配させてしまってごめんと謝ると、リリーラが安堵の表情を浮かべ僅かに笑みを浮かべた。


「……そうだったのですね〜。よかった〜。てっきりわたしの事が嫌いになったのかなと思って…心配してました。」


「ええ!嫌いになる訳ないじゃないですか。リリーラさんは一生懸命してくれてます。僕、知ってますから。」


 ――ちょっと力を抜いて欲しい気もするけど…


 そう言ってルシールは、リリーラの頭を軽く撫でて引き離そうとするのだがリリーラが、がっちり腕を回し抱きついて離れない。


 ――え?


「ほんとうですか、わたしうれしいです〜。」


 それどころか、リリーラはルシールの胸にぐりぐりと顔を埋めて、くんかくんかルシールの匂いを堪能しはじめた。が動揺しているルシールには何が何だかんだ分かっていない。


「り、リリーラさん…」


 どうしようかとルシールが途方に暮れているとー。


「ルシール遅いと思ったら、もう屋敷のメイドに手を出してしまったの…信じられないわ。」


 呆れた顔をしたシャルさんとー。


「ルシール…小さな子は犯罪。我慢できなくても手を出したらダメ。」


 腕を組み、ジト目のフレイ。滑舌が良くなったその声はひどく冷たい。


「ルシールは小さい子が好みだったっちゃか?」


 自分の胸に手を当てしょんぼりするアルテ。


「違う!違うんです。僕はただ…心配させた誤解を解いていたというか…」


「抱き着く必要はないと思うけど…」


 ご機嫌ナナメのシャルさんは言葉に少しトゲがある。


「抱き着く相手は選ぶべき。」


「そうちゃよルシール。もっと周りを見るっちゃ。」


 それに続くフレイにアルテ。綺麗どころとなった3人を前にたじたじのルシールである。誤解を解きたくてリリーラを引き離そうとするも、ガッチリホールドされ離れてくれない。


「お願いだから、リリーラさんも離れて…」


「ぷっはははは…みんな、もうそれくらいにしてあげたら。」


 ルシールが慌てふためく姿を眺めていたセリーナが笑いながらルシールの側までやって来た。


「……族長?」


 ――何故に?


 ルシールが不思議に思っていると、察したセリーナが口を開いた。


「私はシャルと共に大巫女イーリアス様の所に行った帰りなんだ。」


「イーリアス様ですか。」


 ――なるほど。


「そう。それにルシールとは今日を逃せば、しばらく会えなくなると思ってね、顔が見たくなったんだよ。」


「はあ。」


 ――僕の顔をわざわざ…何で…ぇ!?


 いつの間にか、離れていたリリーラさんの後を、ごく自然に近づいて来た族長の腕が僕の左腕に絡んできた。

 鼻に甘い香りがふわり漂よい、僕の左腕に柔らかい何かが当たった。


 ――こ、これって…


「ちょっと、セリーナ!あなた何してるのよ!」


「シャルちょっとくらいいいじゃない。

 それにいいの?ラッシュちゃん、姿が変わってるわよ。

 先に何があったか食事でもしながら聞いた方がいいんじゃない?」


「はぁ、セリーナあなたは相変わらずね。」


 シャルさんは呆れた様に深く嘆息しすると、僕に向き直り頭の天辺から足の爪先まで眺めた。


「…ルシールは汚れている様だから着替えてからダイニングルームにきなさい。リリーラお願いね。」


「はい。」


 リリーラはピシッと背筋を伸ばした。


「リリーラ……変な事はしないようにね。」


「はいっ!」


 リリーラは騎士さながらの敬礼をした。


 そんなリリーラに苦笑いで返したシャルさんはフレイ、アルテ、族長に向き直った。


「皆は先にダイニングルームで待っていましょう。ラッシュも来るのよ。」


 >分かった<


 ラッシュは嬉しそうにシャルさんの方へ飛んで行った。


「さあ、ルシールさま〜。お着替えです。」


「あ、ああ。うん。」


 リリーラに連れられ部屋に戻る途中、セーバスに会った。


 セーバスは僕の顔を見るなり、何故か可哀想な人を見る目を向けてきた。


 セーバスは無理なさらないで下さい。と言うと軽く頭を下げそそくさと持ち場へと戻っていった。


「セーバス…」


 着替えの終わったルシールは既に疲労困憊。ヨレヨレのヨロヨロ。げっそりとした姿でダイニングルームへと入った。


「お待たせしま……」


「は〜い。ルシール」


 ここに来てルシールは更に固まる。もうルシールの精神ゲージは0である。


「じょ、女王へぃ…」


「ルシール…今の私はリードです。今日はシャルの姉として来たのよ。」


 質素なドレスを着た女王陛下のリードロッテがダイニングテーブルの椅子に座りルシールに小さく手を振っていた。


「そ、そうですか…」


 リードさんも、人界に旅立つ妹と、食事を楽しみたかったらしく、シャルさん中心に会食は進んだ。


 ――良かった。


 ルシールは周りに気を使う余裕は既になかった。そんなルシールは目の前の料理に集中した。


 ライルスの作ってくれた料理はどれも美味しくお腹いっぱいになるまで味わった。すり減った精神ゲージも僅かに回復した気がする。


「ふう、美味かった。」


「そうじゃあ、ルシール…」


 そして、話題は僕とラッシュの精霊の洞窟での出来事へと変わった。


「……スキルショップにそんな能力が備わったなんて…それでラッシュも元の姿に戻れたのね。」


 >そうなんだ。でも馬の姿でも不自由なく過ごせてたし、長すぎて、元の姿がイマイチ、ピンとこないんだ。<


 えへへと可愛く笑うラッシュに皆も頬を緩める。


「でも、その買い取りの能力もまた…」


「そうね。」


 緩めていた顔を引き締めたリードさんとシャルさんは何やら深刻な表情を浮かべ始めた。


 ――買い取り能力…便利で喜んでもらえると思ったんだけどな…


 少し残念に思い気落ちしているとー。


「あ〜その買い取り能力でイーリアス様のお喋りも買い取ってくれないかね。」


 ――…族長…何て事を…


 セリーナが大巫女様への本音とも言える不満を漏らすと、深刻な表情を浮かべていたシャルさんとリードさんまでも頷き同意していた。


 ――…それ程に…。


 ルシールはイーリアス様と会うのが怖くなった。


「でも、ラッシュ。

 よく精霊の洞窟に何て連れて行こうと思ったわね?」


「ルシール、訓練場で待ってたのよ。」


「うん。ルシールと一緒に訓練するつもりだったっちゃよ。」


 フレイとアルテは、練習の成果をルシールに見て欲しかったと頬を膨らませてみせた。


「ごめん。」


 待ってたと聞くと、何も言い返せない。申し訳無いので素直に謝る。


 ――今朝は心に余裕が無かったんだよな…


「はぁ、あの洞窟は難易度が高いから下手したら練習にもならず無駄に1日を過ごすんだから。

 泣いて帰ってきてもおかしくなかったわよ。」


 無事訓練出来たようだし、良かったわとシャルさんは僕とラッシュに視線を向けてきた。


 ――泣いて帰る…か……あの洞窟ならあり得るかも。何てったって裸だもんな。気絶して起きたら裸だよ。1人で良かったと思うよ。


 >そうなんだ、ルシ坊に期待して連れて行ったんだ。

 でもさルシ坊。何度も崖道に落とされるもんだから、あたいも焦ったぜ。

 あ!明日から人界だろ?その辺は抜かりなく気を配ってやったんだぞ。

 ちゃんと風邪ひかない様に、あたいがパンツを履かせてやってたんだ。<


「「「「「え!」」」」」


 ――いぃぃ!!


 皆の視線が一斉に僕に集まった。えっへんとラッシュは無い胸を張るが、一方のルシールは背中から嫌な汗が一気に噴き出す。


 ルシールは嫌な予感がしたので必死に話題を考え、そして口に出す。


「いやぁ、大変だったけど、レベルも一気に3つも上がってたんだよね。一気に3つも上がるなんて凄いよね。」


「あ!ちなみに、これさっき気づいたんだよ。

 身体が少し軽いなって思って不思議に感じたから気づけたんだよね。

 こんな事初めてだったんだ。凄いよね。」


「そうそう、しかも、スキルも何故か沢山上がってて、せ、戦闘能力も…精霊の指輪も…手に……」


 ルシールの精神ゲージがついに0を示した。


「言いたい事はそれだけかしら…」

「ルシール。目を離すと危険。」

「ルシール小さい子がいいっちゃか?」

「ルシール、悪い事は言わないから、私にしときな。」

「シャル…」


「…は…ははは……」


 ルシールは今日ほど早く1日が終わって欲しいと望んだ事は無かった。


「セリーナは黙りなさい…」



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【名前:ルシール:LV20】 ギルドランクE

 戦闘能力:560

 種族:人間?

 年齢:17歳

 性別: 男

 職業:冒険者

 称号:精霊界の聖樹騎士

 スキル:

 〈スマイル〉〈料理〉〈洗濯〉〈文字認識〉 

 〈アイテムバック〉〈貫通〉〈馬術〉

 〈カウンター〉〈早寝〉〈早起〉

 〈早食〉 〈早技〉〈早足〉〈早熟〉

 〈治療:4〉〈回避UP:5〉 〈剣術:5〉

 〈見切り:6〉〈捌き:6〉 〈毒耐性:2〉

 〈覗き見:3〉〈危険察知:4〉〈空間把握:6〉

 〈精神耐性:3〉〈魔力装備:1〉

 固有スキル:

 〈浄化〉〈魔眼:6〉〈飛翔〉

 魔 法:

 〈生活魔法〉〈初級魔法:1〉

 *レジェンドスキル:

 《スキルショップ》

 《スキル制限解除》

 《加護・スキル神》

 借金総額:セーバス管理 約7100万カラ

 レア装備:竜のブレスレット

 :風魔剣・風のシルフィールド

 :精霊の悪戯指輪

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

これでやっと人界に行けます。

話が進まなくてすみませんでした。

m(__)m

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