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10/14

屋代→祠に変更しますm(_ _)m

   ウリボアを狩りること三日、僕は今日もウリボアを狩っている。


 取得したスキルにも慣れてきて、生活魔法も一通り覚えた。


 今日も受けている依頼の報酬は500カラもあった。

 三日で1500カラになったので1000カラをシェルさんに返した。


 借りた金額が大きいだけにぜんぜん減った気がしないのが虚しくもあるけど、誠意は見せないとね。


「ルシールも光魔法(アカトール)をようやく覚えたようね。臭い匂いがとれてるわね」


 光魔法(アカトール)は身体の汚れを落としてくれる魔法だった。

 衣類には使えないけど馬小屋に泊まる僕には重宝する魔法だった。


「僕ってそんなに臭かったですか?」


 僕は安さだけが売りの馬小屋に寝泊まりしているけど、これでも二日に一回はちゃんと身体を拭いていた。


 まあ、前に臭いと言われてそれから体臭には気を付けていたんだ。


 けど、いつもいい香りのするシャルさんに臭いと言われると……


 ――ちょっとショックかも……


 シャルさんの反応が気になりちらりと横目に見てみると、シャルさんはまだ考えている。


 その考えている仕草は、いつもは綺麗お姉さんって感じなんだけど、たまに可愛らしく感じる時もあるんだよね。


 ――不思議だな人だな、じゃなくて……エルフだった。


「うーんと、そうね……あ、ウリボアと同じ匂いかな」


 シャルさんはやっと思い出したと言わんばかりにぱっといい笑顔を見せてそんなことを言った。


 ――ぐはっ!!


 そんな時は決まって、キツい言葉が返ってくることが多い。


 これは早々に精神耐性のスキルが必要だと僕は思んだ。買えないけど……


「……つまり僕は臭かったってことですよね……」


 聞きたくないけど気になるから仕方ない。


「あーでも、ほら、今日は大丈夫よ。良かったわね」


 ――良かったの?


 シャルさんがにこにこ笑顔を見せているので、よかったんだろと思うことした。


 嫌だったパーティー組んでくれないはずだもんね。


 一人で納得し頷いていると、シェルさんがふと耳に手をあてていた。


 ――あれ、シャルさん何かあったのかな?


「ねえルシール。私の袋を出してくれる?」


「は、はい。分かりました取出」


 スーッと僕の目の前にシャルさんの袋が現れた。


 急にそんなことを言われて反射的に取出してみたもののやっぱり気になる。


「シャルさ、ん?」


 シャルさんにどう尋ねようかと考えながら袋に手を伸ばしていると、袋にぶら下がっていた葉っぱの人形が急にとことこ歩き出した。


「に、に、人形が勝手に、歩いてる!?」


 どうやら、ぶら下がっていた紐みたいに見えていたのが手だったようだ。


 とことこと歩いた人形はシェルさんの近くまで歩いて行くと、シャルさんの右手にヒョイっと飛び乗った。


 それからシャルさんの肩まで駆け上がり、そしてシャルさんの耳元で何やらゴニョゴニョ呟いている。


 僕にはぜんぜん聞き取れなかったけど、その葉っぱの人形は話終るとパタリとシャルさんの肩にそのまま倒れた。


 シャルさんも何事も無かったようにその葉っぱの人形を優しく手に取ると、袋の元の位置にもどした。


 ――何だったんだ今のは?


 じーっとその様子を見ていた僕にシャルさんが気づいたらしく――


「ああ、さっきのは言霊精霊なの」


「言霊精霊……ですか」


「そうよ、エルフ族はみんな言霊精霊を使って情報のやり取りしているの。

 寄代人形はみんなバラバラで決まってないけど、私はこの葉っぱのリーフルくんを使ってるのよ。可愛いでしょ」


 葉っぱのリーフルくんを僕に見せシャルさんが微笑んでいる。


 リーフルくんは、長く細い手に、短い足がある普通の葉っぱ。クリクリした丸い目玉がついている。


 ――あっ、可愛いかもしれない。


「はい、可愛いですね。ところで何かあったんですか?」


 ――勢いで聞いてしまった。大丈夫だろうか?


 少し不安になりながらも、黙ってシャルさんの言葉を待っていると――


「んー、ちょっと南の森に用事ができたの」


 シャルさんはしばらく考えてから、僕にそう言った。


 ――冒険者ランクAだもんね。それに南の森だと僕には無理……


「そうですか、大変ですね。気を付けて行って来てください」


「なに言っているのルシールも行くのよ」


 さも当然のようにシャルさんが僕に向かって言う。少し呆れたような顔をしているのは何で?


「シャルさん。あのー南の森はレベル10の魔物が出ます。(アレスたちがそう言ってたし)

 とても僕には無理ですよ。レベル4の僕は足手まといなんです。下手したら死んじゃいます」


「それは大丈夫よ。私、付与魔法も使えるから、ね」


 シャルさんが可愛くウインクしてみせる。本当に可愛いから僕は何も言えなくなった。


 ――……


「はい決まりね。じゃあ早速……」


「あー、待って、待ってください。付与魔法って何ですか。それだけでも教えてください。じゃないと不安で……」


「そうねぇ。付与魔法は簡単に言うと、使えば一時的に身体能力を上げる魔法、かな……

(でも、その後酷い筋肉痛に襲われるけどね)」


「えっ、シャルさん後の方がよく聞こえませんけど……戦闘能力が一時的に増えるってことですか?」


「そうそう、そんな感じよ。だから安心していいわ。低レベルのレベル6の差なんて大して気にならないわよ……多分」


 ――低レベルって……


「むぅ。ちょっと最後の方がよく聞き取れなかったんですけど、大丈夫ってことですね?」


 僕は少し不機嫌になったけど、シャルさんは大して気にしてないようで、ぶらぶらと片手を振って――


「大丈夫よ〜」


 そう言った。


 ――はぁ……


 シャルさんはAランクだし、無理もないよね。

 Aランクのシャルさんにとってはレベル10の魔物なんて、なんとも思ってないのかもしれない。


 僕は気にしても意味がなさそうだと判断して、気持ちを切り替えることにした。


「でも、そんな便利な魔法があるなんて、魔法って奥が深いんですね」


「うーんそう、かもね」


 ――ほんと、僕の知らないことばかりだ。


 結局、僕はシャルさんと南の森に行くことになったけど、まさかそのまま南の森に向かうとは思わなかった。


「あれ、もう着きました?」


「そうよ」


 それも意外に近くてびっくり。もっと南の森は遠いと思っていたけど、それは僕の先入観ってやつで、お昼前には森に着いてしまった。



 ――南の森――


「そうだわルシールにも、人形を貸してあげる。森ではぐれるといけないから、ルシールから返事はできないけど私からの言霊は届くはずよ」


 シャルさんはそう言うと、がさがさと自分の袋の中を探しだした。


 シャルさんの袋は不思議だ。小さいのにたくさん物が入ってる気がするんだ。


 ――でも気のせいなのか?


「あったわ。うん、これがいいわね。はいルシール」


 そう言って笑顔で取り出したシャルさんの手には――


 ――松かさ? これも人形なの。あっ、目がある。


 本物の松かさかと思ったけど、どうやら本当に人形みたいだ。

 その人形の大きさは親指くらいのサイズで、目付きが凄く悪く小さな手と足がちゃんとついている。


「松かさのボックリくんよ。可愛いわよ」


 シャルさんはその人形の頭? を撫でて僕の方へ差し出してきた。


 ――これは、正直言って可愛いとは言い難いけど……んっ? 今睨まれた……ような。


「あ、ありがとうございます」


 僕はシャルさんにお礼を言ってからボックリくんを受け取とると、シャルさんを真似て僕の袋にボックリくんを付けようとした――


 ――あれ、付かない。シャルさんと同じようにしているのに、なんで?


 何度も試してみるけど、つかない。袋の紐に回した細い手がするりと力なくすり抜けるのだ。


「あれ、おかしいな」


 僕が不思議に思い首を傾げていると――


「ふふ、あははは、ボックリくんがね。臭い匂いが移るからその袋は嫌らしいわよ」


 ボックリくんの意思を受けたらしい、シャルさんがおかしそうに笑っている。


「……匂いが嫌って……ははは……シャルさん僕はどうすればいいの?」


「えーと……」


 シャルさんが僕の手にあるボックリくんの方に視線を向けている。


「そう。分かったわ。ボックリくんが首にぶら下がってやるって言ってるわ」


「えっ。首って僕の首? 手が短いのに大丈夫?」


 そう言うが早いか、ボックリくんの手が急に伸びてきて僕の首に巻きつくと、しゅるしゅると元の長さに戻ったボックリくんは、ペンダントみたいになっていた。


 ――おっ、なかなかいいかも。


「ふふ。なかなかいいじゃない。これであとは、付与魔法ね」


 シェルさんが僕の知らない言葉で呟き始めた。それが付与魔法の詠唱なんだろう僕にはさっぱり。


付与魔法(フィジカルブースト)


「うわぁ」


 シャルさんの手元が光ったかと思った時には、僕の身体は薄い光で包まれていた。


 それはすぐに消えて無くなっていたけど、僕は身体中から感じたことのない、力を補ってくれているような、みなぎってくるような不思議な感じがした。


「おおぉ!! シャルさん。力がどんどんみなぎってきます。僕の身体じゃないみたいです」


「そう。ふふ、私この魔法は得意なのよ。しばらくはこれで大丈夫と思うから安心していいわ」


「はい。ありがとうごさいます。シャルさん!!」


「うん。じゃあ、行きましょう」


 しばらくシャルさんの横に並んで森の中を進んでいると出たよ。出ました。レベル10の魔物が。

 ビッグマウスという大きなネズミのような魔物が三匹現れた。


「シャルさん……」


「ルシール落ち着くの。私が魔法で動きを止めるからその後はお願いね」


 シャルさんは僕の返事を聞くことなくビッグマウスに向かって魔法を唱えた。


闇魔法(バインド)!!」


 シャルさんの魔法に詠唱なんてなかった。


 すぐにビッグマウスの足に黒い闇の鎖がまとわりついていく。


 ヂュウッヂュウッ!!


 ビッグマウスは鳴き叫びつつ激しく動き、纏わりついた鎖を引き剥がそうとしているようだけど、ますます絡まり、ようやくビックマウスはその動きを止めた。


「ルシール!」


「は、はい!」


 ――これなら、僕でもやれる。


「はぁぁぁぁ!!」


 僕はビッグマウスに向かって駆け出すと――


 ――身体が軽い!! これが付与魔法!!


 その身をもって付与魔法の凄さを噛締めつつショートソードで思いっきり切り付けた。


「このお!!」


 ザシュ!! 動けない一匹目のビックマウス。一振りで両断した。


 ビッグマウスは断末魔の叫びあげ煙のように霧散していく。そして、その後に小さな魔石とマウスの牙を残した。


「次!!」


 続けて、やっぱり動けないビッグマウスを同じように切り下ろし、そのまま上体を起こす返しの剣で側にいるもう一匹のビックマウスを切り上げた。


 ザシュ! ザシュ!! 


 その二匹のビックマウスは魔石は落とさなかったけど、マウスの牙を二つ残した。


【ルシールはレベルが1上がった】


「ふぅ……シャルさん付与魔法って凄いですね。こんな僕でもレベル10のビッグマウスが一撃で倒せるなんて、しかも僕、レベルまで上がりました」


 未だ信じられない僕は、両手の平を広げ眺めてしまう。


「ふふふ、よかったわね」


 更に歩くこと30分、ビッグマウスの他にビッグボアにビッグスライムがまで現れた。


 ビッグスライムには僕の攻撃が効かなかったけどシャルさんの放った火の初級魔法で一撃だった。


「ここよ着いたわ」


「ここ?」


 思ったよりあっさりと目的地に辿り着いてしまった。


 ボックリくんの人形まで貸してもらって必要以上に警戒していた僕は、すこし拍子抜けである。


 ――まあ、これくらい何も起こらない方がいいんだけど。


「えーと……あ!?」


 目的地には小さく古ぼけた祠があった。


 それは木々に隠れ、気にしなければ見落としてしまいそうな祠だった。


「あー、やっぱり穢れが溢れているわ」


 ――穢れ?


「そうなんですか、僕には何も見えませんけど」


「これは危なかったわね。ちょっと待ってて浄化するわ」


「……はい」


 ――浄化……何だろ?


 シャルさんは、それから黙って祠に向かって両手を広げた。


 シャルさんの両手から淡い光が放たれ祠全体を包み込んでいく。


 ――うわぁぁ、きれいだ。


 その光は陽の光とも違い神秘的な光だった。


 見ているだけなのに心が癒されていくそんな気分になった。


 ――ああ、このままいつまでも見ていたい。


 そんな神秘的な光はシャルさん自身までも包み込みその光が優しくも激しさを増していく


 ――凄い……


 シャルさんが物語の精霊みたいに輝いて見える。


 ――綺麗だ……


 時が経つのも忘れ、僕はシャルさんに見とれていた。けど――


 ――あれ? 


 シャルさんが不意に僕の方に向き直った。


 ――終わった、のかな?


 何だか中途半端な気がしたけど、僕はシャルさんが言った浄化ってやつが終わったのだろうと思い、シャルに声を掛けようとした。


 でもそんなシャルさんの様子がおかしい。


 ――シャルさんが何か言ってる? えっと……なんだ? ご・め・ん・ね……ごめんねって言ったのかな?


 そしてシャルさんは僕に向かって両手を合わせている。


 ――え? なんで、どういうこと……!?


 僕は意味が分からなく首を傾げたけど、その答えは思いの外すぐに分かった。


 ゴゴゴゴッ……


 祠からどす黒い煙のようなもの(穢気というらしい)が溢れだしどんどん一か所に集まっていく。


 ドーン!!


 凄い物音と同時に黒い煙のようなものは飛散していたが、その後にはビッグスライム十匹合わせたくらい、大きなビッグモアスライムが出現していた。


「しゃ、シャルさん。僕の気のせいですよね。なんか、とんでもなく大きなスライムがいるような気がするんですけど」


「ルシールごめーん。そう言えば私、浄化魔法苦手だったのよね」


 シャルさんが笑いながら片手をひらひらさせていた。


 そんなビッグモアスライムはボヨヨーン、ユラユラ、と揺らめいているゼリー体は薄い灰色をしているけど透けていた。


 そんな大きなスライムが少し形を変え、萎んで膨張したかと思ったら透明な液体が僕の方へ飛んできた。


 ピシャーッ!!


「うわわわ!? なんか液体が飛んできました」


 その液体が僕の近くの地面に落ちてきて飛び跳ねそうだったので避けてみる。


「わ、わ!!」


 その液体は地面に落ちると案の定飛び跳ねジュッジュュー!! と嫌な音と白い煙を上げた。


 ――ぇっ、ええ!!


「……怖ぁぁぁ。シャルさん! 地面が、地面が溶けていますってば」


「ああ、それはスライムの溶解液よ、気を付けてね」


「シャルさぁぁぁん。それもっと早く言って下さい、回避しなかったら当たってますって」


「大丈夫よ。って、あらそれは私だけだったわ」


「シャルさーん!」


「はい、はい。ちょっと待ってね」


 シャルさんが攻撃魔法の、火魔法(ファイア)火魔法(ファイアランス)を放っているけど、全く効いていない。


 僕もショートソードを突き刺してみるけど分厚いゼリー体に阻まれてスライムの中心にある核まで届かなかった。


「参ったわね。お手上げだわ、私の魔法では分厚いゼリー体が邪魔して核まで届かない。

 私が時間稼ぎしているから、ルシールは何かいいスキルがないか見てみて」


「ええ、今ですか?」


「そうよ、早くしなさい」


 別にシャルさんに焦っている様子は見られないけど、シャルさんは僕のスキルを当てにしているってことだよね。


 ――よし。


「ちょっと探してみます!!」


「早くしてね。そのかわり、今回はスキルの購入金額の半額は私がみてあげるからね」


 ――やっぱり僕のスキルを当てに……よーし。


「ありがとうございます!!」


 シャルさんに頼られてようで嬉しくなった僕は、すぐにスキルショップを使用した。


 その間シャルさんは水魔法(アイスニードル)風魔法(ウインドカッター)土魔法(ロックニードル)を放っていたけど、分厚いゼリー体に阻まれ、途中で魔法が飛散しているようだ。


 ――えっーと、何かないかな……


 ――早く見つけないと……む、これは……


 ――ダメっぽい。


「……ん?」


 ――おお、こ、これなら!


 ――――――――――――――――――――


【名前:ルシールLv5】ギルドランクG

 

 戦闘能力:65→70

 種族:人間

 年齢:14歳

 性別: 男

 職業:冒険者

 スキル:〈スマイル〉〈料理〉〈洗濯〉

 〈剣術レベル2〉〈治療レベル2〉

 〈回避UPレベル2〉〈文字認識〉

 〈アイテムバック〉

 魔 法:〈生活魔法〉


 *レジェンドスキル:《スキルショップ》

 所持金 :713カラ 

 借金残高:3,339,850カラ


 ――――――――――――――――――――


 ★スキル・魔法レベル補正(目安)★

 Lv1=威力1.2倍・(初心者レベル)

 Lv2=威力1.5倍・(騎士レベル) 

 Lv3=威力2倍・(騎士団長レベル)

 Lv4=威力2.5倍・(将軍レベル) 

 Lv5=威力3倍・(達人レベル)



 ★簡易魔法補足★

 火魔法、水魔法、風魔法、土魔法、光魔法、闇魔法、空間魔法、回復魔法、生活魔法など。

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