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ブックマークありがとうございます。


皆様のお陰でブックマーク200件になりました。嬉しです。

 「ルシールさま~。こっち~。こっちですよぉ~。」


 小さなメイドエルフが城門前でぴょんぴょん跳ねたり、ブンブンと大きく両手を振ったりしている。

 

 「あ、はい。リリーラさん今いきます。」



 翌日ルシールは、女王陛下に賜った屋敷へ引っ越す事にした。

 何でも屋敷を賜ったのに何時までも客室に居座るのは失礼にあたるらしい事をシャルさんに教えて貰った。


 それで早速、引っ越す事にしたはいいが、目覚めてから日も浅く、フィーリア城から出たことのないルシール。

 王都の地理なんてさっぱりだった。


 さてどうしたものかと思っていた所に、ルシールが寝てる間ずっとお世話をしてくれていた?らしい小さなメイドエルフのリリーラさんが、案内役として買って出てくれたのだ。


 身長がルシールの胸辺りまでしかないちっちゃくて可愛いエルフ‥明るく世話焼きさんなのだけれど年齢については教えてくれない。

 

 ーーそう言えば、シャルさんも教えてくれないんだよね‥。


 そんなシャルさんを始め、フレイ、アルテは、何か用があるらしく後から合流することになっている。


 「おお!!‥凄い!!‥大きな木の中にフィーリア城があったんですね。」

 

 城門からフィーリア城を見上げたルシールは、吃驚の声を上げた。巨体な木が城を覆い尽くし天高く青々と繁っている。


 「あ~。そう見えますよね‥ルシールさま、でもそれ違うんですよ。逆なんですよね。」


 「んんっ‥どういう事です‥か?」


 えへへと笑みを浮かべたリリーラさんは待ってましたとばかりに口元をにまにまさせていた。


 「知りたいですか?知りたいですよね。えへへ良いですよ。このリリーラさんが教えてあげますよ~。」


 リリーラはエッヘンと得意気にペッタンコの胸を張った。


 「これはですね~ルシールさまの聖樹騎士の称号の由来も関係してるのですよ~。」


 ルルラはそういうと嬉々として語りだしたー


 遥か昔に鬼によってこの精霊界が攻められた時代があったそうだ。

 エルフ達は鬼達に抗うも強靭な鬼の猛攻に押され、状況は次第に悪くなり、ついに鬼達にフィーリア城を取り囲まれた。


 籠城し、精霊王を召喚するしか手の無いエルフ族はフィーリア城に障壁結界を展開し時間を稼いでいたそうだ。


 だが、障壁に阻まれ憤怒した鬼の攻撃は激しさを増し、障壁結界は簡単に破られてしまったそうだ。


 いよいよ後のなくなったエルフ族は、その当時、エルフ族に代々伝わっていた習わしを信じる事にした。

 それは魔力の高い12人の王女姫が、フィーリア城で祀られていた小さな聖樹に祈り魔力を捧げる事。


 信じるに至った経緯も、後がなかった事もあるが、代々エルフ族は必ず12人の王女姫が生まれていた事もその一因となったのだと。


 小さな聖樹はその王女姫様達の祈りに応えてくれ、フィーリア城を護るようにみるみる大きく成長し鬼達を弾き出し、その猛攻を吸収したそうなのです。


 だが、憤怒した鬼の猛攻最中での事、王女姫様達を護る為に、最も強かった12人の騎士が犠牲になったそうです。

 

 そして、鬼は攻撃が通用しなくなった途端に、撤退していったそうだ。


 これがどうして撤退していったのかは、また、違う物語としてあるそうなのだが、ルシールには難しいからとリリーラ教えてくれなかった。


 ーーここで、リードさんの言っていた話に繋がるのかな?


 「‥ですから、今のフィーリア城の姿は決して聖樹の中をくりぬいてフィーリア城を造った訳ではないのです。」


 「凄いんだね。」 


 ルシールは聖樹を眺めてそう呟いた。


 「あっ、そうそうそれで、聖樹様を讃えて、代々魔力の高い王女姫様達はある使命を受ける事になるのですが、その使命を担った王女様を聖樹姫と呼ぶ様になりました。」

 

 「ん?それって‥」


 「はい、それでその聖樹姫に認められた騎士を聖樹騎士と呼ぶようになったのですよ。」

 

 「シャルさんと僕の事?」


 「はい、シャルロッテさまもルシールさまもその内の一人ですね。

 そうそう、ちなみにその腕に嵌まった風魔剣ですけど‥」


 「はい。」


 「当時、忠義を尽くしてくれた凄腕騎士達の死を嘆いた王女姫様達は、ずっと側で護って欲しいとその魔石を使って造られた魔剣なのですよ。」


 「‥えっ‥。」


 「さあさあ、分かったら行きますよ。ルシールさま~。」



ーーーーーー

ーーーーー


 城門を出ると、フィーリア城は小高い丘の上に建っているらしく、フィーリアの街並みが一望できた。


 「うわぁぁ‥凄い!!」


 僕の目に入ったのは、住んでいたマクール王国・王都クイールよりも遥かに栄えた街並みだった。


 「エヘヘ、凄いですか?」


 リリーラさんが嬉しそうに僕の顔を見上げた。


 「うん。凄いよ。僕は正直のどかな村が広がっていると思っていたんだ。」


 「あ~。まあ~人界のエルフ村を見ればそう思いますよね。」


 「う、うん。ごめん。」


 「いや、いいんです。分かってますから。

 でもあの村の人達、僻地手当てが凄いんですよ。

 使命を無事に全うして帰ってくれば、その後のエルフ生は悠々自適に過ごせます。」


 リリーラは両手で拳をつくってふんすと気合いを入れた。


 「そ、そうなんだ。」


 「はい、そうです。私も行こうか迷ってたくらいでしたから‥でも今は無理ですけどね。」


 「ああ、そうですね。エルフの皆さん人界から撤収するんですもんね。」


 「‥はい。」

 

 リリーラはしょんぼりと肩を落とした。


 ーー表情な豊かな人‥じゃない、エルフだね。


 ルシールは思わず口元を緩めた。


 「ルシールさま~。な、何で笑うんですか。」


 「ごめん、ごめん‥」


 その後もリリーラと雑談を交わしたルシールは、高級住宅街を歩いていた。


 「ねぇ。リリーラさん。行くとこ間違ってません?」


 「む~ルシールさま~。失礼ですね。わたしもちゃんとご案内できますよ~。」


 リリーラがルシールに向き直り、両手を腰にあて頬をプクッ~と膨らませた。


 「いや、そういう意味じゃなくて。周りが高そうな家しかないんだよ?おかしくない?」


 「そんな事ですか。大丈夫です。間違ってませんよ、このもうちょい先です。

 それにルシールさまの屋敷は聖樹騎士様の中でも一番小さな屋敷ですから安心して下さいね。」


 「不安なんだけど‥。」


 「大丈夫です。このリリーラさんにお任せですよ~。」


 その後もリリーラの後ろをついて歩くルシールなのだが、辺りは段々と敷地が広い家へと変わり、やがて大きな屋敷へと変わっていった。


 「ねぇ、ねぇ。リリーラさんおかしいですって。」


 「はいはい。もうルシールさまは黙ってついてくるです。」


 更にちょこちょこ歩くリリーラの後をついて歩いていると、リリーラが急に立ち止まった。


 「はい、ここからが聖樹姫様と聖樹騎士様の屋敷のある区域になります。」


 「へ、へぇ。」


 「それで、第12位様は一番手前‥‥‥‥はい、ここです着きましたよ~。」


 「えっ?」


 高そうな門の奥には城みたいな屋敷と、その隣にコンパクトな屋敷が見えた。

 

 「あの大きな屋敷の方はシャルロッテさまの屋敷で小さな方がルシールさまの屋敷なります。」


 「‥‥。」


 「あっ、聖樹姫さまの騎士なのですから同じ敷地にあるのは当然なのですよ。

 複数聖樹騎士さまを抱えてる聖樹姫さまは敷地内にもっと沢山屋敷があるのですよ。」

 

 「‥そんな姫さまもいるんだ‥。」


 「そうなんですよね。あっでも魔剣は一本しかないので競争率が激しいのですが、何でもそれが姫さまの狙いらしいですよ~。怖いですね~。怖い怖い。」

 

 「そ、そうなんだ。」


 ルシールはまだ状況を理解できない様で、リリーラに相槌を打つだけで精一杯だった。


 「さあ、ルシールさま入りますよ。」


 そう言ったリリーラは門の方へ近づくいて行く。


 「わたしはリリーラです。聖樹騎士のルシールさまをお連れしました。」


 すると、左右の門が光り閉じていた門が左右に開き始めた。


 「あっ、これはゴーレム型の門になります。

 この左右の2本が石柱型のゴーレムです。このタイプは石で門を閉じる事しか出来ません。

 有事の際は門を固く閉じてくれるのですが、固いだけですのであまり当てにしてはダメなのです。

 シャルロッテさまがあまり屋敷に拘るタイプじゃなかったのですよ。」


 「は、はあ。」


 もうルシールには何を、どうしたらいいのか分かっていない。


 「はい、開きましたので、入りましょう。ルシールさまちゃんとついて来てくださいね。」

 

 「う、うん。」


 門を入ってしばらく歩くと屋敷の前にシャルさん、フレイ、アルテの他数名が待ち構えていた。


 「やっと来たわ。ルシールこっちよ。」


 「シャルさん?それに‥」

 

 「ルシール遅い。」


 「ルシール待ってたっちゃよ。」


 「フレイ、アルテまで‥どうしてここに?用事があったんじゃあ‥」


 「そうよ。ほらルシール‥‥これがあなたの屋敷なのだけど‥」


 そう言って小さい方の屋敷に顔を向けるシャルさん。


 「ルシールだけじゃ維持管理出来ないと思って、私がその専属エルフを手配していたのよ。」


 シャルさんの後ろには、執事服を着た美青年とメイド服を着た美少女に、コックの姿をした美少年が前に出てきた。

 エルフ族は長寿の為、年齢が分かりにくい。


 「この屋敷の責維持管理任者を担当してもらうセーバスよ。」


 「ルシール様。宜しくお願い致します。」


 「はい。こちらこそ宜しくお願い致します。」


 セーバスと呼ばれた美青年が胸に右手をあてに軽く頭を下げた。ルシールもそれに釣られて頭を下げる。


 「ふふ、こちらが掃除洗濯から身の回りの事を担当してくれるメイド長のシエラ。」


 「シエラです。」


 シエラは軽くカーテシーをした。ルシールは思わずリリーラに目を向けたが、リリーラはルシールと目をあわさない様にそっぽを向いた。


 「あっ‥すみませんつい。シエラさん宜しくお願いします。」


 シエラがじーっとルシールを見ている事に気づき、慌ててシエラに頭を下げた。


 「はい、こちらがみんなの食事担当をしてくれるライルスよ。」


 「ライルスです。」


 「宜しくお願いします。」

 

 ライルスと呼ばれた美少年は被っていたコック帽を手に取り、胸に右手をあてると頭を軽く下げた。ルシールもそれに続いた。


 「そして、最後は、あなたを案内してくれたメイドのリリーラね。」


 「えっ?いいんですか!?」


 リリーラが嬉しそうにシャルロッテの前に飛び出た。


 「大丈夫よ。女王陛下には許可を貰ったわ。」


 「シャルさんどういう事ですか?」


 「リリーラはルシールが寝てる間も献身的に‥「あああ、ルシールさま。と言うことで宜しくです。」


 リリーラはあたふたしながらペコリと頭を下げた。


 「あっ、うん。宜しくね。」


 ルシールは首を傾げながらも頭を下げた。


 「ふふ、まあいいわ。じゃあ中に入りましょう。」


 それから今後についてシャルさんと話をした。

 どうやら聖樹騎士になった僕には毎月給金が貰えるらしい。


 けど、この屋敷の維持管理などもその給金から賄わないといけない。そんな事僕には無理だ。出来ない。

 

 まあ、それを見越してシャルさんがセーバスを雇ってくれた様だけど、そのセーバスが管理してくれる事になった。


 その中には僕の借金管理も含まれるているようで、今後はセーバスが給金の中から計画的に返済してくれる手筈となった。良かった。


 でも僕の借金は、今後の活動を考えるとまだまだ増えそうなんだよね。これは仕方ないと諦めるしかない。


 他にも数名ほどシャルさんの屋敷と兼用で勤めてくれるエルフもいるらしい事が分かった。

 

 ちなみにフレイとアルテは隣のシャルさんの屋敷に住んでいるそうだ。

 部屋が余ってるからこっちの屋敷に住んでも良いよって言ってはみたけど、3人で話し合った事だからとシャルさんに怒られた。

 

 目覚めてから戸惑う事ばかりのルシールだったが、こうして新たな生活が始るのだった。

 


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【名前:ルシール:LV17】 ギルドランクE

 戦闘能力:410

 種族:人間?

 年齢:17歳

 性別: 男

 職業:冒険者

 称号:精霊界の聖樹騎士

 スキル:

  〈スマイル〉〈料理〉〈洗濯〉〈文字認識〉 

  〈アイテムバック〉〈貫通〉〈馬術〉

  〈カウンター〉〈早寝〉〈早起〉

  〈早食〉 〈早技〉〈早足〉〈早熟〉

  〈治療:3〉〈回避UP:5〉 〈剣術:4〉

  〈見切り:5〉〈捌き:5〉 〈毒耐性:2〉

  〈覗き見:2〉〈危険察知:3〉〈空間把握:5〉

  〈精神耐性:2〉

 固有スキル:

  〈浄化〉〈魔眼:5〉〈飛翔〉

 魔 法:

  〈生活魔法〉〈初級魔法:1〉

 *レジェンドスキル:

  《スキルショップ》

  《スキル制限解除》

  《加護・スキル神》

 借金総額:  セーバス管理 約7100万カラ

     レア装備:竜のブレスレット

     :風魔剣・風のシルフィールド

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