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少し短めですm(__)m
「うーん。ここは?」
ルシールはフカフカのベットで目を覚ました。
ーーそうか、僕はあの時‥‥オーガみたいな奴に勝てなくて、でも、シャルさんの声が聞こえて‥はっ。
「うわっぷっ。」
ルシールは上体を起こしたが、クラっときて前のめりに倒れた。
ルシールの顔にパラリと自身の黒い髪が掛かる。
「あれ、髪が伸びてるよ?」
再びゆっくりと上体を起こしてベットフレームのヘッドボードに寄りかかった。
「ふぅ、しかし、身体が怠いな。何日も寝ていたような‥‥頭も重いし。うーん、しかしこの髪が邪魔だな‥」
ルシールは顔全体を覆えるほど、長くなっている髪を親指と人差し指で摘まみ眺めると、手櫛で後ろへと流した。
「ん‥‥!?あれ、ここの部屋‥」
ルシールは部屋を見渡し身体を硬直させた。
この部屋に備え付けれた家具類が明らかに高級感を漂わせていたのだ。
天井からぶら下がっている魔導珠から、光沢のあるテーブル、落ち着いた感じのソファーとチリ1つ見えない高級感のある真っ赤な絨毯、それにルシール自身が寝ているベット。
どれもこれもルシールが今だかつて目にしたこともない品ばかりだった。
「な、なんだよここは‥。」
ルシールは思わずベットから飛び出ようと思ったが出来なかったの。
何故ならルシールは全裸だったのだ。
「ええっ‥な、なんで裸‥。」
ーーふぅ、ふぅ、落ち着くんだ。よし。
ルシールは額の汗を手で拭った。そして緊張の為か、ルシールは非常に喉が渇いてる自分に気付いた。
ーー喉が渇いた。
テーブルの上に透明な容器に結露を付けた水っぽいのが見える。
冷たそうな感じがして美味しそうだ。その隣にはコップもある。
幸いテーブルは壁際にあり壁伝いに歩けば何とか飲めそうだと思った。
ーー少し貰っちゃおう。
ルシールはゆっくりと壁に手を当て立ち上がると壁に沿って歩いた。この際裸の自分は見ない事にした。
ーーあれ、視界が高い?フワフワして自分の身体じゃないみたいだ。
「よっとと‥とっ‥」
ルシールは水っぽいのをコップに注ぐとすぐに口にした。
「プハァァァ‥う、旨い。」
冷たくて、ルシールの身体の隅々まで染み渡る感じがした。
すぐにコップ1杯を飲み干したルシールはもう1杯と、水を注ごうとして、ふと、視線を上げた。
そこでルシールは一人の青年と目があった。
「あ、あなたは誰ですか?」
そこには黒髪を後ろにながし、少し整った顔立ちに見える長身痩躯の美青年がいた。
ーーまさか‥‥鏡じゃないよな‥?
その顔には見覚えがあるようにも見えるルシールなのだが、明らかに背の高さや、年齢が合わない。
ーーでもこれは‥。
「‥鏡だ‥?うそ‥だろ‥‥?」
ルシールの視線の先にあったのは鏡だった、そしてその映った青年は全裸。
思考の回ってないルシールでもすぐにその青年が誰だか分かった。
そう、その青年は間違いなくルシール自身だった。
「な、なんで‥‥なんで‥」
あまりの衝撃に事態をまだのみ込めないルシールは、己の姿を視界におさめたまま固まっていた。
ーー訳が‥分からない。
そこへ、ガチャリとドアが開く音が聞こえた。
「はいはーい。ルシールさん入りますよ~。体キレイキレイの時間で~す。って返事はないのですけどねぇ~‥‥‥‥‥‥‥じーーーーーー‥‥へっ!?」
「えっ!?」
「きゃぁぁぁぁぁ‥‥」
「うわぁぁぁぁぁ‥‥」
メイド服を着た背が低くて可愛らしいエルフ(エルフ族はみんな美形)が悲鳴と共に持っていた桶と手拭いをバシャリと落とした。
メイドエルフは両手で顔を覆っているが、人差し指と中指の隙間から翡翠色のくりくりのお目めが確りルシールから見えている。
「あわわわわ。」
身体に力が入らなくて若干もたついた感がするが、ルシールも大事なところを隠し必死にベットに潜り込み‥。
「わ、わ、わ。ごめん」
何故か謝っていた。
「うわわわわ、る、ル、ルシールさんが起きてますぅ~。」
「き、君は‥‥あれっ?」
ルシールは上半身だけを布団から出しそのエルフに尋ねようとしたが‥‥‥。
「居ない‥。」
ーーーーーー
ーーーーー
「ルシールゥゥ!!!!」
暫くしてバーン!!とドアを壊す勢いで真っ先に部屋へと駆け入ってきたのは族長さんだった。
「あれ、族長‥‥えええっ!!!!」
そのままルシールに向かってダイブし‥。
「ああ、ルシール‥‥ルシールが‥‥」
抱きついてきた。
「わぁわぁわぁ‥」
「良かったぁぁぁ‥。良かったわよぉぉ。」
族長の豊満な胸が当たっているのだが、目に涙を溜めたままの族長の横顔にルシールは何も言えなかった。
ルシールは族長が落ち着いてきたのを見計らって口を開いた。
「族長、大袈裟ですよ‥僕この通り元気ですから‥」
「ルシール、あなた3年よ。3年。」
「さんねん?」
「そう3年。あなたが意識を失って3年経つのよ。」
「ええっ!!!!」
吃驚したルシールだったが、納得する自分もいた。
まるで頭の中にあるパズルに最後のピースがキレイに嵌まったような感覚だった。
そして、ルシールはマジマジと己の両手を眺めた。
「確かに大きくなっている。」
「そうよ。みんな心配したんだから‥。」
「そっか、心配かけたんだ。‥‥‥悪いことしたな‥‥。」
ルシールにはオーガとの死闘は昨日のような感じがして不思議な感じがした。
「そうだ。シャルさんや、フレイ、アルテは元気ですか?」
すると、族長は顔を少し曇らせて首を振った。
「えっ、何かあったんですか!?」
「‥‥。」
族長は首を振るだけで何も言わない。ただ、首を振ってはルシールに抱きついてくる。ただそれだけだった。
ーーもしや、シャルさんや、フレイ、アルテの身になにか‥。
ルシールの脳裏に悪い予感が過る。
「族長!!何があったか教え‥‥「ルシール。せっかく私が抱きついてるのに他の女の事を話すから‥‥‥せっかくのムードが‥ああもう‥‥時間切れだわ‥」
「時間切れって‥?」
「ルシールゥゥゥ!!!!!!!!!!!」
「「ルシール!!!」」
バーン!!とドアを壊す勢いで部屋へと駆け入ってきたのはシャルさんだった。
その後ろにはフレイとアルテが息を切らして後に続いて入ってきた。
「ルシールほんとに戻って‥‥‥セリーナあなた、私のルシールに何抱きついてるのよ!!!!」
族長は、はいはいっと手をひらひらさせると僕から離れようとしたが、その前にシャルさんによって引き離され、シャルさん、フレイ、アルテが代わりに抱きついてきた。
ーーフレイの位置が一番不味い。
「ルシール心配したのよ‥‥ばか‥」
「ルシール、やっと起きた‥待たせ過ぎ‥。」
「ルシール寝過ぎっちゃぉぉ。うううっ‥」
「みんな‥心配かけてごめん。」
「3年っちゃよ、3年‥‥寝坊助っちゃよ‥ううぅ。」
「あはは、ほんとだね。寝坊しちゃったよ。」
「ルシール‥‥でもよかった。」
「‥‥ルシール‥。」
シャルさんが一番抱きついてなかなか離れてくれなかった。よっぽど心配をかけたのだろう。反省しないと。
しかし、シャルさんは変わりなく美人さんだったが、フレイは背が少し伸びていて、より女性らしい美少女になっていた。
アルテも背が伸びて顔も身体もまた少し痩せていたが、それでも可愛らしいままだった。そしてなにより痩せた筈なのに胸だけは大きくなっていた。
ーーこ、これは。裸になってる僕としてはこの状況は非常に不味い。早くどうにかしないと。
そして、僕が何故裸になっていたというと、シャルさんが教えてくれた。
僕は寝てる間も背がグングン伸びてすぐに着ていた服がダメになったらしく、成長の妨げになるからと、全裸にしていたそうだ。
ーー全裸ですか‥。
みんなで代わる代わる体調から何まで管理していたから大丈夫だと笑顔で教えてくれたが、それ以上詳くは僕も聞けなかった。
ーーでも、ほんと3人には迷惑をかけた。
「ルシール、体調が戻ったら女王様に挨拶に行くわよ。ここの客間も提供してくれてるしね。」
「女王様‥‥と言うことはここはお城ですか?」
「そうよ、精霊界エルフ族を統べるリードロッテ女王様のお城の中よ。リードロッテ様もルシールに話がありそうだしね。」
「ははは、僕なんかに‥女王様が‥」
「何言ってるの。ルシールのお陰でセリーナの村は全員無事に避難できてるのよ。ルシールは自分の事を軽く見すぎよ。」
「そっか‥そうでしたね。でも3年も経つのにまだ村に戻れてないんですね。さっき居ましたし族長。」
「ああそっか。ルシールは知らなかったわね。
ここ精霊界と、人界とでは時間の流れが違うわ。ここ精霊界の方が人界の10倍時の流れが早いの。」
「10倍?」
「そう。10倍よ。つまりここで今3年経っているけど、人界では、まだ3ヶ月位しか経ってないわ。」
「ええっ!!3ヶ月ですか‥。」
「そうよ。だからルシール私達もまだやることがあるの。詳しくは女王様から聞けると思うけど、だから早く体調を整えてね。」
「はい、わかりました。」
その後も離れようとしないと3人なのだが、誰か僕に服を下さい。
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【名前:ルシール:LV17】 ギルドランクE
戦闘能力:370⏫
種族:人間?
年齢:17歳⏫
性別: 男
職業:冒険者
スキル:
〈スマイル〉〈料理〉〈洗濯〉〈文字認識〉
〈アイテムバック〉〈貫通〉〈馬術〉
〈カウンター〉〈早寝〉〈早起〉
〈早食〉 〈早技〉〈早足〉〈早熟〉
〈治療:3〉〈回避UP:5〉 〈剣術:4〉
〈見切り:5〉〈捌き:5〉 〈毒耐性:2〉
〈覗き見:2〉〈危険察知:3〉〈空間把握:5〉
〈精神耐性:2〉
固有スキル:
〈浄化〉〈魔眼:5〉〈飛翔〉
魔 法:
〈生活魔法〉〈初級魔法:1〉
*レジェンドスキル:
《スキルショップ》
《スキル制限解除》
《加護・スキル神》
所持金 :
178,913カラ
借金残高:
シャルロッテ 63,949,850カラ
セリーナ 6,000,000カラ
フレイ 1,320,000カラ
スキルショップ借入残: 0カラ
担保提供:なし
レア装備:竜のブレスレット
:風のシルエア
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青年ルシール頑張ります。次回人族の秘密が分かります。




