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僕は再び馬車を走らせているのたが、僕の背中は冷や汗でびっしょりである。
「ひぇぇぇぇぇ‥‥!!」
ラッシュが山を爆走?駆け降りてすぐ森に入った。
なんて言う森なのか僕は分からないのだが、ボフッと何かを突き破る感覚がしてから、僕達は囲まれている。
もしかしたら、空間が歪んだのと、ボフッとなにやら突き破る感覚が、同時だったので、シャルさんが言っていた結界を突破した為なのかもしれない。
今は有事に備え、常に空間把握、魔眼を展開していた、これは間違いなくエルフ達だ。
そして、このエルフ達、魔力量がシャルさん程じゃないが、とんでもなく凄い。
とてもお近づきにはなりたくない。
だが、そんなエルフ達は攻撃するでもなく、撤退するでもなく一定の距離を保ちつつずっとついて来る。なぜ?
森の中に入って多少は減速してるがラッシュの猛スピードに軽々とついて来るのだ。
誰だエルフ族は体力がないと言っていた奴は‥‥と思っても今更だ。
『シャルさん、シャルさん‥‥囲まれてますってば‥‥』
何度もぼっくりくんを通してシャルさんに連絡するのだが‥。
『大丈夫だから‥人族に警戒するのは当然よ‥』
の一言。たまに殺気も混じってるんだよ。危険察知もチカチカ反応したりしなかったりする。
これって僕だけに向けられた殺気なのか‥。
ーーうう、怖すぎる‥
ラッシュが走り続け、空がうっすらと明るくなる頃に僕達は、村にたどり着いた。
男か女か判断がつかない程の美形な人達が村の前で待ってる。
ーー20人くらいいるか‥
僕達について来てきていたエルフ達とは違うエルフみたいだ。だってまだ、囲まれてるんだよ。
馬車小屋からシャルさん、フレイ、アルテが出てくると、僕は馬車小屋を収納した。ラッシュは勝手について来る。
シャルさんが姿を現した所で、実感警戒心が和らいだように感じるが、依然としてピリピリしている。
シャルさんが前に出るとエルフ族の長なのか、これも美形な人がシャルさんに近づいてきた。
「シャルロッテ聖樹姫、ここは危険です。どうしてこちらに‥」
ーーえっ!?姫?
僕は思わずシャルさんを見るがシャルさんはこちらを見ることなく長を方を見ている。
「分かってるわ。セリーナ時間がないから詳しい事は中で話しましょう。」
「はい、畏まりました。」
「‥‥セリーナその、言葉使いやめて、鳥肌が立つわ。」
「はぁ‥‥全く‥その言い草はないんじゃない。それより、その後の子達はなに?」
セリーナと呼ばれた族長は大きくため息を吐き出すと、まるで僕達の品定めでもしているかの様に、遠慮のない視線でジロジロ眺めて行く。
「それも、含めて話すから早く中へ案内しなさい。」
セリーナと呼ばれた族長はフレイとアルテの指を見て、僕を見て、シャルさんの指を見て、少し驚いていたが、やがてー。
「‥分かったわよ。」
と言い待機していた、エルフ達に向き直ると、持ち場に戻るように、と解散させた。
人族が向かって来ている事は掴んでいるらしく、村の中まで、ピリピリとした雰囲気が漂っていた。
僕に向けられる視線にも時折殺気が混ざっている。
ーーひぃぃ‥。
そんな視線を向けられているものの、フレイも、アルテも黙ってついていく、僕も黙って族長達について行く。
ーーここまで来たんだ。
エルフ族の反応はとても好意的とは言いがたいが、シャルさんの話を聞いた後では、何もせずにって言うのもどうかある。
村の一番奥には屋敷と言うより、少し大きな家があった。
ここが、村長の家だったようで、またまた、美形な人が二人入口のドアを開けて待機している。
ーーほんと、美形な人ばかり。足も長い‥。羨ましい。
男なのか女なのか僕には分からない。服装も似たようなのを着ている。僕がじろじろ見ているとー。
ーーおわっつ、睨まれた。ごめんない。
心の中で謝りつつ、僕達は、村の集会で使ってる感じがする会議室に通された。
座る位置なんて分からない僕とフレイとアルテは適当に座ると、。
ーーひぃぃ、また睨まれた。
ここはハズレ席だったようだ。でもシャルさんと族長は僕達を気にした様子もなく、さっさと席に着きー。
「時間がないから、早速本題から入るわよ‥‥」
シャルさんが、僕達に話した内容を語った。
「つまり、この村を放棄して、精霊界に撤退するという事ね‥‥」
「そう、今まで役目を担って来た貴女は不本意でしょうけど、今回は今までとは違うの。
精霊総議会で議決された事なのよ。」
「‥そう精霊総議会ね‥‥‥分かりました。どちらにせよ。このままでは役目を全うする事もなく奴等の道具となるだけだもの撤退するわ。
はぁ、しかし‥‥人族は愚かだ、利用されて要るとも知らず‥」
「そうね、でも、今の私達にはどうにも出来ないわ。」
「‥‥何も出来ない‥わね。」
「良かった。貴女が素直に言うことを聞いてくれて‥。」
ここでシャルさんの表情にも安堵の色が見えた。
「それで、どうすれば良いのかしら?撤退と言っても既に、人族の騎士団に包囲されいるわよ。
唯一、起動してる精霊大核門まで、とても逃げ切れないわ。」
一方の族長の表情は思わしくない。緊急要請を出しただけあって村の周囲の現状を理解している。
「そう、包囲されたのね‥‥やはり、この村の精霊核門を使うしかないわね。それが一番安全よね。」
「‥精霊核門って‥シャルロッテ‥あなた私をバカにしてるの!!!!‥‥それが使えるなら私だってとっくに使っているわよ。
人族と折衝することもなかったわ、一時、避難は族長の権限で出来るのだから‥使えない‥‥から‥くっ‥使えないで、何が族長よ‥ね‥。」
族長はテーブルを激しく叩いたのは初めだけで、話す言葉も段々の弱々しく、最後の方は聞き取れるか、聞き取れないか呟く様な声だった。
「だから、あなたに使える様になってもらうのよ。」
だけど、弱々しく気落している、そんな状態の族長を見ても、さらっとシャルさんはそう言った。この辺の感覚は知り合いでもない僕には分からない。
「‥‥無理よ、私がいくら巫女の血を引いてるからって、言ってもほんのちょっとよ。
聖霊門スキルを発現させる事なんて出来ないのよ。
私だけじゃない、他の族長達もそうよ。段々と血が薄まってるのだから。
唯一は精霊大核門を管理してる大巫女イーリアス様だけじゃないの、シャルロッテも分かってるでしょう。」
族長も何事もなく返している。これが、どうやら二人に取って普通のやり取りらしい。
「ううん、大丈夫。ルシールが居れば、そのスキル買えるから‥」
「買えるって‥‥ははは、シャルロッテ。‥‥‥バカも休み休み言え!!」
そんな仲の二人でも、触れて欲しくない所は族長にもある。部屋の温度が2度程下がったような気がした。それくらい族長さんの怒気が凄い。
僕は身を縮め黙って座っている事しか出来ない。
「はあ、相変わらず、セリーナは短気ね。私もこんな非常事態に、ウソなんてつかないわよ。」
シャルさんがもっと冷静になれと族長を諭している。
「では、ほんとに‥‥」
「ほんとよ、ルシール。お願い出来る。もちろんセリーナには後で契約の指輪を嵌めてもらうから‥」
「‥はい。分かりました。」
「ルシール、精霊門は幾らだったかしら?」
「僕が見た時には3億カラと、とんでもない金額でしたけど、族長さんならもう少し安いかもしれませんね。」
ーー僕のスキルショップは購入する人の適性価格なる。
族長の話では精霊門は巫女の血を受け継いでいる人に発現するスキルみたいだし、僕よりその血が少しでも入ってる族長は適性があり少し安いだろうと考える事が容易に出来た。
「じゃあ、先に確認してくれる?」
「はい‥‥‥族長さん、購入代行するには何処か触れて居ないと行けないので、手を借りて良いですか?」
「ああ、構わんが‥‥」
僕は族長から訝しい視線を浴びながらも、右手を取り、スキルショップを発動した。
【セリーナ様が同伴ですね。セリーナ様へ買い物代行致しますか?】
ーーはい。
族長用のスキル値段になりスキルの一覧が表示された。
「な、何だ!!これは‥‥」
族長がさっきから煩いが僕は構わず精霊門スキルを表示した。
ーーあった、これだな。
「ええっと、族長さんなら3千万カラですね。僕の時の10分の1です。やはり安くなりましたね。」
「じゃあ、資金は私が出すから、お願いしてもいいかしら‥もちろんルシールの分も‥」
「はい、と言いたい所なんですが、代行者の責任と言いますか、僕が責任を取って2割を支払ったと自覚しないと、購入出来ないみたいなんです。」
ーーこれも、加護のお陰で理解出来た。今までは何となくで買えてたみたいだな、結構判定は緩いのかな?むむ。分からん。
「えっ‥」
「はい、僕がシャルさんから借りたって自覚しないと、ダメ見たいですよ。」
「そ、それは‥あまりにも‥」
「あはは、シャルさんには借りてばかりだけど、返す意思はありますので‥‥‥良いですか?」
「‥‥ルシール。」
「待て、シャルロッテ。3千万カラくらい私だって持ってる。私が出す‥‥すまぬがスグルト取って来てくれ。」
族長が直ぐに僕とシャルさんの間に割って入って来た。
そして、有無を言わさず、族長の後に控えていたエルフの青年?少女?(族長もそうだが、みんな、見た目が若いから、よく分からない。)に指示を出していた。
ーーさすが族長指示が早い。
「じゃあ、私はルシールの分の6百万カラを‥「それも私が出すわ。自分の事だ。」」
族長は僕のスキルに触れ確信できたのか、はたまた、シャルさんに借りを作りたくないのか分からないが、先程とは違い族長には覇気が戻って来ていた。
ちょっとシャルさんに感じが似ているな、と思いつつ僕は自分の手に視線を落とす。
でも、僕の手は繋いだまま離してくれない。
ーー別に買えなくなる訳じゃないのにね‥
「それだと、ルシールの責任が‥」
「申し訳ないが、私から借りた事になるな‥‥」
「いいわよ、私からの方が都合がいいのよ。何時も側に要るんだし。」
「何を言ってるのシャルロッテ。お前は他の族長にも同じ事をするつもりなんだろ?その時に資金が底をついていたらどうする?エルフ一族の未来が掛かってるんだ。」
ーーああ、納得。そうだよ。みんな其々価格も違うし、資金は多いに越したことはない。
「そ、そうだけど‥」
そんな二人がやり取りしてる間に、族長の指示を受けていたスグルトが資金の入った布袋を手に持ってきた。
その袋はズシリとして重そうだ。
族長がその資金を受けとり、そのまま"これで‥"と僕へ渡された。
すると、スキルショップ内の精霊門が白い文字になった。
「準備が出来ました。では、族長さん買いますよ?いいですか?」
「ええ、お願い。」
【セリーナは精霊門を取得した。】
購入したと表示されてすぐ、僕の手に持っていた資金3千万カラが消えていた。
「どうですか族長さん?」
「え、ああ‥‥‥‥!?
‥あ‥る‥‥わ、私に‥精霊門スキルが‥ある‥な、なんて事‥」
族長の意識は何処かに言っている。先程までのキリッとしていた顔が嘘みたいに緩んでる。口元はだらしない。よほど嬉しいのだろう。
「はいはい、セリーナ。これ契約の指輪。始めにも言ったけどルシールのスキルの事については制限させてもらうわよ。」
「えっ、なぜ、私が、契約の指輪なの、私もこっちの誓約の指輪で‥」
なぜか族長は誓約の指輪を手に契約の指輪を拒否している。
ーーそんなに契約だと大変なのか、なんか悪い事したな。
「ルシールはそんなの望んでないから‥ねルシール?」
ーーそうだ。僕も不本意な事は望んでない。
僕もうんうんと頷いて見せる。シャルさんの顔は嬉しそうに、族長の顔は何故か、蒼白になった。
「しかし、他の皆は、誓約の指輪を‥‥」
「うん、大丈夫よ。貴女は役目を全うしなさい。ね。」
ーー今、火花が見えたけど‥大丈夫だよね。
「わ、分かったわよ。ルシール私は何時でもあなたを歓迎するわ。」
そう言う族長さんの態度は始めの頃と違って柔らかく戸惑ってしまうが‥‥‥いい加減、手を離して欲しい。
「はい、ありがとうございます。僕もお金返さないと行けないので、そう言ってもらえるとありがたいです。」
「おお、そうだったね。待ってるわよ‥‥‥‥。」
「はい。」
「‥‥‥。」
「‥‥。」
何時までも離さない僕の手を、シャルさんが無理矢理、引き離すと、早く契約をしなさいと族長を追い込む‥けふん‥促していた。
族長は僕の事を契約の指輪に刻むと‥
「じゃあ、早速、村の精霊核門を起動するわ。ほらルシールも見てなさい。ほらほら。」
そう言って、再び僕の手を取ると早々と会議室を出た。
「ああっ、セリーナ!!」
もちろんみんなも慌ててついて来る。何故だか、族長の名前を叫ぶシャルさんの顔が少し怖く見えた。
【セリーナからの借金6,000,000カラ増】
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【名前:ルシール:LV17】 ギルドランクE
戦闘能力:330
種族:人間?
年齢:14歳
性別: 男
職業:冒険者
スキル:
〈スマイル〉〈料理〉〈洗濯〉〈文字認識〉
〈アイテムバック〉〈貫通〉〈馬術〉
〈カウンター〉〈早寝〉〈早起〉
〈早食〉 〈早技〉〈早足〉〈早熟〉
〈治療:3〉〈回避UP:4〉 〈剣術:3〉
〈見切り:4〉〈捌き:3〉〈毒耐性:2〉
〈覗き見:2〉〈危険察知:2〉〈空間把握:4〉
〈精神耐性:2〉
固有スキル:
〈浄化〉〈魔眼:5〉〈飛翔〉
魔 法:
〈生活魔法〉〈初級魔法:1〉
*レジェンドスキル:
《スキルショップ》
《スキル制限解除》
《加護・スキル神》
所持金 :
178,913カラ
借金残高:
シャルロッテ 63,949,850カラ
セリーナ 6,000,000カラ⏫
フレイ 1,320,000カラ
スキルショップ借入残: 0カラ
担保提供:なし
レア装備:竜のブレスレット
:風のシルエア
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