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更新遅くなりました。
すみません。
洞窟を出た僕達は、シャルさんの馬車小屋で王都クイールに戻って来た。
もちろん馬車小屋も、シャルさんが精霊に頼み普通の幌馬車に見える様にしてある。
それだけ、シャルさんは今の人族を警戒している。
エルフ族の使命を聞いた僕としては申し訳ない気持ちで一杯だ。
ーー大した事は出来ないが、せめて僕達だけでもエルフ族に誠意をみせたい‥。
そんな事を思いつつも、帰りは馬車。徒歩だった行きの半分の時間で王都に帰って来た。
因みにご機嫌に馬車小屋をかっ飛ばした奴はラッシュと言う名前がある。シャルさんに格好いい名前をちゃんと貰っていた。
僕はそのラッシュを王都の馬屋に預けると停車料金を払った。これから僕達はギルドに寄って、食料や道具を補充(ルシールだけの仕事)したら直ぐに王都を発つ。さっさと済ませないと‥。
ラッシュは馬屋に水をもらって旨そうに飲んでいる。あんな奴でも、さすが馬。速かった。
ーー不本意だが、ラッシュの実力を認めざるを得ない。しょうがない頑張ったご褒美に頭でも撫でてやるか。
「ラッシュ、ありがとな。お陰で早く帰って来れ‥‥あれっ?」
僕の右手はスッと空を切った。思ってた位置にラッシュの頭がない。
ラッシュは僕の手を避ける様にプイッと顔を反らしていたのだ。そしてー。
「ラッシュ偉い、早く着いた。」
「ラッシュぅありがとうちゃよぉ。よしよし。わぁ、ラッシュの瞳はキレイちゃねぇ。ふふふ。」
フレイとアルテに鬣と頭を撫でられていた。嬉しそうにシッポまで振っている。まるで犬みたぃー。
ペシッ!!「‥いたっ!!」
僕にニヒッと歯茎をみせながら、奴はシッポを当ててきた。絶対こいつわざとだ。
ーー良いだろう。そのシッポ引っこ抜いてやる!!
ペシッ!!「‥いたっ!!」
ーーぐ、結構早いな。
ペシペシッッ!!「‥いつつっ!!」
ーーむむ、こっちか。
ペシッ、ペシペシッ!!「‥うわっ!!」
ーーぐぬぬっ。
「ほら、ルシール。ラッシュと遊んでないで、早くギルドに行くわよ。」
「‥‥‥ふっ、ラッシュ。命拾ぃ‥ペシッ!!‥あぅっ!!」
「ばかルシール。」
「ルシール置いて行くちゃよぉ?」
良いように遊ばれたルシールは、ニヒッと歯茎を見せるラッシュにリベンジを誓い、シャル達を慌てて追いかけた。
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ギルドに入ると朝の繁忙時間を過ぎている所為か、ガランとしていた。僕は直ぐにガルネさんのカウンターに向かう。
「こんにちは、ガルネさん。はいコボルトの牙と魔石です。」
僕はコボルトの牙と魔石をガルネさんの座るカウンターに出した。
カウンターにコボルトの牙と魔石の山が出来た。
「おお、こんなに‥質もいい。頑張ったな。ここ数日見なかったが‥これは‥ほほぅ‥コボルトの洞窟に行っていたんだな?」
そう言ったガルネさんは、にやりと表情を崩した。質の良い牙は武器や防具、装飾品に利用される。
「そうです。コボルトの洞窟に行って来たんですよ。よく分かりましたね?」
「がはははっ。俺くらいになると持ってきた討伐証明品で何処の魔物か分かるんだぜ。
今回もちゃんと色をつけてやるからな。
‥それより、ルシール。えらい‥またべっぴんさんばかり連れてるじゃねぇか?」
そう言われフレイとアルテが照れているが、ガルネさんの視線はシャルさんに釘付けだった。だらしなく鼻の下を伸ばしている。
ガルネさんはべっぴんさんばかりって言ったけど、シャルさんから視線が動いてない。
「ふふふ。こんにちは私はシャロ。今は一時的にルシール達のパーティーに入れて貰ってるのよ。」
そう言ってシャルさんはニッコリ微笑んだ。もちろんこれは偽名だ。
「はぅわっ!!ぉおお‥そ、そうでしたか‥シャロさんですか‥シャロさん‥‥おっ、おお、そうだ、シャロさん。これ丁度、過剰に採集した冒険者がいてな‥‥」
ガルネさんの言葉が何だか白々しい。そしてガルネさんはカウンターの下をガサガサ漁り出した。
そして何やら薬草を一掴み取り出すと、シャルさんにほらよっとカッコつけて手渡した。
ーーうおっ、あの一掴み20束ぐらいあるよ。
「まあ、ありがとうね。ガルネさん。」
そう言ってシャルさんはちゃかり上級薬草をガルネさんから貰っている。
「お、おう。いいって事よ。がははは。」
あげたガルネさんも幸せそうだ。
やはりシャルさんのスマイルはひと味違うとルシールは思った。
だが、シャルロッテはスマイルスキルを持っていない。
その後、換金も無事に済み僕達は36万カラ手に入れた。金額がピッタリなのはガルネさんが色をつけてくれ端数を切り上げてくれたからだ。
そしてそのお金はフレイとアルテとで3当分した。
洞窟を出る際シャルさんもコボルトを狩ってるのだが、「あなた達が頑張ったからよ」と頑なに拒否され受け取ってくれなかった。
「ガルネさんありがとうございました。」
「ああ、良いって事よ。それにほらギルド内を見てみろよ。」
ガルネさんが顎でクイッとギルド内を指した。僕はそれにつられてギルド内に顔を向けた。
「少ないだろ?」
「今が繁忙時間じゃないからでしょ?」
ガルネが何を言いたいのか分からず思わず首を傾けた。
「‥‥いや、昨日からずっとこんな調子なんだよ。」
「へっ?昨日から‥‥ですか?」
ーーん?ますますよく分からない。
「ああ、分からない‥か?
えっとだな、王国騎士がナントウ渓谷の更に奥にエルフ族の村を見つけたと言いやがってな。近々大規模な遠征を計画しているらしいんだ。」
「へっ?遠征って。」
僕はシャルさんをチラリと見た。シャルさんは何も言わずガルネさんの話を目を閉じて聞いている。
「前に1度ナントウ渓谷には実践訓練に行ったらしいんだか、その時に見つけたんだとよ。エルフ族の村を。」
ーーあの時か、、シャルさんの話とも一致してる。
「‥‥そうですか。」
「それで、王国が更に王国騎士の募集を始めやがったんだ。
しかも、給金まで上乗せの、全ての騎士に爵位を授けるらしいんだよ。
チッ‥‥他所から冒険者を集めているが、今の勢いだと、冒険者が集まる前に王都の冒険者はいなくなってしまう。
もう御手上げなんだ。」
ガルネさんは小さく両手を上げ深いため息を吐いた。
「そ、そんなに凄いんですか?」
ーー僕がコボルトの洞窟に行く前にはまだ、ギルドは回せていたはずだ。
「ああ、もう十数組しか残ってねぇんだ。殆どの依頼が滞っている。」
僕の背中に冷たい物が流れた。
ーーこれは‥不味いんじゃないか?
「ガルネさん、その遠征は何時になるんですか?」
「‥‥なんだ?ルシールも騎士になりてぇのか?」
勘違いしたガルネさんの鋭い視線が突き刺さった。僕は慌てて首を振った。
「いやいや違いますよ。僕に騎士は無理です。
それ僕はエルフ族が悪いと思えませんし‥」
「ルシール!!」
ガルネさんは慌てた様子で自身の口元に人指しを当てた。どうやら今の僕の発言は不味かったらしい。
更にガルネさんは僕に顔を近づけ小声で教えてくれた。
「‥き、気を付けろよ。俺もそう思うんだが、誰かに聞かれると国家反逆の罪になりかねんぞ。
‥‥ふぅ、さっきまで腹が立ってしょうがなかったが‥今ので力が抜けたぜ。」
ガルネさんは大きくため息を吐くと、ドカッと座っている椅子の背もたれになし掛かった。
「‥すみません‥」
「なあに良いって事よ。‥ええっとそれより、遠征だったな。遠征はたしか‥‥これだ。」
ガルネさんはまた、カウンターの下をガサガサしだして1枚のグシャグシャになった紙を取り出した。
「?」
取り出したのは王国騎士募集の貼り紙だった。最新版らしい。そう書いてる。
だが、グシャグシャで所々擦りきれインクまで滲んでいる。
「うむ、遠征は‥‥明日だな。」
ーー明日。良かった、まだ間に合う。
僕は少しホッとしたのだが、シャルさんは違った。
それを見たシャルさんが後ろから僕の裾を引っ張っぱり、小声で話して来た。
「(不味いわルシール。時間がないかも。その明日って書いてる貼り紙も怪しすぎるし。急いで村に向かいましょ。)」
シャルさんの焦りが見える顔色に僕はコクりと頷き返す事しか出来なかった。
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【名前:ルシール:LV14】 ギルドランクE
戦闘能力:250
種族:人間?
年齢:14歳
性別: 男
職業:冒険者
スキル:〈スマイル〉〈料理〉〈洗濯〉〈文字認識〉
〈アイテムバック〉〈貫通〉〈馬術〉
〈カウンター〉〈早寝〉〈早起〉
〈早食〉 〈早技〉〈早足〉〈早熟〉
〈治療:3〉〈回避UP:4〉 〈剣術:3〉
〈見切り:4〉〈捌き:3〉〈毒耐性:2〉
〈覗き見:2〉〈危険察知:1〉〈空間把握:4〉
〈精神耐性:2〉
固有スキル:〈浄化〉〈魔眼:5〉
魔 法:〈生活魔法〉〈初級魔法:1〉
*レジェンドスキル:《スキルショップ》
《スキル制限解除》
所持金 :378,913カラ⏫増
借金残高:シャルロッテ
63,949,850カラ
フレイ 1,320,000カラ
スキルショップ借入残: 0カラ
担保提供:なし
レア装備:竜のブレスレット
:風のシルエア
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