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更新遅くなりました。すみません。

 早いものでシャルさんがパーティーを離れて一月経った。


「今日はどの依頼にしようか……これなんてどう?」


 この一月はフレイからの提案もあり、お金よりも二人での連携を重視して無理のない活動をやっている。


「まだ無理はダメ」


「あー、そうだね……じゃあ……」


 それでも、僕一人で活動していた時よりも効率的でギルドランクはFになった。


 これもフレイのおかげだ。


 フレイもこの一月で〈魔力操作〉レベルが2になり、僕も〈覗き見〉スキルが2になった。


「……んー、あのさフレイ。最近依頼書の数が多くない? あ、違う……これは、処理されずに残ってる?」


 よく見れば依頼日がかなり経過しているのも多々ある。かと言ってその依頼が困難な依頼かといえばそうでもないように見える。


 ――どうして……?


「多分、これのせい」


 フレイは二つ折りになった一枚の紙をポケットから取り出した。

 フレイはそれを広げて僕の方に差し出してくれた。


「これって……」


 それは《王国騎士募集!!》と大きく書かれ、裏面にはその詳細が書かれていた。


「広場の掲示板前で配られていたやつだよね……たしか、アレスたちも……」


 フレイは少し心配そうな表情を浮かべコクリ頷いた。

 まあ、フレイ表情は相変わらず乏しいので僕がそう感じるだけなんだけどね。


 ――そりゃそうだよね……アレスたちはフレイの幼馴染だもんな……


「……私も気になってる」


「アレスたち……?」


 フレイはゆっくり首を振った。


「違う。王都で活動している冒険者。その冒険者たちがこっちに流れてる」


「……ああ、ああ」


 フレイはアレスたちのことはあまり気にしてないようだった。


 ――……よかった。


 ほら、僕にも責任があるから、気にしてたらやっぱり、ねぇ……


「そっか。それで冒険者の数が急に減ったから依頼が滞りだしてるんだ……

 でも王国騎士って何がいいのかな?」


「ん? 準貴族扱いになる、待遇もいいはず」


「へぇ、だからなんだ……」


「多分」


「あ、でも、変な噂も聞いたけど……兵士がどうとか」


「実は王国兵士を集めるためって話?」


「そう、それそれ。なんでも兵士と騎士じゃ報酬も待遇も違うってやつ」


「……」


「僕は、兵士になるくらいなら冒険者の方が絶対いいと思うんだ。

 冒険者は戦う場所を選べるけど、兵士は選べない? 

 知らないうちに死地に向かうことになるだろうし、僕なんか直ぐに死んじゃうんだろうな……って、あはは……

 これも他の冒険者が話しているのを聞いた受け売りなんだけどね……!?」


 頷いたフレイの表情に少し影がさした気がした。


 ――……僕はバカだ。フレイがアレスたちのことを気にしてない訳ないのに……


「あ、あくまでも噂だもんな。王国が嘘なんてつくはずないもんな……そ、それより今日はどうしようか?」


「あの……」


 僕たちを背後から呼び掛ける声がある。


「ん?」


 その声に振り返ると。申し訳なさそうな顔をしたギルドの受付嬢がいた。


 ――なんだろう?


「えーっと、僕たちのことですか?」


「そうです。フレイさんとルシールさんですよね」


「はい」


「よかった。それで、申し訳ないのですが『東の森(ゴブゴブの森)のゴブリン討伐』こちらを引き受けていただけないでしょうか……

 こちらは、Fランク、推奨レベル3の依頼になるのですが、最近特に冒険者不足が深刻化していまして、ここ二週間この依頼を引き受けてくれる冒険者がいないのです」


「えっ、二週間も!? それって……」


「はい。状況はかなり不味いです。こんなこと今までありませんでしたので。このまま放置している状態ですと、ゴブリンが増えすぎて、いつ上位のゴブリンが誕生したとしてもおかしくありません。

 そして、その上位のゴブリンが、また厄介な存在で、下位のゴブリンを従え群れを作ると近隣の町や村を襲うのです。

 私たちとしても、手遅れになる前にこの状況をなんとか打破したいのです」


 ゴブリン討伐依頼は常にある依頼だ。それも専用の買取窓口が常設されているほどに……


 それだけゴブリンの繁殖力は凄まじいく、狩っても狩っても渇れない魔物。


 受けていた依頼に失敗していたとしても、ゴブリンさえ狩っていればその日はなんとか食いつなげる。最低限は稼げる手頃な依頼なのだ。


 駆け出しの冒険者でも受けれる人気の依頼だ。普通の時ならば。


「見てくださいルシールさん。このギルド内を……通常なら冒険者で溢れかえっている時間なのですが……この有り様ですから」


 受付嬢が顔を向けたギルド内は閑散としていた。

 僕たちはこの光景に慣れてきていたので別になんとも思っていなかった。けど……


 よく見なくても、今ギルド内にいる冒険者はほかに数組しかいない。それくらい寂れていた。


「ギルドが受けた依頼に対して請け負う冒険者の数が足りなくなっています。

 他所の町のギルドにも掛け合ってもらい冒険者をこちらに回してもらえる様に依頼しているのですが、これがなかなか、難航していまして、うまくいっているとは思えません」


「……これってやっぱり」


「はい。大きな声では言えませんが王国騎士の方に流れてしました。

 特にHからEランクの冒険者たちですね。こんなこと初めてでギルドも打てる対策もなく後手に回ってます」


 受付嬢のEランク冒険者と言う言葉に、ふと気になってフレイの方に目を向ければ、俯き気味で視線を床の方へと向けていた。


 ――生真面目なフレイのことだから少なからず責任を感じていそうだし……


「フレイ。僕はこの依頼を受けようと思うんだけど、フレイはどうする?」


「それでいい」


 僕の方に顔を向けたフレイもコクリと頷き肯定してくれた。


「じゃあ、僕たちはこの依頼『ゴブリンの討伐』を受けます」


 僕たちの返事に受付嬢がホッとしたのか安堵の表情を浮かべた。


「ありがとうございます。私は受付担当のリリと言います……」


 僕とフレイは受付嬢リリに連れられて受付カウンター移動した。


「フレイさん、ルシールさんありがとうございます。

 この依頼は緊急依頼になっていました。十体討伐するだけでも通常の二倍、2000カラの報酬になります。

 後は一体多く討伐する毎に300カラの追加報酬になります。

 ただ、ゴブリンの数が異常に増えていると予想されていますから気を付けてください」


「はい、分かりました。じゃあフレイ行こうか」


「うん」


 僕たちはギルドを後にした。


 ――あ……


 ギルドを出るときギルド内に目を向けると受付嬢のリリさんはまた、他の冒険者に声を掛けていた。

 リリさん以外の受付嬢も同じように冒険者たちに声を掛けていた。


 ――大変そうだな……


 僕とフレイは一時間ほど歩いてゴブゴブの森にたどり着いた。


 いや、正確にはもう目と鼻の先と言った方がいいかな。

 僕はそこで少し違和感を感じた。


「ちょっと待ってフレイ」


「んっ?」


 僕は〈覗き見〉スキルを発動してゴブゴブの森の入り口辺りを確認した。


 ――あちゃあ……


「フレイ大変だ。ゴブリンが入り口辺りにいる。ここから確認できた数だけでも十体は越えてるね」


「分かった。警戒して進む」


「ああ」


 ゴブリンに気付かれないギリギリの位置まで近づくと、僕はフレイに合図を送る。


「いつも通りに」


 フレイはコクリと頷くと、素早く複数の風魔法を放った。


「ウインドカッター」


 ――いまだ!


 僕はすぐにフレイの魔法を追従する形で〈早足〉スキルを使い一気にゴブリンとの距離を詰める。


 フレイの操る風魔法も、調整され僕が引き離されない絶妙な速度でゴブリンに向かっている。


「そこ」


 フレイの魔法は正確で一気に六体のゴブリンを切り刻んだ。


 ギャギャギャッ!!


 驚いたゴブリンたちが騒ぎだす前に僕も目についた残りのゴブリンたちを斬りつける。


「はあぁぁぁ!!」


 〈貫通〉スキルを両手の武器に纏った連撃はバターでも切るようにスルスルとゴブリンをカットできる。


「はぁ、はぁ、上手くいった」


「うん」


 ――あー、やっぱり、最近は手が少し痺れるな。


 多分これがシャルさんが言っていた貫通スキルを使用した副作用なんだろうと思う。


 今までは何事もなかったけど、最近は使用した後必ずこうなる。


 この症状はほんの10秒ほどで、すぐに治るけど、これからは使いところが難しくなりそうなんだよね。


 でも、これは僕が強くなってるって証拠だと思うと嬉しくもあるんだ。


 ――ふふふ……


 そんなことを思いつつ、僕は散らばって落ちているゴブリンの小さな魔石を拾っていった。


 当然、今も〈危険察知〉スキルを使っている。けど……


「フレイ。残念だけどゴブリンのレベルより僕たちの方がレベルが高いせいか危険察知スキルが全然反応しないな」


「うん。ゆっくり周囲を警戒しながら行こう」


「そうするしかないよな。あっ! でも少し反応があるから上位のゴブリンがいるかも。

 いつもより慎重に行こう。二人で手に負えそうになかったら退却しよう」


 そして、僕はゴブゴブの森に少し入って気がついた。


「あはは……フレイごめん。僕、ここの森の地理全く分からないや……」


「はぁ……やっぱりルシールはルシール……少しは見直して格好いいと思ってるのに」


 フレイの声は小さくて聞き取れなかったけど、あのジトーっとした目から判断するに……


 ――あはは、呆れてるよな……かっこ悪い……


「ごめん……」


「……大丈夫。私の袋出して」


「あ、うん」


 フレイから預かっている袋をアイテムバックから取り出すと、フレイは何やらがさごそっと袋よ中を漁り一枚の紙を取り出した。


「これ」


 フレイはその紙を広げて確認すると、僕の方に差し出してきた。


「ここの森の地図。前にきた時記録してた」


「へぇ。フレイは凄いな」


「これ、当たり前の事。ルシールには冒険者の心得を教える必要がありそう」


「うっ……」


「今度、宿屋で私が教える。じっくりたっぷり」


「じっくりたっぷりって……そ、そこまでしなくても……」


「何?」


 最近、フレイからは得体のしれない凄みを感じれるようになった。


「い、いえ。よろしくお願いします」


 ――これは僕が成長したってことなのか……まさか危険察知スキルのおかげってことはないよね……ね……?


「うん。ちゃんと教える」


 そう言って顔を背けたフレイは、少し頬が紅くなっていたようにも見えた。


 ――あわわ……


 僕はフレイの怒りが治ればいいのにと心から祈った。


 ――――――――――――――――――――


【名前:フレイ:Lv11】ギルドランクE


 戦闘能力:70→80

 種族:人間

 年齢:13歳

 性別: 女

 職業:冒険者

 スキル:〈棒術:1〉〈文字認識〉

 〈魔力操作:2〉UP 〈魔力回復:1〉

 〈魔力量UP:1〉〈毒耐性:1〉

 〈危険察知:1〉

 魔 法:

 〈生活魔法〉

 〈水魔法:2〉

 〈風魔法:2〉


 ――――――――――――――――――――


【名前:ルシール:LV10】

 ギルドランクG→F


 戦闘能力:151

 種族:人間

 年齢:14歳

 性別: 男

 職業:冒険者

 スキル:〈スマイル〉〈料理〉〈洗濯〉

 〈文字認識〉〈アイテムバック〉〈貫通〉

 〈馬術〉〈カウンター〉〈早寝〉

 〈早起〉 〈早食〉 〈早技〉〈早足〉

 〈早熟〉〈治療:2〉〈回避UP:3〉

 〈剣術:3〉〈見切り:2〉〈捌き:2〉

 〈毒耐性:2〉〈覗き見:2〉UP

 〈危険察知:1〉

 魔 法:

 〈生活魔法〉

 〈初級魔法:1〉


 *レジェンドスキル:《スキルショップ》

 所持金 :4,513カラ

 借金残高:シャルロッテ3,949,850カラ

 フレイ  300,000カラ

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