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いざ女子寮に!

楓と分かれた後、僕は今日から入寮することになる女子寮へと向かう。

この桜ノ宮女学院は通学が困難な生徒のために寮が用意されており、寮生は厳しい規則を守って生活している。

パンフレットで見た寮自体は立派なもので、どこかヨーロッパの洋館にあるようなデザインだった。

それもそのはず、デザイナーは有名な建築家らしく内装もしっかりしており、寮生がきちんとした学生生活を送れるような雰囲気が見て取れた。


で、その寮はどこにあるんだろう。

肝心の場所がわからない。


とにかく桜ノ宮女学院は広すぎてさっぱりだ。

ただでさえ講堂や中庭、図書館にお茶室に礼拝堂と、場所を把握しなければいけない施設が多いのにこれじゃ迷っちゃうな。


そんなことを考えながらつい回りをきょろきょろしてしまう。

すると、一人の女の子がそれに気づいたのか話しかけてきた。


「どうしたんですか?何かお探しで?」

「あ、ええと、女子寮を探していて……」

「マリア寮のことですか?私も今日入学したばかりなのであんまり詳しくないですけどあっちだと思いますよ?」


女の子はそう言って今僕が来た方向と反対側を指差した。

それにしても綺麗な子だ、いかにもお嬢様って感じ。

髪の毛はぱっつんで、すらっと伸びていてさらさらしている。ちょっと触ってみたい。


いや、女の子同士なんだからアリじゃないのかな?


……落ち着け白井あやめ。

とにかく今は寮へ向かおう、髪を触るのはまた今度でいいじゃないか。


「あ、ありがとう、ええと名前を伺ってもいいかな?」

「姫野夏那と言います、あの、あなたは?」

「白井……あやめだよ」


あやうく『たつみ』と言いそうになってしまうのを抑える。

さっきも同じ様なことでミスしたし気をつけたい。


姫野夏那って言うんだ。

この子も一年生ってことは学年は一緒なんだよね。


「あの、姫野さん?でいいかな、今日入学したばかりって言ってたけどクラスは?」

「C組です、あやめさんは?」


なんと。

この可愛い子とクラスが一緒とは!

ちょっと嬉しくてほんわかしてしまう。


「あの、どうかしましたか?顔が赤いですよ?」

「わわ!なんでもないよ、私もC組なんだ、よろしくね」


どうやら顔に出てしまっていたらしい。

でも姫野さんとクラスが一緒なのはやっぱり嬉しかった。

僕は入学したてだし、少しでも同じクラスに顔なじみは作りたい。


特に女子校なんて言ったら、女の子が裏の世界で常に火花散らして戦ってるみたいだし。

あくまでイメージだけどね。


「良かったらマリア寮まで案内しましょうか?」

「え!いいの?ありがとう!」

「はい、私も今日から寮に入ることになるので……」


え?今なんて?

僕の聞き間違いでなければ姫野さんも寮に入るみたいな事を言ったような。


「姫野さんも、もしかして寮生に?」

「ええと、今そう言いましたよね?」


うん、言ったよね。

なんか僕が日本語できない変な人みたいに思われてるんじゃないだろうか。

すごく心配になる。


「とりあえず寮まで案内しますよ、あやめさんも一緒に行きましょ?」

「ありがとう、嬉しい!」


姫野さんの問いかけに僕は快く応じる。

そうして、僕たちは世間話をしながら学生寮へと向かうのだった。





しばらく歩き続けたところで、姫野さんが立ち止まった。

どうやらここみたいだ。


パンフレットでみた建物そっくりですごく立派な外観をしている。

映画のワンシーンにでも出てきそうな雰囲気だった。


「わぁ、すごく綺麗な建物ですね、教会みたいです」

「本当だ、ここで三年間暮らすって思うと少しワクワクするよね」


と、他愛もない会話をしながら二人で寮に入っていく。

立派なドアがギギッと音を立てて開いた。


「あの、すみません今日からこの寮でお世話になる白井あや……っっ!?」

「かわいいいいい!!!」

「ちょちょちょ、あの、その!!」

「はへ?」


いったい何なの、何事?

何が起こったのかまったくわからない。


ありのまま今起こったことを話すと、僕が自己紹介した瞬間に抱きつかれていた。

頭がどうにかなりそうだ。


とりあえず状況を整理しよう。

抱きつかれた。うん、それだけ、それだけなんだけど。


「ええと、その手をどけてもらえますか……?」


抱きつかれたままなんです。

その、そんなに抱きつかれると胸がパッドだってバレます。


「ごめんね、あまりに可愛かったからちょっと勢いあまっちゃった♪」

「あ、あはは」


僕が可愛い?冗談はよして欲しい。

可愛い子なら僕の後ろにいるよ!とびっきり清楚なお嬢様みたいな可愛い子が!


でもそんなことお構いなしに、この一部始終を姫野さんはポカーンとしながら僕たちをみていた。


「自己紹介遅れちゃった、私は井橋亜佳音だよ!あなた達が入寮する新入生なんだよね?」

「はい、私は姫野夏那です。こちらが白井あやめさんです」


僕の代わりに姫野さんが自己紹介をしてくれた。気配りが効くいい人だ。


「そっかぁ、夏那ちゃんとあやめちゃんね!名前は聞いてたけど二人とも可愛いなぁ♪」


どうしよう、なんかターゲットにされたような気がする。

でも可愛いも何も、僕は男なんです。


「亜佳音さんは寮生なんですよね?二年生ですか?」


とりあえず話題を変えて話をそらしてみよう。


「そうだよー、一応二人からすると先輩になるのかなー?でも全然気を使わなくてもいいからね!」

「あ、はい、ありがとうございます」


でも、優しそうな人みたいで良かった。

寮にすごく怖い人がいたらどうしようって、ちょっと不安だったんだよね。


「二人の部屋はもう決まってるからついてきて!夏那ちゃんはここ、となりがあやめちゃんの部屋だよ」

「荷物はもう全部届いてるから整理できたらリビングに来てね!」


亜佳音さんにそう言われ、僕と姫野さんはお互いの部屋に入る。

部屋の扉を開けるとなんとも豪華な感じが広がっていた。


家具などはもともと置いてあるものばかりで、持ち込んだものはほとんどない。

しかし、置いてある家具はどれも素人目でわかるくらいの華やかさがあった。


やや落ち着かない空気の中ではあったけど、僕は荷物の整理を始めたのだった。

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