↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
2/10

プロローグ

3月、桜は咲き誇り卒業式を迎え、新たな生活に心躍る季節。


僕は4月から高校生になる……はずだった。


いや、正確にはなるのだと思う。


でも、それが女子校だなんて思いもしなかった。



◇



2日前のこと。


双子の姉である白井あやめが交通事故にあったことを親から突然知らされた。


僕とあやめお姉ちゃんは双子でほんのちょっとだけお姉ちゃんのほうが生まれたのが先だったらしい。

でも、お姉ちゃんは僕とは違って何でもできるし、頭もいいし、周りから期待をされている。

……僕たちはいつも親からや親戚の人に比べられて育ってきた。


ある時はピアノの演奏で、またある時は絵の上手さで、そして勉強で。


僕はいつもお姉ちゃんに勝てなかった。


両親はいつもお姉ちゃんに白井商会を継ぐように言い聞かせていたし、周りに自慢もしていた。

それだけに何でもできるお姉ちゃんは可愛がられていて、平凡な僕はいつも蚊帳の外だったのだろう。


でも、そんなお姉ちゃんが交通事故にあった。

……そして、亡くなった。



◇



昨日のこと。


なぜか、お通夜は家族でしか行われなかった。

僕と、両親の3人だけ。


なぜだろう?と思ったのも束の間、僕は母親から驚きの言葉を耳にした。



「……あなたが、あやめの代わりになりなさい」



え?

どういうこと?


意味がわからない。

僕がお姉ちゃんの代わりになる?


まったく状況が飲み込めてない僕に母親は続けた。


「4月から白井あやめとして桜ノ宮女学院に通うの、わかったわね?」


桜ノ宮女学院……姉が通うはずだったお嬢様学校だ。

そこに僕が通う、でも僕は男の子。

あれ?無理じゃ……。


と思った矢先、だった。


「達巴、前にあやめと遊んで女装してたことあるじゃない?あの時あやめそっくりだったわよ?」


いやいやいや。

あれはお姉ちゃんが勝手に遊んでただけだし、なにより女子校に通うのなんて絶対無理。


まあ確かに声とか容姿とか友達に女の子っぽいって言われるけど……。

ついでに性格とかも。


だけどいくらなんでも僕がお姉ちゃんとして女子校に通うだなんて。


というより、お姉ちゃんが亡くなったことがいまだに信じられなかった。

まず悲しい。

昨日まで一緒にいたお姉ちゃんがいない、いなくなる。

すごくすごく悲しいことだ。

でもまだぜんぜん実感がわかなくて、突然すぎて、何がなんだかわからない。

そんな時に、女装して女子校に通え、それも明後日からなんて言われても……。


だけど、お母さんはその後も話を続けた。


白井商会は大企業で、周りの人も皆あやめが会社を継ぐと思っていること。

今、あやめが亡くなったと知れたら会社だけでなく親戚もが大混乱に陥ること。

僕が女装したときの姿が本当にお姉ちゃんそっくりで絶対にバレないと思ったこと、などなど。


そして何より、お姉ちゃんが遺言を残していたことだ。

「達巴には一家のためになるような生き方をしてほしい」と。


なんで中学生で遺言なんて残してるんだろう?

という疑問も、それほどまで完璧だったのかと思えば納得できる気もした。


思えば僕はお姉ちゃんと比べたら本当に何もできなかった。

いつも両親に叱られてばっかりだったし、自分でもやっぱり何もできないと思う。


ともかく、両親が言うにはお姉ちゃんは一家に存在不可欠だ、ということらしい。

確かに、僕がお姉ちゃんの代わりとして過ごすことができるなら……それは一家のためになるのかもしれない。


僕はお姉ちゃんが好きだったし、何でもできてほとんど完璧なお姉ちゃんに憧れていた。

そんなお姉ちゃんが、自分には一家のためになるような生き方をしてほしいと遺言を残している。

そしてそれが、お姉ちゃんの代わりになることだとしたら。



「わかった、僕お姉ちゃんの代わりになって女子校に入る!」



かくして、僕は『白井あやめ』として女子校に通うことになったのだった……。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。