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破壊と再生

みなさま、お久しぶりです。島北です。

寒かったり暑かったりする日が転々としてて、体を崩しやすい日々ですね。僕も気をつけたいところです。

では、前置きはここまでにしますか。

第28話「破壊と再生」、最後まで是非、お楽しみください!

僕たちの視線の先には不気味に光り、宙に漂う巨大な岩が映っている。あれこそが、魔神が住まう魔神宮殿……!

「これで、私の願いは叶います……私の悲願が……!」

リィラは魔神宮殿の方角へ手を差し伸べ、涙をこらえて再び手を自分の胸に引いた。

「……これで……お兄ちゃんは救われるのよ……!」

「僕が……救われる……?」

リィラは、一体何を言っているんだ?僕が、救われる……?

「……お兄ちゃん……お兄ちゃんは知っている?」

「……何を?」

「魔神に対して、聖なる神、聖神、つまりは、人間たちが信仰する所謂『神』という存在を」

「……知っているよ……それがどうしたの?」

「お兄ちゃんは……」

リィラが唾を大きく飲み込み、ゆっくりと、語った。


「お兄ちゃんは、神の子なんだよ」


リィラの一言が、僕の耳を、心を、全てを通り過ぎた。周りにいたみんなも、目をかっぴらいて僕の事を見ていた。

「な、何を言っているんだリィラ?僕が神の子?何の冗談だ?」

「冗談なんかじゃないよ」

リィラは涙をこらえながら必死の眼差しの表情で僕を見る。

「聖神は、この世に生まれてから18年後、全ての存在から忘れられ、聖神として天の彼方で崇められるの」

「何を馬鹿な事を言っているんだ!そんな馬鹿な話が……!!」

僕は我慢出来ず、リィラに怒鳴りつけてしまった。

「……いや、彼女が言っていることは本当じゃよ」

しかし、僕が言葉を続ける前に、子供の姿になっていたメイリーンさんの澄んだ声が遮った。

「アルタ、お主に初めて会ったあの日に感じたあの違和感。やはりそういうことだったんじゃな」

「メイリーンさん……!?」

「まず、お主の放つ魔力や気は、人間のそれとはまず違った。私と戦ったあの日、お主から放たれていた絶大な力。あれは私の感じたことが無い力だった。……私は、この世界が魔力という概念に支配されたその時から、魔力を傍に感じて生を受けていた、謂わば、魔力で作られた存在なんじゃ。その私が言うんだ。どう捉えるかは、お主次第じゃがな」

「……そんな……」

「やっと、自覚したか、アルタ。その才覚を」

この厳粛な場にそぐわない、高く可愛らしい声が聞こえてきた。

「セルディ!」

セルディは静かにこちらにやってくる。可愛らしい風貌をしかめ、デュランダルを片手に携えて。

「私が魔王であると自覚した辺りから、アルタに特別な力があることは薄々感じ取っていたよ」

セルディは、リィラの頭の上で立ち止まった。

「そして、誰かによって、私達が動かされていることもね」

「流石ですね、セルディさん」

リィラは静かに笑った。

「でも、私は見事にリィラの策に嵌って、魔神宮殿を召喚してしまった。私も、結局はリィラの野望の為の道具に過ぎなかったわけだ」

「そうですね……」

「本題が逸れているから、話を戻すわ。それで、アルタ君が神だからって、何故、魔神をこの世界に召喚したのかしら?」

ルルさんが腕を慎まやかな胸の前で組んで、リィラを見つめた。

「……さっき言いましたが、聖神は所謂18歳になったときに、全ての人から忘れられてしまいます」

「そう言っていたな」

「私は……それが耐えられなかったんです……」

「……え?」

リィラは涙をぽろぽろと零しだした。

「お兄ちゃんがみんなから忘れられるなんて、悲しすぎます……だから……うぅっ……」

「……その気持ちは分かったわ。でも、それがどうして魔神召喚につながったの?」

「……この世界、そして宇宙が創られたのは、ビックバンという現象から、というのは知っていますよね」

「ええ、知ってるわ」

「そのビックバンとは、聖神と魔神の衝突によって発生したもの、というのは知っていましたか?」

「!?まさか……!!」

「……そうです……私の目的、それは……」

リィラは涙を拭い、ゆっくりと立ち上がった。


「破壊と再生です」


「……あなた、なかなかにクレイジーね」

「褒め言葉、と受け取っておきます」

「つまり、兄の為に、この舞台を作り上げたってことなのじゃな……」

「でも、どうしてあなたは、このような情報を持っていたの?」

「私は、魔王襲来戦争の時に、魔王軍に拉致された人間の一人です。その時、私は魔王アレクサンドラから聞いたのです。この世界の理を」

「……なるほど。あの魔王アレクサンドラの入れ知恵か。余興のつもりで話したのじゃろうが、このような事を引き起こすとは、思ってもいなかったじゃろうな」

「……リィラ……」

僕はゆっくりと立ち上がって、リィラの目の前に立ち止まった。

「こんなこと、しちゃダメだろ!!」

「!?」

僕は、今までリィラに見せたことないほど、怒りに震え、悲しみに満ちていた表情をしていただろう。リィラの反応を見れば、そんなこと、すぐにわかる。

「僕は、そんなことまでしてこの世界で生きたいと思わない。むしろ、この事実を知らないでみんなのもとを去れた方が幸せだったよ」

「……お兄ちゃん……」

僕は、リィラを強く介抱した。

「リィラ、僕の事を大切に思ってくれて、ありがとう……でも、魔の道は辿っちゃいけなかったんだ。わかるよね、リィラ」

「……うん……ごめんね……お兄ちゃん……」

リィラは、静かに呟くと、身体への負担が大きかったのか、再び意識を失い、僕の身体にもたれる形で膝から地面についた。

「……アルタ……」

「……アルタさん……」

「アルタさん~……」

アイルさん、ネーニャ、そしてフランさんが、僕の傍までやってくる。

「……さて、可愛い妹が残したツケは、僕が払わないといけないね」

「何を言ってるんだアルタ。『僕たちが』だろ?」

「……セルディ?」

セルディはニカッと笑顔を見せる。

「もちろん、私も行くわ!」

「私も行きますよー!」

「私も、お手伝いしますう!」

「……みんな……」

「私達も、手伝っちゃうよ!!」

すると、壊れた扉の先から、竜の翼を背に生やした美しい女性3人がやってきて、僕たちの傍で着地した。

「あなたたちは、竜人族の!!」

なんと、僕たちのもとに来たのは、竜人族の集落でお世話になった、ライアさん、ケイアさん、アイアさんの3姉妹だった!

「このマシンというのも、役に立つのじゃな」

メイリーンさんは、ローブの中から小さな通信機器を取り出して、笑みを見せた。

「はい、魔力水溶液ですよ~」

「ほら、飲んだ飲んだ!!」

3姉妹は、風呂敷に大量に入った魔力水溶液を、僕たちに差し出した。

「さて、それじゃあ、私は……はあっ!!」

ルルさんは杖を頭上に掲げた!すると、僕たちの傷が、癒されていった!!

「……さて、これで君たちの体調は万全だ」

「私達はもう魔力も空っぽだし、戦う力は残ってねえ」

「だから、お主たちが、魔神を倒してくるのじゃ」

「セルディ、アイル、ネーニャ、フラン、そしてアルタ君。頼んだわよ……あなたたちに、この世界の未来がかかっているのだから!!」

僕たちは大きく首肯する。

「それでは、あの宙に浮く魔神宮殿までは、私達が運びますね~」

ライアさんが、僕の腕を掴んだ。ライアさんの実りに実った双丘が僕の腕に当たって、この上なく気持ちいい感覚だった。セルディとアイルさんはケイアさんに、ネーニャとフランさんはアイアさんに手を掴まれ、3姉妹は、そのまま竜の翼を広げた!!

「うわっ!!」

「大丈夫ですよ~、安心してください~」

……ライアさんは僕の腕をしっかりつかんでいる。この一部主張の激しい細身の女性の身体のどこに、ここまでのパワーを持っているのだろう。二人分掴んでいるケイアさんとアイアさんもだけど。

「では、ライア達よ、アルタ達を頼んじゃぞ」

「はい~、お任せください~!」

「それじゃあ……行ってきます!」

僕が大きく発すると、ライアさん達は一気に翼を仰ぎ、魔神宮殿に向かって飛翔した!!


「……あれが、魔神宮殿……」

目の前に映る、岩。小惑星をくりぬいたような、無骨ながらもあまりに巨大な岩。あれこそが、魔神が住まう、魔神宮殿。

「さて、着陸しますよ~!」

ライアさんがのほほんと言うと、岩の凹凸になっている部分に静かに着陸した。奥には穴があり、あそこから進入が出来るようだ。

「んん~?誰だ、てめえらは~?」

すると、穴の奥から、鉄球をもった、巨人の様な魔物が姿を現した!!

「魔神様に手を出すっていうのか~?そんなの、この俺様がさせないぞ~!」

「くっ……こんなところにも魔王残党軍がいるのか!!」

「煉獄衝裂≪パーガトリィ・ドラグナー≫!!」

ケイアさんが魔法を唱えると、巨人の魔物の周りに炎の塊を放った!

「弾けろぉ!!」

指をパチンと鳴らしたその瞬間、炎の塊は一斉に爆発を起こし、魔物を爆炎で包み込んだ!!

「あの魔物の相手は私達がやる!今のうちに中に行くんだ!!」

「ケイアさん……!……頼みました!!」

僕たちは、爆炎に包まれている今の瞬間を逃さず、必死に魔神宮殿の内部に入るために走る!!

「させるかぁ~!!」

しかし、魔物は激しく鉄球を振り回し、僕たちに向かって投げつけてきた!!

「アクア・ミョルニル・ハンマー……!!」

すると、水を噴射した鉄球が、アイアさんのもとから放たれ、魔物の鉄球と轟音を立てて衝突した!!

「なにぃ~!?」

「早く……行ってくださいです……!!」

僕たちは足を止めず、そのまま宮殿の中に向かって全速力で走り抜ける。あの魔物はもう追って来ない。3姉妹の足止めが成功したようだ。僕たちはそのまま、暗い一本道を駆け抜ける!

「アルタ!」

「なに、セルディ!!」

「魔神を倒したら……一緒に楽しく人生ってやつを謳歌してやろうぜ!」

「うん……そうだね!」

「私もよ、アルタ!!」

「アイルさん!?」

「私も、一緒に楽しく生きていくんだから!仲間外れにしないでよね!!」

「もちろんですよ、アイルさん!」

「さーて、最後の大仕事ですねー。やってやりましょうか、アルタさんー!」

「そうだね、ネーニャ!」

「みなさんが不安に怯えることなく、幸せになれるために……頑張りましょう~!」

「はい、頑張りましょう、フランさん!!」

僕たちは、一本道の先に見える、大きな扉を目の前にして走る。扉は、僕たちが近付くと、静かに奥に開いた。


「……さあ……最後の勝負の始まりだ……!!」


第28話「破壊と再生」、最後まで読んでいただきありがとうございました!!

ついに明かされたアルタ君の素性。彼こそ、この世界を見守る聖神の子だったのです。魔神を聖神の衝突によって生まれる新たなる宇宙。それこそ、リィラの真の目的だったのですね。リィラの計画は、見事成功に終わりました。しかし、アルタ君たちは、まだ諦めてはいません。魔神との戦いは、必然なのです。

では、ここからは次回予告を。次回29話のタイトルは「聖神と魔神」です。ついにぶつかる聖神の子と魔神。この戦いの果てに待ちうけている未来とは……?是非、お楽しみに!

次回の投稿は2月下旬を予定しています。それまで、お楽しみに!では、また次回お会いしましょう~!

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