魔王と妹
みなさま、おはようございます。島北です。
寒い日々がまだまだ続いて辛いところです。寝不足気味になっているので、治したいところ。
では、前置きはここまでにしましょう。
第27話「魔王と妹」、最後までお楽しみにください!
「……リィラ……」
不気味に微笑むリィラは、床に置かれていたロンギヌスを手に取り、祭壇から降り立った。
「あなたの目的は一体何なの?」
「まだ、答えられません」
ルルさんの質問を一蹴する。
「さっきの爆発音……シャルは死んだのね……」
リィラは酷く歪んだ笑顔を見せた……!!
「まったく……時間稼ぎにもならなかったわ……!使えない子……!!」
「リィラ、お前……!!」
「……お喋りはここまでにしよう、お兄ちゃん……!
リィラは、ロンギヌスを片手で回転させ、こちらに先を向けた!
「結局、戦って勝たなきゃ目的を教えてくれないっていうことね……!」
「アルタ……私達はこれから、容赦なくあなたの妹に攻撃するわ。……許してね」
「わかってます……僕も、間違った行いをする妹を正す責任がありますから……!!」
僕は、腰に携えた剣、エクスカリバーを素早く抜き取り、切っ先をリィラの方へと向けた。
「リィラ……覚悟っ!雷光波≪ライジング・エッジ≫!!」
左手を前方に突き出し、雷光波≪ライジング・エッジ≫を放つ!リィラに当たるか当らないかなんか関係ない……追撃だ!!
「雷光波≪ライジング・エッジ≫!!」
奥の祭壇に向かって走りながら、再び雷光波≪ライジング・エッジ≫を放つ!!リィラは2発とも綺麗に回避すると、後方から炎の球が飛んできた!!アイルさんが放ったのだろう。僕はリィラの動きを見極め、剣の平地の面をリィラに向けて思いっきり右から叩きにかかった!!
「……やはりうまくいかせてくれないか……!」
「もちろんよ、お兄ちゃん……!」
ロンギヌスで僕の剣戟を防いだリィラは、すぐさまロンギヌスを横薙ぎし、僕を振り切った!
「雷光波≪ライジング・エッジ≫!!」
リィラは槍を地面に添え、左手を前方に構えて僕に向かって雷光波≪ライジング・エッジ≫を放った!!
「雷光波≪ライジング・エッジ≫!!」
僕もすぐさま雷光波≪ライジング・エッジ≫を放ち、魔法同士を相殺させた!その瞬間、タイミングを計っていたネーニャがサラマンダーを構えてリィラに斬りかかった!!
「とりゃあっ!!」
鍔迫り合いに持ち込んだところで、サラマンダーの刀身が燃え上がった!!
「!?」
リィラはすぐさまロンギヌスを引いて後ろへ跳ね下がる。僕はその隙を見逃さなかった!!
「もらったああああああああああああっ!!」
「くっ……雷光波≪ライジング・エッジ≫!!」
リィラの放った雷光波≪ライジング・エッジ≫は狙いが定まっていなかったのか、僕の横を通り過ぎていった。僕はそのまま突撃をかけた!!ネーニャのサラマンダーから放たれた炎の斬撃を素早くかわしたリィラの背を狙い、剣を横に薙いだ!!
「ううっ……!!」
リィラはロンギヌスを両手に構え、僕の攻撃を防ぐ!
「もらいましたよーっ!!」
「ぐうっ!!」
ネーニャはリィラに足払いをかけると、思いっきり足を掬われ、その場に横に倒れた!!その瞬間、僕とネーニャは倒れたリィラの首と腹に剣の切っ先を向けた!!
「さて、これでもう抵抗は出来ませんよー」
「降参するんだ、リィラ!!」
僕達がリィラを抑えていると、アイルさんとフランさんとルルさんもこちらにやってきた。
「さて、あなたの目的、話してもらうわよ」
「……それは言えないわ」
「……ならば……強制的に吐かせるしかないようね……!」
「さて、それが出来るかしら?」
リィラはニヤリとほくそ笑む。
「吏絶≪サルファ≫!!」
リィラが魔法を唱えると、僕たちに激しい倦怠感が襲いこんだ!!
「たあっ!!」
そして、その一瞬の隙をついて、ロンギヌスを激しく振り回して僕達を薙ぎ払った!!
「やられた……!」
「まさか、魔力を空っぽにされるなんて……!!」
アイルさんとルルさんは血の気を失いながら悔しそうにリィラを見る。
「私の疾風瞬郷≪ウィンディネッド≫も使えないですかー……なかなか痛い隠し玉ですねー……」
「さて、みなさんにはここで退場願いますね……!」
リィラはその場に座り込んでいてしまっていたフランさんに狙いを定めて、ロンギヌスを自分の身へと引いた!
「まずは、あなたから……!!」
「ひぃっ!!」
フランさんは身を守る構えを取った!
「させないっ!!」
僕はフランさんの目の前まで全力で滑り込み、身を屈ませてリィラの攻撃を防いだ!!
「流石お兄ちゃんだね……!」
「そうでもない……さっ!!」
僕は身を上げてそのままリィラのロンギヌスを弾いた!!
「まだ終わらないよ、お兄ちゃん!雷光波≪ライジング・エッジ≫!!」
リィラの放つ雷光波≪ライジング・エッジ≫が、僕に向かって襲いかかる!!僕は雷光波≪ライジング・エッジ≫を避け、エクスカリバーを構えながら走り抜けた!!
「はあっ!!」
リィラはロンギヌスを華麗に振り回し、僕の剣戟を止めた!しかし、ここで引き下がるわけにはいかない。僕は一心不乱に剣を振り回す!!
「そんなことじゃ、私は倒せないよ、お兄ちゃん!!」
「……確かに、僕一人じゃ勝てないかもしれない……でも!!」
「てやあっ!!」
「ぐっ……!!」
アスクレピオウスを鈍器のように持ったルルさんが、リィラの脇腹を打ち殴った!!
「てりゃっ!!」
「なっ……!!」
一瞬の隙を突いたネーニャはリィラの背に飛びかかり、腕をからませて動きを止めた!!
「……僕は一人じゃない……僕には仲間がいる……!!その結束力は、魔法という奇跡の力だって凌ぐんだ!!」
僕はエクスカリバーを地面に全力で突き刺し、右手をリィラの首筋に強く当てた!!
「くはっ……!ま、まだ……終わって……いな……」
リィラは意識を失い、ついにその場に倒れた。
「……フランさん……」
「はい~?」
「……リィラの……リィラの傷を、癒してもらってもいいですか?」
「はい、もちろんですう!」
魔力水溶液を飲んで魔力を回復していたフランさんは、僕のお願いに嫌な顔一つせず、リィラの治療を始めた。僕とネーニャもルルさんから魔力水溶液を受け取り、飲み干した。
「これで、私の持ってきた魔力水溶液は無くなったわ。まさか、一週間分用意したのに全部なくなるなんて思わなかったわ」
ルルさんは冗談交じりに微笑んだあと、祭壇で静かに立っているセルディに鋭い目線を送った。
「でも、今の戦いにセルディが加わらなくてよかったわ」
「そうね……セルディさんがもしリィラと手を組んで挑んできたら……」
「……勝てなかったでしょうねー……」
僕は、こちらに背を向けるセルディに、畏怖の念を覚えた。手汗が流れるように溢れているのが、エクスカリバーが激しく湿っていることから理解できていた。
「……まだ、辿り着かないか……」
「えっ?何がですか?」
「ん?あ、いや、こちらの話よ。……さて、セルディの意識を取り戻しましょう……!」
ルルさんがアスクレピオスを構えた!
「魂淘≪ヴァレス≫!!」
ルルさんは鉄球を宙に投げ、魔法を唱えた!豪速球で放たれた鉄球が、セルディに襲い掛かる!!
「……!!」
ヴゥォオオオオォンン!!
すると、セルディはついにこちらを一瞥し、背に携えていたデュランダルを抜いて、こちらに向かって薙いだ!!すると、どす黒い魔法の波動が轟音を立てて空気を貫き、鉄球を飲み込んで、壁にぶち当たって消滅した!!
「な、何、今の……!!」
「これが……魔王の力だって言うんですかー……!?」
「怯んじゃ駄目よ!!遠くからなら手を打てるわ!!」
「ですがー……!」
「恐らく、セルディは儀式か何かをやっているわ!儀式を中断させるためにも、少しずつでも良いからセルディの手を止めるのよ!!」
「もう、なるようになれですよー!!」
ネーニャはサラマンダーを前方に突き出した!!炎の波動が、セルディに襲い掛かる!!
「煉獄の炎よ、あまたの生血を燃やしつくせ!煉公の轟炎≪スレイサ・ファイア≫!!」
「四肢共全せよ!魂淘≪ヴァレス≫!!」
「穿つ雷光よ、走れ!雷光波≪ライジング・エッジ≫!!」
そして、僕たちも続けて詠唱を加えた魔法を一気に放った!!
「……」
しかし、セルディは何一つ怯む動作を見せず、再び背にしまっていたデュランダルを取り出し、剣の波動を放つ!!剣の波動は、全ての魔法とネーニャの放った炎を飲み込み、そのまま僕たちに放たれていく!!
「ぐうっ!!」
僕たちはなんとか回避するも、最早、セルディに対抗できる手段など無いこの絶望的な状況に、戦意は悉く失われていた。すると、地面に転がっていたロンギヌスが突然、激しい光を纏い始めた!!
「……どうやら、間に合ったみたいね……!!」
ルルさんが嬉しそうに呟くと、先程のセルディの攻撃で破壊された門をくぐって、見覚えのある人たちが姿を現した。そう、それは今までの旅で出会った勇者級の人たちだった!!
「まったく、こんなことになっちまうなんて……ビックリ仰天だぜ」
「すみませんニーディさん。こんなところまで来ていただいて」
「なに、気にすんな。仕方ないことだしさ」
「また魔王が現れるとは……私の疲労がまたたまってしまうのじゃ……」
「この戦いが終わったら、新型のマッサージチェアを送りますよ。それまで堪えて下さい」
「なに!?それは本当か!?よし、ならば頑張るのじゃ」
「まだ宿屋の仕事が溜まっていたんだが、こういうことじゃ仕方ないな」
「あら、レニングさん。騎士の仕事はどうしたのですか?」
「辞めたよ。ソレンっていう女の子と結婚して、ソレンが営む宿屋の手伝いをしているよ」
「ええっ!?」
ルルさんは場に合わない素っ頓狂な声を上げた。
「ソレンって言うと、ガレスの村でお世話になった私達と同じくらいの歳の女の子よね……?」
「レニングさんー……あなた、やりますねー……」
「そうかい?」
「なんだ、良かったじゃないかレニング。無事に妻を娶れて」
突然、祭壇に近い方から渋い男性の声が聞こえてきた。
「なっ、ジェニシスさんじゃないか!!」
レニングさんは驚きの声を上げる。
「まったく、やっぱりこういう事態になっちまったか。おちおち寝てもいられないな」
「あの人が、勇者級の一人、ジェニシスさん……!」
半透明な姿で僕たちの前に現れたジェニシスさん。渋い姿をしている屈強な姿の男性だ。
「君たちがあの女が言っていた旅人たちか。とんだ災難な目に遭っているな」
「は、初めまして……僕は……」
「知っているよ。アルタ君だろ。僕の魂が槍の中に眠っている間、嫌ってくらいその名前を聞いたよ」
「そ、そうですか……」
「……さて、これで機は熟したわ……」
ルルさんは静かに話すと、全員の空気が変わった。
「祈って!!」
ルルさんの大きな一声で、勇者級の全員が目を瞑って武器を天に掲げた!!半透明の姿のジェニシスさんはロンギヌスのすぐ傍で目を瞑り、祈り始めた!!
「うわっ!!」
すると、僕の腰に差されたエクスカリバーが、凄まじい光を放ち始めた!!
「森羅万象の理よ!全てを浄化せん、聖なる神秘を!!数多数奇の聖なる心よ!全てを見渡さん聖なる加護を!!遍く創生をもたらさん永久の力を紡げ!!」
「「「「「流転たる輝鳳≪グランド・アーオキーニス≫!!」」」」」
勇者級の人たちが一斉に魔法を唱えると、僕の持つエクスカリバー、そして、セルディが持つデュランダルを含め、全ての勇者武器がまばゆい光を放った!!
「な、何が起きているの!?」
「わ、わからんですが、なんだかやばそうですー!?」
「眩しいですう!!」
「こ……これは……!?」
いつしかして、ようやくまばゆいばかりの光が消えると、僕は、どこか神秘めいた、宇宙の狭間のような、無重力な世界にいるではないか。
「セルディ!!」
僕の思考が追い付く前に、僕の口から、セルディの名前が喉を突いて出た。僕の目の先には、セルディがいるではないか。
「アルタ……!!」
不思議な事だ。僕が行きたいと思う方向に、自然に身体が進んでいく。
「私……私ね……!」
……僕はセルディの唇に自分の人差し指を当てた。
「えっ……?」
セルディは突然の僕の行為に驚いた様子を見せた。
「……僕……」
……僕はここにきて、ようやく気付いたんだな。セルディが……如何に僕にとって大切な存在だったのか……。今まで、僕は気付けなかった、その大事な感情を、今、僕は伝えなければいけない。僕の頭は、流れるように整理し、実行していく。
「僕……セルディの事が……うっ!!」
しかし、僕が全て言いきる瞬間、再び、世界がまばゆい光に包まれてしまった!!
「僕は!僕は……!!」
僕は、ブラックホールに吸い込まれるかのような強力な重力に引きづられるような感覚に陥り、そのまま、僕は……。
「……あれ?」
僕はいつの間に意識を失っていたのだろう?僕がその場に立ちあがると、この場にいる、全ての人が、外を見上げていた。奥には、静かに横たわっていたセルディがいた。
「……アルタ君……」
ルルさんが、顔を青ざめて僕の方を見た。
「セルディの魔王の力は消えたわ……でも……」
「……ははは……達の悪い冗談だ……」
「あれが……魔王を越えた……魔物が崇める神……」
「魔神の城なのじゃ……?」
僕も、何が起きたかまだ完全に把握していない状況だったが、みんなの視線の先を向く。
「!!……あれは……!?」
禍々しい塔のような紫の光を放つ……巨大な岩のようなものが宙を浮いていた。
「……やっと……見れたわ……」
「リィラ!!」
僕の後ろで、リィラが意識を取り戻した。僕はリィラのすぐそばで腰を落とした。
「あれは……あれはいったい……!?」
「魔王セルディさんの儀式が成功したのよ……」
「ということは、あれはやはり……!!」
ルルさんが慄く声でリィラを向くと、一斉にみんなの顔が、リィラの方に向いた。
「あれこそが、世界を破壊へ導く魔が崇める神、魔神の住まう宮殿、魔神宮殿ですよ」
第27話「魔王と妹」、最後まで読んでいただきありがとうございました!!
ついに、リィラとの決戦。苦戦を強いられるも、なんとか勝利を収めることができましたね。それにしても、この作品に登場する魔法は、DQシリーズから引用した効果を伴うものが圧倒的な数を占めるのですが、魔力を一気に0にする魔法というのはないのではないでしょうか(パルプンテは除く)?こんな魔法を使って来られたら一気に目標レベルが跳ね上がりそうですね(笑)。
そして、魔王セルディとの戦闘。すべての魔法を薙ぐ波動を放つというチートぶり。ですが、勇者級の力を合わせ、「流転たる輝鳳≪グランド・アーオキーニス≫」を唱えたことで、なんとか魔王の力を失わせることができましたね。この魔法は勇者級の持つ魔法勇者武装の力を解放して、魔の力を絶つ聖なる加護の力を放つものです。ちなみに、この魔法はこの世に残る魔法勇者武装(装備者は問わず)すべての力がないと発動できません。その為、ルルはあらかじめ他の勇者級を呼んでおいたのです。
しかし、魔王セルディは儀式を最後まで完遂してしまい、魔神が復活してしまいました。これから、どうなってしまうのでしょうか?そして、アルタ君が飛ばされた宇宙的な空間とは一体何だったのでしょうか?これからの展開にご期待下さい。
では、ここからは次回予告を。次回、第28話のタイトルは「破壊と再生」です。第二次スパロボZではありませんよ(知ってますか、そうですか)。リィラの真の思惑、そして、これから待ちうけているアルタ君の試練とは……?是非お楽しみに!!
次回の投稿は2月中旬を予定しております。それまでお待ちいただけたら嬉しいです!!では、また次回、お会いしましょう~!!




