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聖鏡ラー

みなさま、あけましておめでとうございます!!島北悠凪です!!

年末年始は非常に忙しい日々が続きました。その後も忙しい日々は続いているのですが(汗)、なんとか今回書きたかった分まで書き終わりました!!いやあ、よかった!!今年も、是非「伝説の神と勇者の冒険」シリーズをよろしくお願いいたしますm(_ _)m

では、第25話「聖鏡ラー」、どうぞ最後までお楽しみください!!

「……いつ見ても高い塔ね……」

ルルさんは紋章が施された懐中時計をポケットから取り出し、太陽の塔の扉に近づけた。すると、突然、扉から聖なる魔力が溢れだし、扉が静かに奥に向かって開いた!!

「……やはり、こうなっているのね……」

扉の先には、先程の聖なる魔力で消滅したと思われる魔物の爪跡が残されていた。

「急ぎましょう。残された時間は、僅かだわ」

僕たちはルルさんに頷き、それぞれが武器を構えて、塔の中に足を踏み入れた。

「なんだか不気味ね……」

薙ぎ倒された騎士の像や甲冑が、僕たちの不安を掻き立てる。しかし、進んで聖鏡ラーを手に入れなくてはならない。僕は、恐怖心を抱きながらも、エクスカリバーを携えて1階最奥部に用意された階段を昇った。

「キシャアアアアアアアアアッ!!」

階段を昇り終えると、潜んでいた魔物が姿を現し、襲いかかってきた!!

「くそっ!!やはりこうなるのかっ!!」

「みんな!!急いで突破するわよ!!」

僕とネーニャは近接戦、アイルさんとルルさんは魔法戦、フランさんは回復をこなしながら弓で遠距離攻撃を放つ役割で、魔物との戦闘を開始した!!鎧を身にまとった魔物だ。今までの魔物とは格が違う威圧を感じる……!!

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」

僕は魔法攻撃している2人の攻撃を受けてよろけたその一瞬の隙をついて、力いっぱい、エクスカリバーを振りおろした!!

「グオオオオオオオオオオッ!?」

魔物の鎧は砕け散ったが、膝をつくこともなくそのまま剣をその手で構え、再び僕たちに襲いかかってきた!!

「なんてしぶとい魔物なんだ!?」

「魂淘≪ヴァレス≫!!」

僕が一瞬の隙を作ってしまったその時、ルルさんは周りに転がっていた残骸を操り、魔物の身体を斬り裂いた!!

「グギャアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!」

そして、ようやく地面に伏した魔物は、弾けるように消滅した。

「はあっ……はあっ……」

……どういうことなんだ……エクスカリバーを使っているのにも関わらず、ここまで苦戦を強いられるなんて……!?

「どうやら、敵も必死のようね。急ぎましょう」

僕の顔を見て僕の心中を悟ったのだろうか。ルルさんは一声かけて、長い廊下を進み始めた。

「大丈夫ですかあ?」

フランさんは、先程の戦闘で受けた傷を見逃すことはなかった。僕の腕に治癒の光≪ヒリング・シャイン≫を唱え、天使のような微笑みを見せて、ルルさんの後ろを追いかけた。

「ほら、早く行くわよ」

「早くしないと、魔物に聖鏡ラーが盗られちゃいますよー」

「……そうだね」

僕はエクスカリバーを鞘にしまって、掌で頬をパチンと一叩きした。まだ2階だ。ここで音をあげちゃダメだ。僕は先を行くパーティのみんなのもとへと走った。


「あと少しで宝物庫よ。頑張りましょう」

一体、この塔の中に入ってから、どれだけの魔物と戦ってきただろう。それに、体力を削られるこの塔の構造にも恐れ入る。直線的な道が多く、階層が非常に多い。もう、僕たちの疲労は限界近くまで達していた。

「……もう歩けないわ……」

宝物庫の扉が見えてきたというこのタイミングで、アイルさんがついに地面に座り込んでしまった。

「……仕方ないな……」

溜息をついたルルさんは、僕の事を指さした。

「アルタ君、アイルを担いできてくれない?」

「ええっ!?なんで僕なんですか!?」

「女性のエスコートは男性の仕事でしょう」

「そ、そういうものなんですか……?」

「それに、目の前に見える扉は宝物庫の扉じゃないわ。あそこは休憩所よ」

「え?そうなんですか?」

「あの中には、我が国の技術を総結集させて作り上げた疲労をすぐさま回復させる椅子が置かれているのよ。王族には、もともと体力が無い方が多かったみたいで……」

「な、なるほど……」

「とりあえず、あの部屋まで行きましょう。本当は一刻を争う状況だけど、ここで死んだら意味がないわ」

「わかりました……」

僕はアイルさんに近づき、腰を下ろした。

「乗ってください」

僕は腰に手を当て、背に乗るように催促した。

「あ、ありがとう……」

アイルさんは、何故か僕から視線を逸らして、ゆっくりと僕の背にもたれかかった。


ぷにゅんっ


「!?」

や、柔らかい……!!

「ちょっと、どうしたの?やっぱり、降りた方がいい?」

「い、いや!大丈夫ですよ!!」

毎度のことながらこの柔らかさには驚かされる……全体的な体重もそう重くないのに……胸部に栄養がいきわたっているってことだよなあ……。

アイルさんを担いで僅か数十歩で辿り着いた扉の前で、再びルルさんは懐中時計を近づけた。入口の扉と同様に、聖なる魔力で奥に向かって扉が開き始めた。

「さあ、入りましょう」

ルルさんは懐中時計をしまうと、ゆっくりと部屋の中に足を踏み入れた。僕たちもあとに続いて部屋の中に入った。部屋に入ると、そこには光り輝く椅子があった。なんだか塔の中の部屋の中央に椅子がポツンと置かれている光景はシュールだ。

「さて、それじゃあ、最初にアイルを座らせましょう。アルタ君、宜しく頼むわね」

「は、はい……」

なんだか腑に落ちない気持ちも胸に抱きつつも、僕は一度軽く跳ねて、アイルさんを背負い直してから再び椅子に向かって歩き始める。椅子のすぐ手前で椅子に背を向け、腰を屈ませた。そして、アイルさんはゆっくりと椅子に座った。すると、椅子からは緑色の癒しの魔力の光が放たれた!

「あっ……ああ……なんだか……き、気持ちいいわぁ……」

……なんでだろう。なんだかアイルさんに妙な色気を感じてしまうんだけど……これは僕のせいなのかな?

「椅子に座ると、椅子の中に埋め込まれた魔鉱石の魔力がガルガンティ国のとある企業の企業秘密の魔力循環技術で椅子を巡って癒しの力が得られるって訳なの」

ルルさんが自慢げに説明を入れると、少ししてから癒しの光は消え、元の何の変哲もない椅子に戻った。

「す……凄いわ!!さっきまでの疲れが嘘みたいに消えたわ!!」

アイルさんは目を輝かせて椅子から降りて飛び跳ねた。

「こ、これは是非とも私の家に欲しいわね……」

「あら、本当?ちなみにこの椅子のお値段は……」

そう言うと、ルルさんはアイルさんの耳元に顔を近づけ、ごにょごにょと値段を教えた。

「ええええええええええええええっ!?!?!?」

すると、アイルさんはオーバーリアクションの如く後ろに飛び跳ねて身体をびくつかせた。

「や、やっぱり今はいらないわ……もうちょっと……いや、今の倍以上に家が繁盛してから検討するわ……」

まあ、そりゃあ一般市民には買える代物じゃないよね。

「それじゃ、一人ずつ座ってから、最上階の宝物庫を目指しましょう」


僕たちは椅子の魔力の恩恵を全身に受け、部屋をあとにし、塔の廊下へと戻った。

「さあ、行きましょう」

ルルさんは急ぎ足で廊下を進み始めた。僕たちは、それをすぐさま追いかけた。少し進んでから螺旋階段を上ると、目の前に大きな扉が現れた。

「着いたわ。ここが宝物庫よ」

どうやら、椅子が置かれていた部屋のすぐ上の階が最上階だったらしい。ルルさんは例の如く懐中時計を扉に向けると、扉は聖なる魔力を溢れさせながら、静かに奥へと開いた……!!

「……!?魔物!?」

しかし、僕たちの目の前には、宝物庫の壁は破壊され、一匹の魔物が鏡のようなものを持っている光景が現れた。

「やはり、この鏡を求めに人間がやってきたか……!!」

どうやらこの魔物は、聖なる魔力を受けても平然としているところから、太陽の塔の魔物を率いる存在のようだ。背には鳥の羽をはやしているが、今は足をつけて僕たちを嘲笑するように見ていた。

「残念だったな!!この鏡は人間に渡すわけにはいかないのだ!!」

そう言うと、鳥の魔物は羽を広げ、高らかに笑った!

「待て!!」

「待てと言われて待つと思ったか?では、さらばだ人間!ハハハハハハッ!!」

ルルさんの怒号も空しく、魔物は羽を広げ飛び立って……いかなかった。

「……なにっ!?飛べないだと!?」

「どうやら、さっきの聖なる魔力にやられて、羽が機能していないみたいね!煉公の轟炎≪スレイサ・ファイア≫!」

アイルさんは魔物に向かって煉公の轟炎≪スレイサ・ファイア≫を唱えた!!炎の弾丸が、魔物に放たれた!!

「うおっ!!……おのれぃ……よくもこのヴァルハート様に……許さないぞ、人間!!」

……いままで戦ってきたどの魔物よりも小物臭がする魔物ではあるが、煉公の弾丸≪スレイサ・ファイア≫を咄嗟に避けたりと、実力はある魔物のようだ。僕は、気を引き締め、エクスカリバーを引き抜き、正面に構えた。

「ここで死ねぃ!!爆煉燈≪グレスティオ≫!!」

ヴァルハートは羽を広げ、呪文を唱えた!!すると、僕たちの足元に、橙色の魔法陣が現れた!!

「魔法陣から離れて!!」

アイルさんが大きな声で指示を出すと、僕たちは急いで魔法陣から退避する。すると、魔法陣から炎が溢れだし、灼熱の壁が包み込んだ!!もしあのまま反応できていなかったら、灰になってただろう。

「くそぅ!!まさか私の魔法に反応するとは!!」

ヴァルハートは悔しそうな表情を見せた。

「こうなれば、こいつを使うしかないなぁ!!」

ヴァルハートは、短い腕を突きだすと爪の先から、一本の魔力の束が現れた!魔力の束は、緑色の毒々しい輝きを見せる鞭と変化し、アイルさんに向かって鞭を放った!!

「うぐっ!!」

なんと、鞭は見る見る伸びていき、油断していたアイルさんの腕に直撃した!!

「ハハハハハッ!!油断しているからそうなるんだ!!」

「大丈夫ですか、アイルさん~!」

フランさんは急いでアイルさんのもとに近づこうとするも、ヴァルハートの鞭に行く手を阻まれてしまった!!

「フフフッ……魔力がみなぎってくるぞ……!!」

「あいつの鞭……どうやら魔力を吸収する力があるのね……どんどん魔力が無くなってる感じがするわ……」

アイルさんは呼吸が乱れ始めた。魔力を継続的に失っているせいで、体力も疲弊している様子だ。

「さて!!それでは私は退散させてもらおうとするか!!お前たちと戦うのも時間の無駄だしな!!」

ヴァルハートは、羽を広げると、聖鏡ラーを片手に、破壊された壁から脱出すべく、飛び立っていった!!

「汪福の風≪ディヴァイン・ウィンド≫!!」

ルルさんは咄嗟に、呪文を唱えた!!すると、破壊された壁がみるみるふさがっていく!!

「ガハッ!!」

なんと、勢いよく飛び立ったヴァルハートは、修復された壁に衝突し、思いっきり地面に落ちた。

「なんて馬鹿な魔物なんでしょうかー……疾風瞬郷≪ウィンディネッド≫!!」

ネーニャは疾風の如く飛びかかり、ヴァルハートの羽を燃やし斬った!!

「ああっ!!なんてことをしてくれるぅ!?」

ヴァルハートは酷く狼狽した声を出す。

「今です、アルタさんー!!」

「はあああああああああああああああああああああああっ!!」

僕はエクスカリバーを高く振りかぶって、ヴァルハートに向かって突撃する。

「まっ!待ってくれぇ!!私は……!!」

「問答無用だっ!!」

「ひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいっ!!!!!!」

僕は、ヴァルハートの身体を縦に真っ二つに一刀両断した。二つに分かれたヴァルハートの身体は、ばたりと倒れ、そのまま消滅した。

「……なんだか俗物な魔物でしたねー……」

「慢心は自分を殺すとは言ったものね……」

アイルさんはフランさんの呪文で傷を癒してもらったみたいだ。すっかり血の気を取り戻していた。

「はあっ……はあっ……詠唱なしで汪福の風≪ディヴァイン・ウィンド≫を唱えるのは、やっぱりきつかったわね……」

ルルさんはぐったりとした表情でその場に座った。

「ほらアルタ君、聖鏡ラーを拾ってちょうだい。あれこそ、禍々しい塔へ入るためのキップよ……!」

僕は、地面に転がり落ちている聖鏡ラーを静かに拾った。僕が聖鏡ラーに触れると、静かに魔力が宿り始め、黄金に輝く神々しい鏡へと変化した!

「……さて、ミッションコンプリートね……それじゃあ、行きましょうか」

ルルさんはゆっくりと立ち上がった。

「……その前に……もう一度、休憩所に行ってからにしましょうか」

ルルさんは少し顔を赤らめて僕たちに提案した。僕たちはコクっと頷く。宝物庫を出た僕たちは、休憩室に向けて歩を進めた。


休憩所で英気を養った僕たちではあったが、睡魔に勝つことはできず、結局、休憩所で一泊を過ごした後に太陽の塔を出た僕たちは、停泊していた船に乗り込んだ。明るい朝日を浴びているはずなのに、目線の先に小さく見える禍々しい塔の外観の色にやられて全く清々しい気分になれない。

「行きましょうか……禍々しい塔へ……」

ルルさんは静かに僕たちに問う。僕たちは、静かにうなずいた。船は、太陽の塔を離れ、大海原を進む。静かな時間が進み、僕たちはようやく、禍々しい塔の港に到着した。文字通り、禍々しく赤く光る塔の外観には、いまだに恐怖心が拭えない。僕たちは船を降り、まるで僕たちを歓迎するかのように用意された入口の前に立つ。

「さあアルタ君。鏡を入り口に向けて」

僕はルルさんに言われたように、聖鏡ラーを入口に向けた。すると、鏡から強烈な光が放たれ、禍々しい塔の入口に貼られた結界が姿を現した!結界は黒く淀み、まるで地獄への入口とでも言わんばかりに結界が蠢いている。そして、ついに強烈な光を浴びて結界は割れるように消滅した。

「……行きましょう……」

ルルさんはアスクレピオウスを構え直し、先陣を切った。僕たちも続いて禍々しい塔の中へ進入した。塔の内部も禍々しく照らされており、幽霊屋敷とか、そんな生易しい雰囲気を超越していた。到底、一人でなんかはこんなところには入れられないだろう。

「……!メローネ姫……!」

ルルさんは、歩を止めた。入口を潜り、廊下を抜けると、そこには大広間が広がっていた。奥には階段も見える。……しかし、その前に、精神を蝕まれたメローネ姫が、杖を携えて僕たちを見ていた。

「プリンセス・メローネ!意識を取り戻してください!!」

「無駄よ、アイル。今のメローネ姫に、私達の声は聞こえないわ」

「そんな……!!」

「どうにかできないのでしょうかあ……?」

「……それを考える時間を、どうやら与えてくれそうにないわ……」

僕たちが一斉に武器を構えた直後、メローネ姫は、右手で杖を激しく回転させると、こちらに杖の先を向け、襲いかかってきた……!!

第25話「聖鏡ラー」、最後まで読んでいただきありがとうございました!!

さて、今回は太陽の塔で物語が繰り広げられました。ザコ魔物がただのやられ役ではなく、パーティを苦戦させるあたり、物語の終盤を感じさせますね。今回のボスとして登場した鳥の魔物ヴァルハート。今までのボスがほぼ真面目な感じでキャラがかぶってきそうだったので、少し一捻りいれて、小物臭がする感じにしました(笑)。まさか終盤のボスがあんな簡単にやられるなんて、誰が想像していただろうか。一応、かなり強い魔物なんですが……。ちなみに、裏設定ですが、彼が持っていた鞭は「グレイル」という魔法の鞭です。ジャンルとしては召喚型魔法武器なので、フランちゃんのエンジェル・ボウ(実はフランちゃんの弓はこういう名前なんです)と同じく、普段は装備していないけど、使用者の魔力反応にこたえて使うときに現れる武器です。効果は劇中通り、魔力略奪です。ドラクエでいう「マホトラ」のですね。

では、裏設定はここまでにして……。

禍々しい塔を入ってすぐ待ち構えていたのは、邪悪な魔力に毒されたメローネ姫。彼女はもともと特別な感性の持ち主(第6話「出国」参照)なので、邪悪な魔力に反応してしまったのでしょう。次回、メローネ姫はどうなってしまうのか。乞うご期待です。

では、ここからは次回予告を。次回、第26話のタイトルは「立ちはだかる者たち」です。このタイトルの由来はドラゴンクエストⅣの中ボス曲「立ちはだかる難敵」からです。次回から怒涛の戦いラッシュです。是非お楽しみにしていてください。次回の投稿は、1月下旬を予定しております。それまで、しばしお待ちいただければ嬉しいです。

では、また次回、お会いしましょう~!!

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