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魔王降臨

みなさま、お久しぶりです。島北です。

もしかしたら今年中に投稿できないんじゃね?と危機感を覚えていましたが、なんとか投稿できました。年末年始は忙しくて大変だ(汗)。

では、第24話「魔王降臨」、どうぞ最後までお楽しみください!!

「……リィラ……!!」

僕の目の前で魔王と化したセルディに向けて一礼した謎の人物の顔は、紛れもない、僕の妹、リィラの顔だ……!!

「ちょっ、ちょっと!?どういうことよアルタ!?」

「一体、何がどうなってるんですかー!?」

アイルさんとネーニャが僕に問う。しかし、僕にそんなもの、答えられるわけがない。僕だって、訳が分からないんだ……!!

「な、何をしてるんだ、リィラ?」

「何って……お兄ちゃんを助けてるんだよ?」

「僕を……それは一体……!!」


シュッ……!!


「!?……リィラ……!!」

僕の首に向けてロンギヌスの先を向ける。

「まだダメよ、お兄ちゃん」

リィラがロンギヌスを僕の首元から下ろすと、不気味に微笑んだ。

「魔王セルディ様!今こそ、あなた様がこの世界に恐怖を与えるのです!!魔王降臨は、今、この時なのです!!」

リィラが声高らかに叫ぶと、セルディが何かブツブツと呟き始めた!すると、セルディの身体から紫色のオーラが溢れだした!!

「セルディ!!」

僕がセルディに向かって走ろうとした瞬間、再び、リィラの持つロンギヌスが僕の身体の動きを封じた!

「だから……まだダメよ、お兄ちゃん」

「どういうことなんだ、リィラ!!」

「……まだ話せないわ……」


カァーーーーーンッ!!


ネーニャは咄嗟にサラマンダーを抜き、リィラに斬りかかったが、先程まで後ろで傍観していた女性剣士が素早く二振りの剣を構え、サラマンダーを抑えた!

「さあ……!!」

すると、突然、セルディの身の周りに吹き荒れていた邪悪な風が辺り一面を薙ぎ払った!!

「うわあああああああああっ!!」

「きゃあああああああああああっ!!」

「おっと……!!」

遠くでただひたすら「お兄ちゃん」と呟くフランさんを除いた僕たちは、一斉に吹き飛ばされ、地面に叩きつけられた!

「来たわ!!」

リィラが歪んだ笑みを見せると、風が止まったセルディの身体から、空を目掛けて強烈な赤い光が放たれた!!

「な、なに、この音……!?」

恐怖心を掻き立てるような静かかつ狂気の波の音がどこからともなく聞こえる!


ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!


「な、何が起きてるんだ!?」

地面を抉るような巨大な地響きが起こり、大広間にいた人たちが大パニックに陥った!!

「ア、アルタさん、あれを見て下さいー!!」

ネーニャがシュヴェッラ城と反対側を指さすと、そこには、禍々しく輝き、天を突く塔が地面から伸びるように現れた!!

「そんな!……あれはまさか……!?」

「……間違いないですよー……あの塔は……!!」

「……禍々しい塔!!」

あの塔は魔王襲来戦争の時に魔王軍の拠点として使われていた禍々しい塔そのものだ!!

「禍々しい塔は、人類軍によって破壊されたはずではー……!!」

「どういうことなの……!?」

禍々しい塔の動きが止まると、セルディの身体から放たれていた赤い光は輝きを失った。

「うわああああああああああああああああああっ!?」

そして、一瞬……世界のあらゆるものが、暗闇に包まれた!!

「アハハハハハハハ!!ついに!!魔王セルディ様が完全な復活を遂げたわ!!」

リィラはこの異常な事態に全く動揺するそぶりは見せず、それどころか高らかに笑い、まるでこの状況を祝福しているかのように狂喜している!!

「……リィラアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!」


カンッッ……!!


「!?」

僕は我を取り戻し、エクスカリバーを素早く身の方へ引いた!!

「なっ……!?」

しかし、僕の剣戟を受け止めたのは、リィラでもなく、女性剣士でもなく、セルディでも無かった……!!

「……メローネ姫……!?」

血塗られた杖を握るメローネ姫が、こちらに鋭い視線を浴びせる。

「……ハハッ!!人を超越しているメローネ姫の感性が、邪悪な魔力に毒されたということね!!やはり、私の読みは正しかった!!」

リィラは驚きの表情を見せたが、すぐに一転、不気味な笑みを見せて嬉しそうに叫んだ。

「そんな!!プリンセス・メローネ!!」

「プリンセスまで敵になっちゃったってことですかー!?」

「……リィラ……教えてくれ、リィラ!!リィラの目的は、一体何なんだ!?」

僕はエクスカリバーを手に持ったまま、リィラに問う。

「……知りたければ……」

リィラ、そして女性剣士とメローネ姫はセルディの傍に近寄った。

「お兄ちゃん、私の所へ来て…!」

「!?……待って、待ってくれ、リィラ!!」

セルディたち4人は、魔法陣に包まれると、その場から姿を消してしまった!!

「リィラアアアアア!!」

……そういうことだったのか……。僕は……最初からリィラに嵌められていたのか!?あの時、夢を僕に見させたのも、全て計画のうちだったっていうのか!?

「……リィラ……」

僕は、禍々しい塔を見つめる。恐らく、リィラやセルディはあの塔の中だ……!!

「……アルタ……」

「……これから、どうするんですかー?」

「……決まってる……禍々しい塔へ行こう」

「ま、アルタさんならそう言うと思っていましたよー」

ネーニャが頭の後ろに手を当てて、一息ついて禍々しい塔へ身体を向けた。

「ほら、フラン。行きましょう」

アイルは地面に腰を落としたままのフランさんに腕を差し伸べたが、フランさんはただひたすら「お兄ちゃん」と呟くだけだった。

「……フラン!!」

「!?」

アイルさんの一喝に、フランさんが身体を震わせた。

「あなたの気持ちが分からないわけじゃないわ。でも、今は泣いているときじゃないのよ……!」

「……」

フランさんはアイルさんに半ば虚ろな目線を向けたまま、硬直して動けていない。

「……私のお母さんはね……戦時中に魔物に殺されたの」

「えっ……!?」

フランさんは顔を驚愕とさせた。無論、僕も初めて聞いた話だったので、動揺は隠せなかった。

「死ぬほど悲しかったし、辛かったわ。どれだけ魔物を憎んだか分からない。でも、あの頃の私は弱かった。魔物相手に太刀打ちできるわけない。諦めていたわ。でもね……セルディさんに出会ってから変わったの」

アイルさんは涙をこらえている様子で言葉を続ける。

「私ね……お母さんが殺されてからすぐ、魔物に襲われたの。その時に助けてくれたのが、セルディさんだったわ。……私はあの時に誓ったの。弱いままの私じゃだめだ、強くならなくちゃだめって」

フランさんの目に光が戻った気がした。そして、フランさんは魂が再び宿ったかのように、嗚咽を漏らしながら大粒の涙を流し始めた。

「フラン……今、私達にはやらなくてはいけないことがあるでしょ?」

「……うう……ぐすっ……ごめんなさい、アイルさん……みなさん……ごめんなさい……」

フランさんは手の甲を目に当て、涙を流す。

「私達は、フランさんの仲間ですよー」

ネーニャはフランさんに手を差し伸べた。

「そうよ……私達で乗り越えましょう……」

僅かに涙の雫を零すアイルさんも再び立ち上がってフランさんに手を差し伸べた。

「……さあ、行きましょう」

僕は空虚な余計な言葉を吐くつもりはない。ただ、必要な仲間の一人として、僕は手を差し伸べた。フランさんは、涙を拭って、僕たちの手を握って、その場に立ちあがった!

「……はい……!!」

僕たちは、禍々しい塔へと目線を送る。僕たちの次の目的地は、あの塔だ。僕たちは、パニックで逃げ出した人たちがごった返していた大広間の中をゆっくりと進み、城下町から出た。僕たちは魔王復活によって今まで以上に活発化した魔王残党軍……いや、新魔王軍とでもいうべき魔物たちに戦闘を仕掛けられたが、なんとか切り抜け、船を停泊していたゲルモート港街に到着した。しかし、母さんや父さんは家の中にいるのだろうか、街中に姿は無かった。僕は、自宅に目を送るが、今は一刻も早く禍々しい塔へ乗り込むことが重要だ。急いで船の中に入り、操縦盤に手をかけた。

「ん……これって……!」

なんと、操縦盤の上に、5人分のお弁当が置いてあった。……紛れもない、このお弁当は母さんが作ったものだった。

「母さん……」

僕は弁当箱に入っていたおにぎりを一口ほおばった。

「……うまい……」

僕は必死に涙を流すのを抑えて、アイルさんとネーニャとフランさんにお弁当を渡した。……残りの一つは、セルディのだろう。僕は、操縦盤にセルディの分のお弁当を置いて、船を出航させた。


船がゲルモート港街を出発してから早1時間、ようやく禍々しい塔の根元が僕たちの視界に大きく映った。

「わざわざ港みたいなところがありますよあの塔ー」

「魔物の中には飛べる奴もいるっていうのに……馬鹿にされている気分ね……」

「でもまー、親切設計ってことでいいじゃないですかー、早く乗り込みましょうー」

僕たちは船を禍々しい塔に近づけ、船を止めた。船から降りると、そこには不気味に赤く輝く塔にポツンと用意された入口があった。

「……すごい瘴気を感じますう……」

「流石、新魔王軍の拠点ってことね」

「でも、ここでアルタさんの妹さんとセルディさんを止めないと、何があるか分からないですからねー……」

「……行こう……」

僕は、先陣を切って禍々しい塔の中に入った……!


……一体、僕はどこを歩いているんだ。ただひたすら、暗闇の中を進む。

「……あっ……」

すると、目の前からアイルさんが近づいてきた。

「アイルさん……!」


ブスウッッ……!!


「……えっ……」

僕の腹に、アイルさんの杖が突き刺さっていた。

「アイルさん!?な、何を……!?」

僕は遠くなる意識を保たせてアイルさんを睨む。すると、その奥からネーニャがやってきた。

「ネーニャ!助けてくれ……!!」


シュバッッ……!!


しかし、ネーニャは僕の言葉を聞くことなく、音速の如き速さで近づいてきて、僕の腕をサラマンダーで貫いた。

「がぁっ……!!」

続いて、僕の目線に映ったのはフランさんだった。俯いた顔の表情は、窺い知ることは出来なかった。

「フランさん!二人を説得して……!」

僕が言葉を言い終わる前に、僕の胸は、フランさんが放った矢に貫かれた。

「がはっ!!」

……呼吸が整わない。胸と一緒に肺を貫かれたのか……意識が、どんどんと遠のいて行く。

「……セルディ……」

そして……僕の目の前に姿を現したセルディ。まるで何かに憑かれているかのように僕を睨む。


ブシュウウウウウウウウウゥゥゥゥゥッッッ!!!!


僕の身体が、大きく傾いた。セルディの剣が、僕の身体を一刀両断したのだろう。

「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっっ!!!!」

僕は暗い地面に伏せた。動くこともできず、ただ、その場に伏し佇んだ。

「リィラ……!!」

セルディが剣に付いた血を払うと、その後ろからリィラが姿を見せた。

「……さようなら……お兄ちゃん……」

リィラは、ロンギヌスを僕の顔に向けて後ろに腕を曲げた。

「……やめてくれ……!!」

僕の声は無残に残響し、永久の闇の中へ消えた。そして……ロンギヌスが僕の顔に目掛けて放たれた!!

「やめてくれええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!」


パァンッ!!


「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

僕は伏せていた身体を起こした!!

「……あれ……」

どうしたことだろう。僕は確か……。

「大丈夫、アルタ!?」

「むぐっ……!!」

僕の顔に何か柔らかいものが……!!

「むんんんんんんっ!!」

「はあ……よかったわ……」

僕は柔らかいものから解放されると、ようやく、船の中のベッドに起き上がったことが理解できた。どうやら、アイルさんが僕を見守っていたようだ。

「全くー、いきなり気絶して魘されたものだからビックリしましたよー」

「め、面目ない……」

あれは夢……だったのか……。

「勝手な事はあまりしてほしくないわね。こっちも処理が大変なんだから」

すると、部屋の奥から、どこかで聞いたことがある声が聞こえてきた。部屋に入ったその人の顔を見て、すぐにその声の主を思い出した。

「ル、ルルさん!?」

セルディの戦友にして勇者級の一人、そしてガルガンティ国の国王となったルルさんそのものだった。

「アルタが倒れた後、タイミング良くガルガンティ国の調査船がやって来たのよ」

「アルタ君のおかげで、廃人を生み出すことなくあの入口の謎が見つかったわ」

「……なんだかあまり嬉しくないです」

「まあ、冗談はさておいて……あの禍々しい塔の入口には過去にも魔の結界が貼られていたの。あの魔の結界は人を廃人に追い込むほどの負のエネルギーが凝縮されているの。もし、アイル達が起こしていなかったら、アルタ君は精神ズタボロになっていたところよ」

「……あの結界を壊すには、どうすればいいんですか?」

「簡単よ。聖鏡ラーを使って結界を破るの」

「聖鏡ラー?」

「聖なる光を宿した鏡よ。もともとはガルガンティ国の太陽の塔に眠っていた秘宝だったんだけど、魔王襲来戦争時にあの鏡に結界を破る力があることが分かったのよ」

「なるほど……」

「そんな神聖な道具があったなんて……知らなかったですう……」

「でも、まさかセルディが魔王の血を引いていたなんて……実に皮肉なものね」

ルルさんは微かに笑みを浮かべた。

「世界中が今、大パニックに陥っているわ。早くセルディを止めないと……取り返しがつかないことになるでしょうね……」

ルルさんは手に携えるアスクレピオウスをトンっと床に落とした。

「……さて、もうそろそろ着くわ」

船はゆっくり停泊した。窓から外を覗くと、そこには荘厳かつ神聖な雰囲気の塔が目に入った。

「この塔の最上階に聖鏡ラーは安置されているわ。さて、行きましょう」

僕はベッドから立ち上がって、船から降りた。僕たちは、ルルさんと共に、禍々しい塔の間の結界を打ち破るべく、聖鏡ラーを手に入れるため、太陽の塔の踏破に向かった。

第24話「魔王降臨」、最後まで読んでいただきありがとうございました!!

ようやく今までの物語が一度繋がった、そんな気がします。魔王セルディが降臨し、世界がパニックに包まれます。さて、ここからどうなるのか、楽しみですね。

また、気づいた人もいるかもしれませんね。実は、本編中の言い回しに、1話とほぼ同じところがあることを。これも、リィラの思惑がすべて順調に進んでいった証拠なのでしょう。

話は変わって、勇者級ルルの再登場です。まるでアルタパーティの勇者級枠の補填の為なのかと言いたくなるようなタイミングでパーティに協力しますが、別にそこは意識してません(笑)。ここから、ルルは非常に重要な人物となるので、是非、その活躍を楽しみにしていただければと思います!

では、ここからは次回予告を。次回、第25話のタイトルは「聖鏡ラー」です。ちなみに、この聖鏡ラーの元ネタは、ドラゴンクエストシリーズに登場する真実を映す鏡、ラーの鏡です。この作品での扱い方は、どちらかというとドラゴンクエストⅧの太陽の鏡に近いですがね(笑)。次回の投稿は1月の中旬を予定しております。是非、お楽しみにしていただければ嬉しいです!!

では、また次回にお会いしましょう~!!


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