アルジェロ、忌まわしき記憶と共に
みなさま、お久しぶりです。島北です。
忙しい時期が終わり、ついに執筆に集中できる時間が確保できるようになりました!!わっしょいわっしょい!!
ずいぶんと寒くなってきて、キーボード打つのも少し辛くなってきているところですが、がんばって執筆していきたいところです。
では、第23話「アルジェロ、忌まわしき記憶と共に」、どうぞ、最後までお楽しみください!!
「やっと着いた……!!」
竜人族の集落からゲルモート港街までの渡航は2日と非常に長いものとなってしまったが、途中で嵐に出くわしたり強力な海の魔物と遭遇することなく、無事に到着することが出来た。僕たちは急いで船から降りて桟橋を渡る。
「君たち!勝手に船を止めたら……!」
「……あっ……ア、アルタ!?」
「母さん!!……父さん!!」
なんと、たった今、海から帰って来たばかりと思われる父さんと、父さんを迎えに来ていたと思われる母さんと出くわした!!
「母さん、この国で一体何が……!?」
「大変よ!クーデターが起きて、国王陛下が暗殺されたって!!今、シュヴェッラ城は首謀者達が占拠していて、もう何が何だか……!!」
「俺も風の便りを聞いて、急いでこっちに戻って来たんだ。まさか遠洋漁業中にこんなことになるとは……」
やはり、父さんもついさっきこの港街に戻ってきたようだ。港街を見渡すと、普段賑わっている街が嘘のように閑散としている。どうやら、家の中でクーデターの鎮圧を待ち続けているようだ。
「それにしても、よく無事に帰ってこれたわね、アルタ……」
「……ごめん、母さん……また、行かなきゃいけないんだ……」
「えっ……?」
母さんは涙を浮かべながら困惑した表情を見せる。
「僕たちはシュヴェッラ城に行くよ……そこに、リィラの手掛かりがあるかもしれないんだ……!」
「……」
母さんは酷く驚いた顔を見せたが、すぐに顔に平静を取り戻し、涙を手の甲で拭って、僕の目を見た。
「……わかったわ。ここまできて、母さんは何も言わないわ。でも……必ず帰ってくるのよ!」
「……うん……!」
僕は力強く首肯する。
「セルディちゃん……そして、アルタの旅に同行してくれているあなた方……どうか、アルタをお願いします」
母さんと父さんはセルディたち女の子の方を見て、頭を深々と下げる。
「任せて下さい。アルタを死なせやしませんよ」
セルディが応えると、他の女の子たちも頷いた。
「……それじゃみんな……行こう……」
僕は、母さんと父さんの顔を少し眺めた後、振り向くことなく、その場を立ち去る。女の子たちも、僕の後ろをついてきた。僕たちは、急いでゲルモート港街を発った。
連絡道を通り抜け、僕たちは街道を進んでいく。すると、綺麗なスタンド硝子が割れ、酷く傷ついているアメイラ修道院が目に映った。
「ああ……修道院があ……!」
「フラン!今は修道院よりもお城だ!」
「は……はい……!」
フランさんは荒れ果てた修道院の姿を見て酷くショックを受けるも、セルディの注意でまともな意識を取り戻す。フランさんは竜人族の集落でセルディの平手打ちを受けてから一度も泣いていない……僕たちの前では。船を降りた時、フランさんの目の下は赤く腫れあがっていた。恐らく、僕たちに見えないところで泣いていたのだろう。しかし、今のフランさんには、力強い意思を感じる。彼女は、実に強い女の子だなあと改めて感じた。
「よし、やっと見えてきたぞ!!」
僕たちは急いで街道を走り抜け、破壊された城下町への門をくぐり、城下町に入る。
「うわー……ガルガンティを思い出させてくれますねー……」
「こんな……城下町が……」
城下町に、以前訪れたような綺麗な町並みは存在していなかった。街のシンボルでもあった噴水は激しい損壊を受け、荒々しい傷があちらこちらで見受けられる。
「き、君たち……こんなところでなにをしている?」
僕たちが城下町の惨状を立ちつくして見ていると、一軒の家から出てきた中年の男の人が僕たちに話しかけてきた。
「これから新国王陛下の講話が行われる……変な奴らに殺されたくなければ、城前の大広間に行くんだ……」
男の人はそう伝えると、僕たちから離れ、お城の方へ向かって歩き始めた。
「新国王陛下だと?まさか……」
「……軍まで鎮圧されたってこと?」
「……そんな馬鹿な話があるのですかねー……」
「……とりあえず、行くしかないよ」
「そうだな……」
僕たちは、男の人の忠告通り、城前の大広間に向かうことにした。城下町を歩いていると、絶望に打ちひしがれた顔に身を震わせる人たちが僕たちと同じ方角へ歩いて行く姿が目に映る。……そして、僕たちは、噴水を通り過ぎ、城門前を左折し、その先に設けられた大広間に足を運ぶ。大広間には城下町の国民が何百何千という単位でごった返していた。
「……お兄ちゃん……」
……そして、大広間の奥の壇上に、アルジェロさんが構えていた。演説台に腕を置き、豪飾な神父服を身にまとっていた。……その奥には、ローブを身にまとう謎の人物と、側近の二刀流使いが立っていた。
「……さて、そろそろお時間かな……?」
アルジェロさんは懐中時計を手にとって見る。アルジェロさんは懐中時計を再び神父服にしまった。
「皆様。此度は私の為に足をお運びいただき、誠にありがとうございます。私は、アメイラ修道院上級神父、アルジェロ・エンジェと申します」
アルジェロさんは胸に手を当て軽く頭を下げる。
「では、本題に入らせていただきましょう。私は、この世界を嫌悪しております」
アルジェロさんの言葉に、周りの国民たちがざわざわとし始めた。
「かつて、私達は人間同士の戦争を何度も繰り返し、何度も敗者と勝者を生み出していきました。ですが、今の世界をご覧ください。今の世界は、魔物という共通の敵が現れたことにより、人間同士で争うことは無くなりました。ですが、それが何を意味しているのかは、皆様にも理解できるのではないでしょうか?」
アルジェロさんは国民に問う。
「そう、それは人間の退化です。人間は、互いに互いを殺し合う事によって、力をつけ、ここまで生き延びてきました。魔物、つまりは異種、言葉を返せば害虫を殺すことでは得られない精神が、まさに失われつつあるのではないでしょうか?」
「……お兄ちゃん……どうして……?」
「……聞くのは、直接の方が早い」
「えっ?」
なんと、セルディは大衆の中を強引に掻き分けるように通り抜け始めた。
「セ、セルディ!?」
「セルディさん!?」
「……全く……セルディさんはいつも突拍子ないですねー……」
僕たちはお互いの顔を見合わせてセルディのあとをついて行く。
「フランさん」
「は、はい~?」
フランさんかきょとんと僕の目を見つめる。
「アルジェロさんに、真意を聞きに行きましょう」
「……はい……!」
フランさんは力強く返答し、僕たちについてきた。
「魔王襲来戦争で、人間は、大きな損失を被る結果となりました。それは、事実上の敗北では無いのでしょうか?……魔法という概念がこの世界にはこびり、暮らしを豊かにしたのは紛れもない事実です。ですが、それが同時に我々人間の怠慢を招いているとは思えないでしょうか?……そう、これは神の啓示なのです。魔王という存在がこの世から去った今、次なる人類の革新の為に必要な儀式は、人類同士の戦争なのではないでしょうか?」
「いや、それは違うだろうな」
「……ほう。君たちは……」
僕たちは、群衆を掻き分け、ようやく大広間の壇上に辿り着いた。
「これはこれは、勇者級セルディ殿……」
アルジェロさんはセルディの後ろからついてきた僕たち……いや、フランさんに目線を運ばせた。
「……」
アルジェロさんは言葉を発さない。
「お兄ちゃん……どうして……?」
フランさんは目を潤わせながらアルジェロさんに問いただそうと近づいた。
シュッ……!
「きゃっ……!」
しかし、アルジェロさんは、フランさんが近付いた瞬間、左腰に携えていた聖堂騎士団の剣を抜き、フランさんの喉に切っ先を向けた!!
「……やはり、旅に行かせて正解だったようだ……」
「お兄ちゃん……」
フランさんはその場に立ちつくしたまま、茫然としている。
「強くなったな、フラン……だが……」
アルジェロさんは剣先をおろすと、跳ねるように一歩後退し、剣をしまう。そして、左手に力を込めて念じると、ガルガンティ城で謎の人物が持っていた、身の丈ほどの長さの木の杖が姿を現した!!
「私は、変えなくてはいけないのだ!」
現れた杖を左手に握り、再び剣を取り出して、僕たちに剣先を向けた!!僕たちも一斉に武器を構えて、フランさんの傍に近寄った!!
「……私も……」
フランさんは小さく呟くと、右手を頭上に掲げた!すると、彼女の頭上に白く光る弓が現れた!!
「私も……戦いますう!!」
フランさんは頭上に現れた弓を手に取り、矢を魔力で錬成し、アルジェロさんに向かって撃ち放った!!
矢は、アルジェロさんのすぐ左を鋭く通過した。
「……さあ、来い!世界の変革の為に、まずは君たちに引導を渡してくれよう!!」
アルジェロさんは、杖と剣に祈りを込めると、聖なる力が宿り、十字を切った!!すると、杖と剣から放たれた十字の閃光がどんどん圧縮され、僕たちのすぐ目の前で、光り輝いた!!
「みんな!避けて!!」
アイルさんが叫ぶと、僕たちは十字の閃光が輝いた瞬間に散開して身を伏せた!!すると、十字の閃光は球状に変化し、僕たちがまとまって立っていたすぐ手前で波動となって放たれた!!
「射って!」
フランさんは矢を構えて、アルジェロさんに撃つ!しかし、矢はアルジェロさんの剣に叩き斬られてしまう!
「遅いな」
アルジェロさんは杖をフランさんに向けると、大きな火の塊が襲いかかった!!
「疾風瞬郷≪ウィンディネッド≫!」
しかし、ネーニャが咄嗟にフランさんを抱いて炎の塊を回避すると、セルディの動きに合わせて、ネーニャもサラマンダーを構えてアルジェロさんに突撃した!
「足掻きは無駄だ」
アルジェロさんは杖をネーニャの方に突き出した!凍てつくような風がネーニャに放たれた!
「あららー!?」
すると、ネーニャの身体に宿っていた疾風瞬郷≪ウィンディネッド≫の力がかき消され、ネーニャはアルジェロさんのすぐ手前で失速してしまった!!
「くっ……!」
アルジェロさんは不敵に笑うと、剣でセルディを薙ぎ、動きが鈍ったネーニャに向かって、すぐさま剣を刺突した!!
「ネーニャ!!」
僕はアルジェロさんの剣がネーニャを貫く前にエクスカリバーを構え、アルジェロさんの剣を止めた!
「……なんだ……杖が……怯えているというのか?」
すると、アルジェロさんの左手に携えられている杖が軽く震え始めていた。どうやら、アルジェロさんの意思で動いているようではないようだ。
「だがっ!!」
アルジェロさんは剣を自分のもとに引き寄せ、後ろから迫っていたセルディの攻撃を防いだ!!
「この杖が、絶対的な力があれば、私は負けることは無い……!」
アルジェロさんはセルディを杖で振り払うと、剣を鞘に収め、一歩後退したところで杖を僕たちに向けた!すると、杖から、真空の刃が襲いかかる!!
「ううっ……!」
「がっ……!」
「おっと……」
僕とセルディとネーニャは、真空の刃を浴び、身体に裂傷を負いながら、仲良く吹き飛ばされてしまった!!
「ラーーーーーーッ……!」
フランさんは、弓を降ろし、祈るように歌い始めた!すると、僕たちの傷が見る見る回復していく!!
「隙を与えるわけにはいかないな!」
アルジェロさんは杖を頭上に掲げると、巨大な炎の塊が現れ、僕たちに向かって放たれた!
「麗錣の氷凍≪メイジス・アイス≫!」
しかし、アイルさんが唱えた麗錣の氷凍≪メイジス・アイス≫の冷気とぶつかりあい、炎の塊は小さく萎み、消滅してしまった!しかし、アルジェロさんはすぐに剣を引き抜き、僕たちに向けて攻撃を開始した!
僕はエクスカリバーを構え、アルジェロさんの攻撃を防ぐ!しかし、アルジェロさんは、杖を近接武器のように持ち、鍔迫り合いの最中に僕をめがけて突き放つ!僕はすぐさま身を後ろに引かせる!!
「雷光波≪ライジング・エッジ≫!」
僕は左手を前方に突き出し、咄嗟に雷光波≪ライジング・エッジ≫を唱えた!!
「くっ……!」
アルジェロさんは僕が放った雷の矢をかわし、すぐさま剣をこちらに構え、一歩足を踏み込んで僕に剣先を突きだした!
僕はすぐさまエクスカリバーを上に斬り上げ、アルジェロさんの剣を吹き飛ばした!!
「なっ……!」
「もらった!!」
セルディとネーニャが、タイミングを窺っていたかのように同時にアルジェロさんに突撃した!!
「はぁっ……!」
アルジェロさんは杖を構えてネーニャの攻撃を防いだが、反対側から飛び込んできたセルディの剣が、アルジェロさんの右腕を一突きした!!
「うぐっ……!!」
アルジェロさんはネーニャを振り払った杖でセルディとの間合いを取って、素早く後退した。
「癒しの光、加護を与えん……治癒の光≪ヒリング・シャイン≫……」
アルジェロさんは、杖を右手に持ち替え、左手に癒しの魔力を込めると、穴のあいた右腕に近づけ、貫かれた穴を塞いだ!!
「……少し、侮っていたようだ」
「お兄ちゃん……」
「だが、ここで負けるわけにはいかない……!」
アルジェロさんは再び杖を左手に持ち替え、剣を引き抜き、祈りの力を込めて十字を切った!!
「天裁の咎炎よ、万物を燃やしつくせ……轟粛の炎≪パージィ・フレイム≫!」
十字を切ったその直後、アルジェロさんは杖を頭上に掲げ、呪文を詠唱した!炎の塊がどんどんと大きくなり、人の身体を余裕で包み隠すほどの巨大な塊となって放たれた!!
「終わりだ……!」
アルジェロさんは炎の塊を放つと、杖をこちらに向け、真空の刃を放った!!
「がああああああああああああっ!!」
「ぐぅぅっ……!!」
「うわぁぁぁぁっ!!」
「きゃああああああああああああっ!!」
「あああああああっ……!!」
光の波動、炎の塊、真空の刃……怒涛の連撃が僕たちを襲ってくる!
「くっ……!!」
エクスカリバーにもともと宿る、癒しの魔力のおかげで、僕はなんとか意識は保てたが、周りは苛烈極める攻撃の連続に意識を失っていた。
「なんと……まさか、まだ立っていられるとは……ぐっ……!!」
アルジェロさんは僕の方を向きながら、驚いた表情を見せたと思うと、突然、痛みを伴っているかのように苦しい表情を見せた。
「一度に力を使いすぎたのか……!?」
アルジェロさんは左腕を激しく振り回し、杖を地面に投げ捨てた!
「うぐっっ……!!……だが、これで終わりだ……ここで未来の為に果ててもらおう!」
アルジェロさんは剣を構え、ゆっくりとこちらに近づいてきた。
「……はああああああああああああっ!!」
僕は、地面についていたエクスカリバーを構え、勢い込めてアルジェロさんに向かい走り寄る!!
「ちっ……!!」
アルジェロさんは僕の剣戟を華麗に弾き、間合いを一気に詰めて剣を素早く振る。僕は辛うじてエクスカリバーで剣を防ぐが、アルジェロさんも杖の力なのか、酷く疲弊しているようだった。互いに切羽詰まった状況で、僕たちは激しい攻防を繰り返す。
「君は一体……!?」
アルジェロさんは何かに怯えているかのように僕と剣のぶつかり合いを繰り返す。エクスカリバーの魔力で何とか意識を保ててはいても、僕の意識は限界状態に近づいていた。
「があっ!!」
エクスカリバーが、僕の手から離れ、壇の石畳に突き刺さった!
「もらった……!」
僕は、無駄な行為と知りながら、腕を身体の前で交互させ、防御の姿勢を取った!!
「がっ……!!」
しかし、剣を振りおろそうとしたその瞬間、アルジェロさんの腕に一本の矢が刺さった!!
「フ、フラン……!」
僕たちは、遠くで倒れていたはずのフランさんの方へ首を向ける。フランさんは涙を流しながら、足をびくつかせながら弓を構えていた。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」
僕は、急いでエクスカリバーを手に取り、アルジェロさんの懐を刺した!!
「がはっ……!!」
アルジェロさんは手から剣を離し、その場に膝をついた!
「そ、そんな馬鹿な……私が……」
アルジェロさんは痛みに耐えながら敗北を信じられないような表情を浮かべる。
「くっ…………さて、まずは身柄を拘束させてもらうぞ」
意識を取り戻したセルディたちが僕とアルジェロさんのところまでやってきた。セルディはまだ痛みに耐えている様子ではあったが、進入禁止用のロープを手に、アルジェロさんの身柄を抑えようとした。
「うっ……!?」
「お兄ちゃん!!」
その瞬間だった。今まで、ずっと僕たちの戦いを見物していた謎の人物が、忍びよるように現れ、ロンギヌスでアルジェロさんの心臓を突き刺した!!
「今までありがとうございました、アルジェロさん。あなたのおかげで、一歩、計画を進めることが出来ました」
「くっ、くそっ……私……は…………!!」
謎の人物がロンギヌスを引き抜くと、アルジェロさんの身体から大量の鮮血が吹き出し、アルジェロさんの身体を被いつくし、息絶えた。
「いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!」
フランさんは腰をがっくりと落とし、発狂した。
「あ……ああ……お……お兄ちゃん……」
フランさんはアルジェロさんの手を取るが、その手は握り返さない。フランさんはただ茫然と涙を流しながら、呻くように泣いて嗚咽している。
「ついにきたわ!この日が……!!」
謎の人物は腕を振り上げると、つい先ほどまでアルジェロさんが手にしていた杖を引き寄せ、自らの手に握る!すると、アルジェロさんの身体からどす黒い魔力が放出され、杖に宿った!!
謎の人物が杖から邪悪な力を放つと、あの時のように僕たちは、指一本すら動かすことが出来なくなってしまった!!
「くっ……動けない……!!」
僕は、得体のしれない威圧に押され、その場に立ちつくした!!
「さあ!蘇りなさい!!今こそ、魔王の復活の時!!」
謎の人物が声高らかに魔王復活を宣言すると、右手に携える杖から、溢れ出るように邪悪な魔力が一斉に放出された!!
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっっ!?」
放たれた魔力が……まるで吸い寄せられるかのように、セルディの身体に取り込まれていく……!!セルディは、激痛に叫び、そのまま意識を失った……!!
「あはっ!!あははっ!!あはははははははははははははははははははははははははははははははっ!!!!」
謎の人物が魔力を放出し終えると、杖は粒子となって、謎の人物の手から消滅した。
「魔王の復活は成功した!私の悲願に、また近づいた!!」
僕たちは杖の消滅と同時に、動きの制限が解かれ、セルディの様態を確認しようと近づいた。
バチイイイイィィンッ!!
「があっ!!」
「きゃっ!!」
「なっ……!!」
しかし、僕たちの手は、セルディを触れることは出来なかった。
「…………」
すると、セルディは意識を取り戻した。
「セ、セルディ……!?」
「セルディさん……?」
「ちょ、ちょっと、どうしたんですか、セルディさんー!」
僕たちの知っているセルディは、既にそこにはいなかった。そこにいたのは、溢れ出る魔力をその身に宿し、全てを覆す絶対的な力を誇る……魔王そのものだった……!!
「…………」
セルディは、静かに立ち上がると、僕たちを鋭い眼光で睨みつけた。セルディの目は、紅く変化しており、立ちあがったと同時に全身に宿る魔力に耐えられなかったのか、ツインテールにしていた髪がほどけ、長いロングヘアーに変化した。
「お久しぶりです……いえ、その姿では初めましてですね、魔王セルディ様。私は……」
謎の人物は、魔王と化したセルディのもとに近づいた。魔王セルディの身の周りに吹き荒れる魔力の風に煽られ、謎の人物の深くかぶられたローブが激しく揺れ、その顔を見せた……!!
「!?……そ、そんな……!?」
僕は、その顔を見て、全ての言葉を失った。そう……謎の人物の正体は……!!
「私は……リィラ・グレーテと申します」
第23話「アルジェロ、忌まわしき記憶と共に」、最後まで読んでいただき、ありがとうございました!!
フランの兄、アルジェロの思惑、それは人類同士の戦争の復活でした。アルジェロが「魔法という概念がこの世界にはこびり」という言葉を演説中に言っていましたが、この言葉が何を意味しているのか?気になるところであります。ちなみに、アルジェロはとあるキャラクターをベースにしているのですが、分かった人もいるのではないでしょうか?ドラゴンクエストⅧに登場する聖堂騎士団で、法皇として演説を行ったマルチェロがベースとなっています。アルジェロが使う技も、ほとんどマルチェロと似通わせています。一剣一杖の戦闘スタイルも、マルチェロから拝借しています。というのも、僕が今までRPGゲームをやってきて、一番衝撃を受けたキャラクターがマルチェロだったので、このキャラクター性を是非使いたいと思ったことが始まりですね。そんなこんな思っていたら、最早トレースしたかのようなそっくりキャラとなってました(苦笑い)。行動理念こそは違いますが。
そして、ついに姿が明らかになった謎の人物……その人物こそ、アルタ君が追い求めていた妹、リィラ。さらに、邪悪な魔力を受けて魔王と化したセルディ。魔王の力を持っていたセルディの真の姿とは、そして、魔神復活に意を注ぐリィラの真意とは一体……?これからの展開をご期待下さい。
ではここからは次回予告を。次回第24話のタイトルは「魔王降臨」です。次回の投稿は12月中旬を予定しております。それまで、楽しみにしていただければ嬉しいです!
では、また次回、お会いしましょう~!!




