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謎の魔物、シェード

みなさま、おはようございます。島北です。

ずいぶんと寒くなってきました。個人的に夏が恋しいです。

さて、私事はさておき、第17話「謎の魔物、シェード」、どうぞ、最後までお楽しみください!

「……覚悟……!」

漆黒の鎧を纏い、紫のオーラを宿す剣を右手に、左腕に構えた巨大な盾を正面に向けた鎧の魔物は、こちらに向かって突撃してきた!!

「ここで戦うのは足場が悪い!一度この家から出よう!!」

セルディは、急いで足場の悪い地面をガタガタ音を立てて走り抜け、すぐさまジェニシス邸を抜け出した!!僕たちもそれに合わせて脱出すると、謎の魔物は視線をこちらに変えて、突進してきた!!

「……ハアッ……!!」

鎧の魔物は剣を振りかざし、飛び込んだ!!

「ちっ……!」

攻撃の対象にされたセルディは、見事に回避すると、鎧の魔物は、轟音を立てて地面に剣を叩きつけた!!

「……この体では……動きにくいな……」

剣を地面から離し、再び剣を構え直す。鎧の魔物は、体勢を立て直すと盾を構えて突撃してきた!!

「どりゃあっ!!」

セルディは鋼の剣を頭上に振りかざし、鎧の魔物に重い斬撃を放った!!


カキーーーーンッ!!


重い一撃は、巨大な盾に弾かれ、セルディは身体を後ろに仰け反らせてしまった!

「……もらった……!」

鎧の魔物は、紫のオーラを強く放ちながら、剣を振りかざして袈裟斬りを放った!!

「うぐっ……!」

セルディは間一髪で跳ねて後退したが、剣の先はセルディの身体を捉えていた。セルディは腹部を血で濡らしていたが、気にせずに再び鋼の剣を構えて突撃した!!

「……ぬるいな……」

鎧の魔物は、盾を思いっきりセルディに叩きつけた!!

「ぐううぅっ!!」

セルディは鋼の剣を自分の前に構えて盾の攻撃を防御したが、明らかに違和感のある悲鳴の声を上げていた。

「な、なんだ!?この痛みは……!?」

セルディは、鋼の剣を構えていた両腕を抑え、悶え始めた!

「あの紫色のオーラは、ダメージを与えた人に与えるダメージを増やす力があるみたいね」

「なるほどですー。要は、攻撃に当たらなければいいって事ですよねー……!!」

ネーニャはサラマンダーに魔力を込めると、刀身に炎が燃え上がる!!

「サラマンダー!!」

ネーニャは炎に包まれたサラマンダーを縦に斬る!炎の波が、鎧の魔物に襲いかかる!!

「……小癪……!」

鎧の魔物は、巨大な盾を地面に落とし、身を隠した!!炎の波が、盾に弾かれ鎧の魔物の前で吹き荒れる!!

「疾風瞬郷≪ウィンディネッド≫!!」

ネーニャはサラマンダーを構え直すと、疾風瞬郷≪ウィンディネッド≫で自らの機動性を底上げすると、一気に鎧の魔物に詰め寄り、サラマンダーを刺突した!!

「なっ!?」

サラマンダーは、盾を一閃したが、ヒビが入っただけだった。鎧の魔物は、盾を持ちあげ、ネーニャを払うと、右手に構えた剣で払われ宙を舞うネーニャの右脚を刺突した!!

「つっ……!」

ネーニャは空中でぐるぐる回転して着地した!しかし、深く刺されたらしく、立っているのも辛そうだった。

「ネーニャさん~!いったんこちらに来て下さい~!!」

フランさんは、後方からネーニャを手招きして呼び寄せる。それと同時に、回復魔法で傷を癒していたセルディが、こちらに向かって飛び出してきた!

「2度目の攻撃はマジで痛えからな!一度フランに見てもらえ!」

「わ、わかりましたよー!」

セルディとネーニャは、ハイタッチをかわしてすれ違う。セルディは、僕とアイルさんが武器を構えた場所まで走ってくると、セルディは、アイルさんと何かを話し始めた。

「……この状況で作戦会議とは……」

鎧の魔物は、剣を上に振りかざす!!

「万物を租借せん風、魂を喰らえ……堅荒欒≪トルフィード≫……!」

鎧の魔物は呪文を唱えると、剣の周りに巨大な竜巻の如き風が滞留する!!

「……ハアッ……!!」

剣を薙ぐと、竜巻の如き風は、僕たちに向かって放たれた!!周りにある瓦礫を吸い込みながら、見る見る大きくなる風はこちらに向かってくる!!

「ヤバい!避けろ!!」

「そんなこと言ったって、どうやって!?」

「……くそっ……一か八かか……!!」

セルディは、歯を食いしばると、鋭い視線を鎧の魔物に向ける!

「どりゃあああああああああああああああっ!!」

なんと、セルディは、風が吹き荒れる中に自ら飛び込んでいってしまった!!

「セルディ!?」

セルディは、風に乗ると、疾風の如き速さで鎧の魔物に飛び込み、鋼の剣を地面に平行に構えた!!

「だああああああああああああああああっ!!」

ネーニャの疾風瞬郷≪ウィンディネッド≫に匹敵するスピードで鎧の魔物に突っ込むと、構えていた巨大な盾を、鋼の剣が貫通した!!

「なにっ……!?」

盾は中央から粉々に砕け、持ち手の部分を失った盾は地面に音を立てて落下し、セルディの鋼の剣は盾を貫通して、鎧の魔物の腕を刺していた!!

「舐めるんじゃねーっての……!」

セルディは鎧の魔物の腹部を蹴り上げ剣を引き抜くと、空中で3回転して地に立つ。鎧の魔物は、鎧を貫通してダメージを受けた様子で、左腕をかばっていた。

「今だ、アイル!!」

「はい!!……凍てつく氷結よ、あまたの血肉を凍りつくせ!麗錣の氷凍≪メイジス・アイス≫!!」

アイルさんは麗錣の氷凍≪メイジス・アイス≫を唱えると、前方に突き出した腕の先から氷の刃が現れた!

「たあっ!!」

アイルさんが魔力を込めると、氷の刃は勢いよく射出され、魔物の鎧のひび割れた部分に直撃した!!すると、鎧の魔物の表面が氷で覆われてしまった!!

「……くっ……うまく体が動かん……!!」

鎧の魔物はぎこちなく身体を動かすが、うまく攻撃に転じられずにいた。

「どりゃあっ!!」

セルディは鋼の剣を再び構え、氷の膜に向かって叩き斬った!!


パリイイイイイイイイインッ!!


「ヌウゥッ……!」

鎧の魔物の鎧は、氷と共に見事に砕け散り、砕けた鎧の部分を抑えて倒れこんだ!!

「……空洞……」

セルディは、砕けた鎧の中を覗いたらしい。どうやら、鎧の中には、身体が無いようだ。

「……お前は……一体何者だ?何故、エシュ・アジュラスに協力する?」

「……エシュ・アジュラスとは、彼らのことか……。……無理だろう」

「どういうことだ!?」

「……理解できないだろう……君には……」

「……そうか……あくまで黙秘するのか……」

「……これは黙秘であって黙秘ではない……君ならばわかるはずだろう……」

「いいや、わからないね」

「……己が何たるかも知らず……悲しきことだ」

鎧の魔物は、こちらに視線を向ける。

「君もだ、少年」

僕は、どこかあの魔物に親近感を覚えてしまう。何故なのだろう。あの魔物は……何者なんだ。

「いずれ、君たちは……理解する時が来るだろう……」

「……どうしてだ……僕は、あなたを知っているのかもしれない……あなたは……!?」

「……なるほど……最早すぐ近いのか……」

「どういうことですか!?」

「……そういえば、私の名を名乗っていなかったな……私の名はシェードだ……」

「……シェード……?……うぅっ!?」

鎧の魔物の名を聞いた瞬間、僕の頭が、まるで割れたかのように痛み始めた!!

「……シェード……あなたは……」

「……いずれ気付くだろう……この世界の真の姿を……この世界が……間違った世界だと……グフッ!!」

鎧の魔物は、ついに言葉を失い、膝から地面に倒れこんでしまった!そして、ついに鎧の魔物の姿は天に昇るように光となって弾けて消滅した!!

「……シェード……!!」

……意識が……遠ざかって行く……。僕は…………。


「……きろ…………タ……!」

……幼げの可愛らしい声が聞こえる……この声は……。

「……おい、起きろ、アルタ!」

……僕は暗い世界から目を開くと、屋根のあるどこかのベッドで寝ていた。そして、僕の顔の目の前には……。

「お、やっと起きたか」

可愛らしい顔をしながら怒るように僕を見るセルディの顔があった。

「……お、おい!そんな私の顔を見るんじゃねーよ!!」

セルディは、顔を紅潮させ僕から視線を逸らす。

「ご、ごめん!!」

僕も恥ずかしくなって上半身を起き上がらせ反対側に顔を逸らした。

「……もう大丈夫なのか?」

「……うん、もう大丈夫だよ……。それはそうと、僕はどれくらい寝てたの?」

「もう余裕で1日超えた」

「……えっ?」

「1日超えた」

「……ホント?」

「ホント」

……まさかそんな長い時間眠っていたとは……驚きだ。

「全く、城下町までアルタを運んで帰るの大変だったんだぞ」

「ごめんね、セルディ」

「アルタが寝ている間に国王陛下と話してきたぞ。全く、以前の憂鬱な顔を一変させて歓喜してたよ」

「なんだか、あの国王らしいね」

「……それと、エシュ・アジュラスの本拠地が分かったそうだ」

「なんだって!?」

僕はすぐさまベッドから足をおろし立ち上がる!しかし、今までずっと寝ていたから脚に力が入らずよろけてしまった!!

「うわっ!」

「きゃっ!」

僕は何かに顔をぶつけて倒れずにすんだ。しかしなんなんだろう、この妙な硬さと柔らかさを兼ね備えた壁は……。

「……アルタ……」

僕は頭上から聞こえてくるセルディの声を聞くと、恐る恐る顔を上に向ける。セルディの顔は笑顔だった、が、その笑顔に怒りの炎がメラメラ写し出されている。

「こ、これは事故だよ、セルディ!!」

「……私の胸のクッション具合はどうだったかな、アルタ?」

「……まだこれからだよ……」

「……変態がっ!!」

分かっていた。僕は身構えることもせず、セルディの強烈なビンタを素直に喰らい、床に倒れた。

「……それで……エシュ・アジュラスの本拠地って……」

「あ、ああ……それが厄介なところでな……ケナフスから更に東の国、ヴィディレスの北部の中立地帯の闇の遺跡を拠点にしているらしいんだ」

「闇の遺跡っていうと、魔王軍が作った基地だったよね?」

「そうだ。私も戦時中に一度行ったことがある。あんな不気味なところ、二度と用が無いと思っていたけど」

セルディは過去を思い浮かばせているようだ。僕から視線をそらし、何とも言えない表情を見せる。

「だったら、僕たちの次の目的地は決まったようなものだよね」

「……ああ、そうだな」

「でも、ここから直接闇の遺跡のある孤島に行く手段も無いし、一度、ヴィディレス国に渡ろう。情報収集もしておきたいしね」

「ま、妥当な判断だろうな。ていうか、闇の遺跡に入るにはヴィディレス国王の承認が必要だしな」

「あ、そうだったの?」

「ああ。中立地帯にある遺跡だと言っても、領地が近いからなんやかんやで管理とかはヴィディレス国がやってるんだよ」

「なるほどねえ……」

中立地帯とは、魔王襲来戦争時に魔王軍に占領された地域のことで、現在は文字通り中立地帯としてどこの国にも属さない地域であるのだが、どうやらセルディの話を聞くと闇の遺跡を抱する中立地帯の一部はヴィディレス国が管理しているようだ。

「そういえば……シェードを倒した後、他の魔王残党軍の魔物はどうなったの?」

「拠点を失ったことで戦力が分散したみたいだ。あの状態なら、ここの国の軍隊でどうにかなるだろう」

「そっか」

セルディと話していると、部屋のドアが静かに開かれた。

「あら、アルタ。目を覚ましたのね」

アイルさんが部屋に入ると、後ろからヒョコっと顔を出したネーニャが素早く部屋に入ってきた。

「あ、ほんとですねー。もう大丈夫なのですかー?」

「心配してくれてありがとう。僕はもう大丈夫だよ」

「それならよかったですー」

少し遅れて、フランさんも部屋に入ってきた。

「あ~、やっと目を覚ましたんですねえ!良かったですう!」

フランさんはニコニコと天使のように微笑んで僕が目を覚ましたことを祝福する。

「……さて、僕が寝ちゃった分、これから取り返さないとね」

「どうやら、セルディさんから話は聞いたようね」

「エシュ・アジュラスの奴らを追い詰める時は近いですよー」

「悪い人たちを正すのも、私の仕事ですう」

「それじゃ……行こうか、ヴィディレス国に……!」

「「「「おーっ!!」」」」

僕たちは荷物をまとめ、宿屋の部屋から退室し、受付に立つ宿屋の主人に会釈して宿屋から出る。そして僕たちは、エシュ・アジュラスが潜む闇の遺跡に近いヴィディレス国へ渡るため、港があるソレスタンの街へ歩を移した。

第17話「謎の魔物、シェード」、最後まで読んでいただきありがとうございました!!

いやはや、シェードとはいったい何者なのでしょう?アルタはシェードのことをまるで知っていたかのような雰囲気でしたが……?これからの展開を楽しんで待っていただければ嬉しいです。

では、ここから次回予告を。次回、第18話のタイトルは「世界最大のカジノ」です!最近はバトルが続いていましたが、次回は所謂日常回です。そして、カジノといえば……?(ニヤリ)更に、島北が大好きなあのキャラも再登場……?(ニヤニヤリ)楽しみにしてくださいね!!

次回の投稿は、10月下旬を予定してます!是非、次回の投稿を楽しみにしてください!!それでは、また次回お会いしましょう~!!

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